二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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HQRONPA!! Re:Bild みんなでコロシアイ合宿
日時: 2016/09/30 12:19
名前: 紫苑 ◆VRhWN8LWD6 (ID: GX8mvGbi)

どもです、おはこんばんは。紫苑です。
ハイキュー×ダンガンロンパ、前々からずっと書きたいなと思っていた作品です。
元ネタが元ネタなのでキャラの残虐描写が当然あります。そういうのが苦手な方は素直にバックブラウザをお願いいたします。


ハイキュー、及びダンガンロンパのネタバレが出てきますので、ネタバレが嫌な方もブラウザバックをお願いいたします。
コロシアイ夏合宿に参加するメンバーはキャラ紹介で、ダンガンロンパ側のキャラは『モノクマ』のみの登場となります。


ロンパ小説を書くなんて久しぶりでブランクもあります。文章に矛盾があったり、推理が強引だったり雑だったりしますが温かい目で見てやってください。どうかお願いします。


感想・ご意見などがございましたら、是非コメントお願いします。



<目次>
キャラ紹介
>>1

Chapter00 〜ようこそ、絶望合宿〜
>>2 >>3-5 >>6-8





※更新速度は亀以下だと思います。ご了承をお願いします。

以上、よろしくお願いします。

Page:1 2



Chapter00 〜ようこそ、絶望合宿〜 ( No.4 )
日時: 2016/09/25 20:47
名前: 紫苑 ◆VRhWN8LWD6 (ID: L/on88L2)



広い空間と言えないその場所には、おれの知っている14人の少年がいた。
何でこの14人なんだろうと一瞬疑問を浮かべたが、そんなくだらないことはどうでもいいと思考をかき消す。ええと、さらっと見てみると……キャプテンに大王様、トサカヘッドやミミズクヘッド……更にはあの『2m』の姿もあった。
そもそも、なんでみんな一緒の場所にいるんだ?しばらく考えていると、栗色の髪の爽やかそうな青年———『及川徹』さんがおれに向かって話しかけてきた。


「あ〜らら〜。見慣れた顔がもう一人やって来た」
「大王様がいる?!」
「俺だけじゃないよー。君たちのキャプテン君を皮切りに、俺の見たことない連中も一緒に集まってるみたいだよ」
「日向!お前もここにいたのか、大丈夫だったか?」
「キャプテン!はい、おれは大丈夫です!」
「なんか飛雄ちゃんとぶつかったような雰囲気を感じるんだよね及川さん。もしかしなくても痛かったでしょ?」
「はい、すっごく痛かったです!!」
「そこは否定しろ日向ボゲェ!!!」
「ハイハイ、喧嘩はそこまで」


おれ達に気付いたのか、数人がおれ達のほうに駆け寄って話しかけてくる。
……一応、ここに集められている人達を確認しておこう。試合とかで会ったことがあるとはいえ、話したことのない奴もいそうだし。
そう思って、おれは一面をぐるりと見回す。



「及川さん、さっきの言葉訂正してください。あいつが俺にぶつかって来たんです」
「嫌だねバーカバーカあっかんべーだ!チビちゃんがぶつかったとしても全面的に飛雄が悪いんだよやーいやーい!!」
「後輩相手に何ムキになってんだみっともねぇぞクソ川」



おれ達のチームで正セッターをやっている『影山飛雄』。

青葉城西のキャプテンで、選手の力を100%引き出すセッターである大王様こと『及川徹』さん。

その及川さんの幼馴染で、青葉城西のエースでもある『岩泉一』さん。



「旭さん、ここどこなんでしょうね?如何にも『電車に轢かれて目覚めたら謎の宇宙人と戦っていた』って感じがするっす!」
「えっそれを俺達がやるかもしれないの…?宇宙人とはいえ仲良くなれるかもしれないのに…。戦うのは怖いから嫌だ」
「異常な空間だからあり得なくはないと思うけど友好的な宇宙人なんていないと思うぞ、西谷…。あと東峰さんも乗らないでください」
「なんだヒゲチョコ、お前宇宙人にでもなるのか?現実を見ろそんなものはいないぞ」
「ゴメンナサイ」



烏野の守護神こと、コートの後ろを守るリベロである『西谷夕』さん。

来年にはキャプテンの座は彼が引き継ぐはず…な、2年のドン『縁下力』さん。

烏野のキャプテンで、みんなを支える大黒柱『澤村大地』さん。

ワイルドだけど気は弱い、でも立派な烏野のエース『東峰旭』さん。



「あかーしなんかここ怖い!!早く安全な場所行こうぜ?!」
「見知らぬ場所に安全もなにもないでしょう。それにあんた一人じゃないんだから下手に動かない方が身のためですよ」
「分厚い扉に薄暗い室内……。ま、出たい気持ちは分かるわ。でもこういう時こそ集団行動って大事じゃねェかな?」
「黒尾にしてはまともなこと言ってるな。木兎のこともっと煽るかと思ってた」
「夜っ久んは俺のことどういう目で見てるワケ?」



東京の強豪校である梟谷学園高校のキャプテンで、5本指のスパイカーに数えられている『木兎光太郎』さん。

梟谷学園高校の正セッターで、木兎さんの右腕の『赤葦京治』さん。

繋ぐレシーブが特徴の音駒高校でキャプテンをやっている『黒尾鉄朗』さん。

その音駒高校バレー部の『守備の要』を担っている『夜久衛輔』さん。



「アレアレ、若利くんよりデカイ人いるね!何?1年?」
「……ウス」
「ここがどこだか分からない以上、下手に動くのは危険だな」
「…………(コクコク)」
「皆真面目だネー!!こういう時こそテンション上げて辛気臭い空気吹っ飛ばすのがセオリーって奴じゃない?え?違う?若利くん何?黙ってろ?うん、じゃあ黙ってる」


宮城の強豪『白鳥沢学園』でブロッカーを務めている『天童覚』さん。

見たことはないけど……えーっと、確か『角川学園高校』ってところのスパイカーで、2mの巨体が特徴な『百沢雄大』。

3本指のスパイカーで、『白鳥沢学園』のスーパーエースな『牛島若利』さん。

無口だけどブロックは凄い!『伊達工業高校』の3枚ブロックの一人『青根高伸』さん。






———これで全員、かな?
おれが辺りを見回していると、ふと影山がおれに話しかけてくる。


「なんだ。みんな身長高いから羨ましがってんのか」
「ちげーよ!!誰がいるのか確認してただけ!!」
「身長伸ばしたいならぐんぐんヨーグル飲めボゲェ」
「だから違うって言ってるだろ?!」


見当違いのことを言われて言い返してしまったが、不安な気持ちは少しだけおさまったみたいだ。
あいつ、無自覚にこういうことしてくるからな……。普段なら迷惑だけど、今はありがたく思っておくことにしよう。

Chapter00 〜ようこそ、絶望合宿〜 ( No.5 )
日時: 2016/09/26 00:30
名前: 紫苑 ◆VRhWN8LWD6 (ID: lFtbIZgG)



「そういや、日向はどうやってここまで来たんだ?」


夜久さんの声ではっと我に返る。
どうやってここまで来たか?えーと、それは……


「バレーの自主練が終わって、更衣室の扉を開こうとしたら急に眩暈がして…。気付いたらここの近くの教室でうつ伏せになっていたんです」
「えっ?!オレも一緒なんだけど!!」


木兎さんが驚いた顔でおれを見る。
すると、各々が自分も同じだと言い始めた。みんなが同じ状況、一体どういうことなんだ…?


「ここにいる全員が揃って気を失って、見知らぬ教室で目覚めた…。そもそも、ここがどこなのかも見当つかねぇしな」
「ここ…どこなんだろう…」
「ウーーーン、どっかで見た記憶はある気がするんだけど……。悪ィ、思い出せねぇや。でも教室とかあったし、『学校』らしき建物だってことは分かりそうだよな」


全員がおれと同じことを経験している…。何か、おかしいな。
考えていると、不意に天童さんが声を荒げた。


「あれれ?俺の私物ないよ〜?」
「天童、ちゃんと探したのか?」
「というか、目覚めた時から私物どころかカバンすらなかったんだよネ。ジャンプの最新刊まだ読んでないから読みたかったのに…」
「部室にジャンプなんて持ってきてるんですか?!」
「え、普通じゃん?」
「約束のネバーランドの最新話見せて!!!早く!!!俺気になってるんだから!!!」
「だからねぇつってんだろクソ川」
「……そういや、俺の私物もないですね」
「みんなの持ち物もそうなんですか?」
「どうやらそうみたいだなー。俺の替えのTシャツも綺麗さっぱり無くなってやがった」


そういえば、とおれも起きた状況を思い出す。
確かに周りには何もなかった。おれのスポーツバッグも、Tシャツも制服も、学校のカバンも綺麗さっぱり無くなっていた。


「それに、ここが『学校らしき場所』だってわかったとして、この変な扉はなんなんだ?普通の学校にはこんなものないよな」
「外に出て場所を確認しようとも、ここの扉無駄に頑丈で開きませんでしたね」
「オレとウシワカと東峰君が力合わせて開けようとしても駄目だったんだから駄目だ!!!」
「…………(俯き)」
「…誰かの犯罪に巻き込まれたのかも」
「人聞きの悪いこというなよ…。だが、どうして俺達だけ集められる必要があるんだろう」
「何かのイベントならもっと人がごった返してるはずだし、そもそもこんな不気味な場所でやらないからな」
「誰がこんなことしやがった?!」


各々が混乱を募らせていた、まさにその時だった。




















ピーンポーンパーンポーン……










『あーっ、あーっ、マイクテスっ、マイクテスっ』
「何だ?!」


おれは突如鳴ったチャイムに周囲を見回した。
すると、隅にかけられている不自然なモニターが光っているのが分かった。
影になって姿は見えないが、動物のようなシルエットが映っているのが分かった。恐らく、声もそこから流れているのだろう。
それは場違いなほど、能天気な声…。
おれはその声に強烈な不快感を抱いていた。









『大丈夫?聞こえる?えーっ、ではでは……。
 栄誉ある排球部員の皆さん。今から『希望合宿』の開会式を執り行いたいと思いますので、至急体育館までお集まりください。みんな、体育館の場所は分かるよね?書いてあるからちゃんと間違えずに来てね!
 それじゃ、待ってるよ〜!』










ぷつり。





音声が切れた。
みんなの方を振り向いてみると、そこにいる誰しもが困惑した面立ちだった。


「何だよ、今の声?」
「体育館……って、言ってたな」
「行くの?罠かもしれないヨ?」
「それでも行ってみるしかねェだろ。もしかしたら俺達をここに集めた張本人が出てくるかもしれねェからな!」
「なんで西谷はそう単純なんだよ…」


それぞれ、バラバラに体育館へと足取りを進めていく。
……おれはというと、さっきの放送の声を気にしていた。声からの『嫌な予感』が未だに頭から離れないのだ。実は関係者のドッキリで、体育館に入ったら種明かしをしてくれる……なんてオチも考えてみたが、どうも違和感だけが残る。
そんなことを考えているうちに、『体育館』とプレートが付けられた扉の前までやって来た。


「ここ…だよな」
「中に何があるか分からないからな。俺が先に行って危険がないか見ておこう」
「キャプテン君ここに来てまでリーダーシップ張ってるのー?別にいいけどさ、中に入ったらいきなりキャプテン君がグッサリ刺されて死ぬとか及川さん嫌だからね?
 というわけで俺も先に入りまーす!」
「不吉な妄想するなよ全く…」


キャプテン、大王様、岩泉さんが扉を開けて中に入っていく。
続いて『オレもカッコいいところ見せたい!!』と木兎さんも続く。
呆れながらその後に赤葦さんが続き、ウシワカと天童さんは何も言わずにスタスタ入ってしまった。


「…ねぇ、少し気になったんだけど」
「どうしたんですか、夜久さん?」
「あの放送では『希望合宿』って言ってたよな。それって…俺達が目覚めた時に目の前にあったあのパンフレットの表紙の文字と一致してないか?って思ってさ」
「確かに一致してたね。もしかしたら本当に身内のイベントなのかも…」
「それを確かめる為にも体育館に入らなきゃ駄目なんでしょ?ほらほら、早くいきますよ旭さん!」
「うわわ、押さないでよ西谷…」
「んじゃ俺もお先〜」


そろそろと体育館への入っていく面々を横目に、おれはしばしその場を動けずにいた。
確かにあの放送では『希望合宿の開会式』という言葉が述べられていた。あの乱雑に書かれたパンフレットにも同じ文字が載ってたし、もしかしたら……ということも考えてしまう。
だけど……妙におかしいのだ。納得しつつも、本能で『納得してはいけない』と思ってしまい、一歩を踏み出せなかった。
そう考えていたのはおれだけではなかったらしい。


「本当に大丈夫なのかな…」
「あの放送、怪しいな」


影山、夜久さん、青根さん、百沢、縁下さん、そしておれがその場に残っていた。


「だけど…ここで立ち止まってたってなにも始まらないし…主催者は俺達を体育館へ呼んだんだろ?
 …行くべきだと思う」
「そう…だよな…」


確かにそうだ。百沢の言うとおりだ。
この先にどんな危険が待っているかは分からない。けど、行かなければならない。
手掛かりのない今は、進むしかないのだ。






「……行くぞ」


おれ達は勇気を振り絞って、体育館の扉を開いた。
それぞれの顔を見てみると、みんな不安らしい。あの放送から沈黙を保っている。
それも無理ないとは思う。おれだってあの放送を聞いて不安だらけなんだから…。
おれは胸に残った不安と違和感を奥にしまい、みんなのいるところまで歩いて行ったのだった。

Chapter00 〜ようこそ、絶望合宿〜 ( No.6 )
日時: 2016/09/26 22:25
名前: 紫苑 ◆VRhWN8LWD6 (ID: utrgh/zS)



意を決して体育館に入って来た。けど、辺りを見回してみてもいつもの体育の時間に使っていそうな、何の変哲もない普通の体育館だった。だだっ広い空間の中に、おれ達16人はいた。少人数だからなのか、その広さがやけに広く感じる。


「誰もいませんね」
「イタズラだったのかもしれないな…」
「そんなことないだろ…?それにしても、放送した奴はいつ出てくるんだろう?俺達をこんなところに呼び出しておいて、何をするつもりなんだ…?」


しびれを切らしたのか、旭さんが震えながらそう呟いたその時だった。
おれ達が『普通じゃない』光景を目の当たりにすることになるのは……




















『お〜い、全員集まったー?それじゃ、そろそろ始めよっか!!』




















どこからともなく声が、さっきの放送の時のものが聞こえたかと思うと、『ソレ』はいきなり現れた。
白と黒のカラーリングで、身体が半分に分かれている。白い方は可愛らしいクマの恰好をしていたが、黒い方は赤い目に牙を向けた口と、普通では考えつかないようなデザインだった。


「……なんだこりゃ?!ぬいぐるみ?!」
「ヌイグルミじゃないよ、ボクはモノクマ!この学校の、校長先生なのです!」
「校長…先生?」


思わずその訳の分からない物体に釘付けになる。




『ヨロシクね!!』




場違いなほど明るい声。
場違いなほど能天気な振る舞い。
間違いない、さっきの放送の声の主はこいつだ。
おれ達の抱いていた不安と違和感はいつの間にか、底知れない恐怖へと変わっていた。
……一部を除いて、だけど。


「意外とよく見てみると可愛いね〜!若利くん、こいつ白鳥沢バレー部のマスコットキャラのモデルに出来ないかな?」
「確かにマスコットキャラには出来そうな題材だが……そもそも白鳥沢はクマ由来じゃない」
「うはー!きついところ突いてくるね若利くん!そんなところも好きダヨ!」


白鳥沢の2人がモノクマに興味を持ったのか、近付いて話をしている。
マスコットキャラに使えそうだと冗談めかしていたが、本気にされたようで一本取られたような仕草をしていた。


「ぬいぐるみが喋る……、ななななななに幽霊?!ゆゆゆゆ幽霊?!?!」
「幽霊なんて何処にもいないだろ落ち着けヒゲチョコ。それにしても喋るぬいぐるみか…。どこかで録音した声でも流してるんじゃないのか?」


旭さんとキャプテンもモノクマについての感想を漏らす。
おれは一瞬どうすればいいのか分からなくなった。


「だーかーらー、ヌイグルミじゃなくてモノクマなんですけど!しかも、学園長なんですけど!」
「どうせラジコンか何かだろ?今のロボットって自動操縦出来そうだし」
「もしかしたら黒子が出てきて人形を操ってるのかもしれねェな。タスケテ白子っち〜」
「だからラジコンでも操り人形でもないの!ボクはモノクマなの!白子っちとか知らないよ!!」
「捕まえて中調べればいいんじゃね?映画の道具にも使えそうだしよ、力、任せた!」
「どうしてそこで俺に振るんだよ?!」


おれは何も言えずに、ただその光景を見ているだけだった。
あいつはこの学校の校長だと言っていた。でも、仮にこれが学校側のイベントだというのならおふざけも大概だ。


「あのねぇ、ボクにはNASAも真っ青の遠隔操作システムが搭載されてて———、って!夢をデストロイさせるような発言をさせないで欲しいクマー!!」
「語尾が付いたクマ。及川さんも語尾にクマ付けたら可愛くなるクマ?」
「気持ち悪い近付くな二度と話しかけるな」
「岩ちゃん酷いね?!」
「……コホン。それじゃあ進行も押してるんでさっさと始めるクマ。みんな整列するクマ」
「なんかクマクマ言い出したぞこいつ…」
「ご静粛にご静粛に。えー、ではでは」
「…………」
「起立、礼!オマエラ、おはようございます!」
「「「おはようございます(まーす☆)!!」」」
「今挨拶するところですか?!」


勢いよく挨拶を返すノヤさんと木兎さん。及川さんもあざとく挨拶を返す。そんな彼らの光景に思わず赤葦さんが突っ込んでいた。
……あれ、これおれも挨拶しとけばよかったやつ?


「まぁまぁ落ち着いて。では、これより記念すべき『希望合宿』の開会式を執り行いたいと思います!まず最初に、これから始まる合宿について、オマエラに一言。
 えー、オマエラのような才能あふれるバレーボール選手は、『世界の希望』に他なりません。そんな素晴らしい希望をもっと高めてもらう為に、オマエラには『この施設だけ』で、共同生活を送ってもらいます。みんな仲良く秩序を守って暮らすようにね!」
「……は?」
「えー、そしてですね…その共同生活の期限についてなんですが」


何を言われたのかさっぱり理解できないおれ達に、モノガラスは言い放った。


『期限は…………








































 ありませ〜ん!!つまり、オマエラは一生ここで暮らすのです!!』




期限は———ない?一生ここで暮らす?
おれの嫌な予感。それが現実になってしまったような気がした。

Chapter00 〜ようこそ、絶望合宿〜 ( No.7 )
日時: 2016/09/29 22:15
名前: 紫苑 ◆VRhWN8LWD6 (ID: GX8mvGbi)



「……今、何て?一生ここで暮らすって?」
「そうそう、人の話を最後まで聞いてエライねー!あぁ、この学校にはオマエラ以外誰もいないし、予算は豊富だからオマエラに不自由をさせるつもりはないよ。そこは心配しないでね!」
「嘘だろ…?俺達がここで暮らすなんて…。ドッキリだとしても信じられないよ…」
「ボクは嘘なんてつかないよー。純度819%本当のことしか言いません。それにこれはドッキリでも何でもないんだからね!」
「じゃあ聞くけど、教室で見たあの鉄のカタマリや2階へ続く階段のシャッターもお前が?」
「うん。外の世界とオマエラを完全にシャットアウトさせるためにね!だから、汚れた外の世界の事なんか忘れて、ここで思う存分暮らしてください!」
「そんな!それじゃあ助けなんて呼べないじゃん!!」
「だぁーかぁーらぁー、助けなんて呼ばずにここに住むことを受け入れればいいだけの話じゃん!」
「そんなこと出来るはずないだろ!学校側が用意したにしてもふざけている。大概にしてもらいたいものだな」
「俺達を早くここから出せ」
「でもさ、オマエラ青春真っ最中のバレー部なんでしょ?それなのに、折角己の力を高めるチャンスなのに『帰りたい』って言うなんて……。もったいない。非常にもったいないよ!」
「そもそもこんな怪しい場所で合宿なんてやるか!」
「そうだヨー。早く俺達をここから出して〜」


岩泉さんがモノクマに向かって反抗的な言葉を投げつける。
それに続くように、続々と「帰せ」「ここから出せ」という言葉をモノクマにぶつけ始めた。


「あぁもう分かったよ!!言えばいいんでしょ、ここから出られる方法」
「あるんですか」
「もっちろん。校長先生であるボクは、学校から出たい人の為に、ある『特別ルール』を設けました。それが『卒業』というルール!では、この特別ルールについて説明していきましょう。
 オマエラにはこの学園だけでの『秩序』を守った共同生活が義務付けられたわけですが、もしその秩序を破った者が現れた場合……。その人物だけは、学校から出ていくことになるのです。それが『卒業』のルールなのです」
「なぁ。秩序を破るって……どういう意味?」


モノクマの説明が終わった直後、とある疑問が浮かんだおれはモノガラスに気になったことを尋ねた。
すると、モノガラスは先ほどと変わらない明るい声で、こう言い放った。




















『ヒトが、ヒトを、殺すこと……だよ』




















人が、人を、殺す……?
モノクマの一言で空気が凍り付き、みんなの表情が不安から恐怖へと変わっていった。
……しばらくの沈黙が続く。そんな重い雰囲気を打ち破ったのは、あろうことかウシワカだった。


「この中の誰かを殺せば、ここから出られるんだな」
「はい!殴殺刺殺撲殺斬殺焼殺圧殺絞殺斬殺呪殺…殺し方は問いません。『誰かを殺した生徒だけがここを出られる』それだけの簡単なルールなのです。最悪の手段で最良の結果を導けるよう、せいぜい努力してください」
「こんなの、こんなのって……!!」


おれは思わず拳を握りしめる。今すぐこの怒りをモノクマにぶつけたかった。
だけど、頭の中では分かっていた。
コイツの言っていることは間違いなく本気だろう、と。
もちろん嘘なら一番いいけど……。こいつはこんな酷い言動を『いとも簡単に』『笑顔で』言い放っている。到底嘘だとは思えなかった。










『誰かを殺した生徒だけがここから出られる』










そんな言葉を、校長であろう者が使っていいはずもない。
おれはこのぶつけたい怒りを抑えながら、必死に平穏を保っていた。


「はにゃ?おかしい?」
「…………!!(睨み付け)」
「おかしいに決まってるだろ!!どうして俺達が殺し合わなきゃならないんだよ!!」
「おかしいってなんだよ!こんな脳汁ほとばしるドキドキ感は、鮭や人間を襲う程度じゃ得られませんなぁ。さっきも言った通り、オマエラはいわば『世界の希望』な訳だけど、そんな『希望』同士が殺しあう、『絶望的』シチュエーションなんて……ドキドキしてくる以外の何物もないよね〜?」
「くるわけないだろ。……殺し合うって何なんだよ!!」
「殺し合いは殺し合いだよ。辞書ならここに……」
「意味は分かってるの。そうじゃなくてさァ、どうして俺達が殺し合わなきゃなんねーのって話なの。分かる?」


次々に反抗的な言葉がモノクマに浴びせられている。
ノヤさんや岩泉さんに至っては怒りの沸点を通り越して今にもモノクマに襲い掛かりかねなかった。


「そうだよ…。さっきから聞いてたら、ふざけたことばかり言って…。さっさと俺達を元の場所に帰してよ…」
「……ばっかり?」


ぽつり、百沢の口からそんな言葉が漏れる。
モノクマはその言葉を聞き逃さなかった。モノクマは彼を睨み付ける。


「ばっかりってなんだよ、ばっかりって…ばっかりなんて言い草ばっかりするなっての!ホントに物分かりの悪い連中だよ。何が帰してだ。同じ事を何度も何度も何度も何度も何度も…いいかい?これからは、この学園が、オマエラの家であり世界なんだよ?殺りたい放題、殺って殺らせるから、殺って殺って殺って殺って殺って殺りまくっちゃえっつーの!!」


そう言っておれ達の周りを歩くモノクマは、もはやただの独裁者にしか見えなかった。
……おれ達はとんでもないところに閉じ込められてしまった。それを嫌でも思い知らされたのだった。

Chapter00 〜ようこそ、絶望合宿〜 ( No.8 )
日時: 2016/09/30 12:15
名前: 紫苑 ◆VRhWN8LWD6 (ID: GX8mvGbi)



「———おい。さっきから聞いてりゃふざけたことばかりぬかしやがって……」


不意に、モノクマの近くの奴らを押しのけ、木兎さんがモノクマの目の前にやって来た。彼の表情は……怒りに満ちていた。


「お前いい加減にしろよ?!同輩後輩怖がらせるようなこと言ってふざけてんのか?!」
「木兎さん!」
「木兎!!」
「ふざける……?なんのこと?もしかして、キミのそのミミズク頭のこと?」
「———おまえッ———!!!!!」


今までには見たことのない怒りの表情で、木兎さんはモノクマの首根っこを持ち上げた。
この人は普段はしょぼくれたり些細なことで怒ったりはするけど……。それでも、こんなにガチギレすることはなかったはずだ。それくらい———『今』怒っているんだ。それを痛感させられた。


「おまえ、ふざけてんじゃねーぞ?!ロボットでもぬいぐるみでも関係ない。今すぐ中の綿引き裂いてボロボロにしてやる!!覚悟しろ!!!」
「うわわわわわっ!!校長先生への暴力は校則違反だよ〜?!」
「そんなこと知るか!!ボロボロにされたくなかったらオレ達をここから出すんだな!!早く!!」
「……ピヨヨ。あまり調子に乗るんじゃないよ」
「あ?」


ふと、モノクマが不気味にほほ笑んだ気がしたが、次の瞬間には動かなくなった。
動かなくなったことを不思議に思い、思わずぶんぶんモノクマを振り回す木兎さん。
……なんなんだ、この違和感。嫌な感触。異様なほどの危険信号。
———その危険信号は、モノクマからの『サイン』として音声で流れて来るのだった。










ピコーン ピコーン ピコーン










モノクマからサイレンのようなものが流れ出す。サイレンは時を刻むごとにどんどんテンポが速まっていく。
こんなのおれでも分かった。———駄目だ、このままじゃ木兎さんに危険が———!!






























「投げてください!!!木兎さん!!!」
「赤葦?!何言ってんだよ?!」
「そいつ、爆発します!!!死にたくなかったら早く投げてください!!!」





おれが叫ぶよりも早く、赤葦さんがありったけの声を荒げて叫ぶ。
彼の気迫に負けたのか、木兎さんは人のいない方へとモノクマを投げた。





———刹那。






















ドッカアアアアアアアアアアアアアアアン!!!!!!!





「ば、くは、つ……?!」
「えっ……ええええええええ?!」


モノクマが、爆発した。
もし赤葦さんが叫んでいなかったら……木兎さんはモノクマの爆発に巻き込まれて、無事では済まなかっただろう。
投げた当の本人も、相当動揺したのか青ざめている。


「木兎さん、大丈夫ですか?!」
「あかーし……ありがと……オレ、死ぬとこだった……」
「まさか爆発するとはねェ…」
「で、でも!あのぬいぐるみは爆発したんだし、もう俺達の前に現れることはないんじゃない?」


天童さんがそう言った瞬間だった。
爆発したはずの『ソイツ』は、まるで最初からそこにいたかのように立っていた。おれ達が初めてそいつを『見た』場所と同じところに……。


「今回はボクも迂闊でした…。校則を知らせてなかったのに殺そうとしてしまうなんて。今回は警告で済ませてやるけど、次からはこうはいかないからね?」
「うわあああああああああ出たああああああああああ?!?!」
「うるさいぞヒゲチョコ!!」
「だって急に出てきたんだよ?!驚かないの大地は?!」
「いちいち驚いていたら身体が持たん」


お、おれも一瞬ビックリした……。旭さんの叫び声に。
恐らくモノクマはあの1体だけじゃない。壊しても壊しても永遠に出て来るもの……。今回のあいつの動きで、おれはそう確信していた。


「あれ、何なの……?」
「『校長への暴力を禁ずる』。立派な校則違反だから体罰を与えようとしたまでさ。オマエラもちゃんとルールを守らないと駄目なんだからね?
 おしりペンペンくらいじゃ済まさないんだからね!!」


そうモノクマは満足そうに言い放つ。
今まさにこいつは人を殺そうとしていた。それなのに、こんな満足げな表情でそんなことが出来るなんて……。こいつは、モノクマは、狂っている。


「というわけで、オマエラにこれを渡しておきましょう。この学校の新しい生徒手帳です」


モノクマはどこかしらから16人分の生徒手帳を取り出す。そして、自分の近くにいた人達から順番に渡していった。


「カッコイイでしょ?電子化された生徒手帳、その名も何と……『電子生徒手帳』です!!」
「ネーミングセンスそのまますぎるぜ」
「ただの回転レシーブに変な名前つけるお前よりは十分マシだと思うけどな」
「俺のはキレッキレだろうが!!!」
「何言い合ってんの?まぁいいや。電子生徒手帳は学校生活に欠かすことのできない必需品だから、絶対になくさないようにね!!それと、起動時に自分の本名が表示されるから、ちゃんと確認しておいてね。単なる手帳以外の使い道もあるんだから。ちなみに、その電子生徒手帳は完全防水で、水に沈めても壊れない優れもの!耐久性も抜群で、10トンくらいの重さなら平気だよ!詳しい“校則”も書いてあるんで、各自、じっくり読んでおくよーに!何度も言うけど、校則違反は許さないからね!ルールは人を縛りもするけど守りもするんだ。社会でも、法律がないと平和は成立しないでしょ?それと一緒!だから、違反者は厳しく罰する必要があるのです!」


……唖然とする俺達を尻目に、モノクマは自信満々気に手帳の説明をした。
校則……あとで確認しておかないと。あいつも言ってたけど、知らずに違反して殺されたらたまったもんじゃないや。
おれが手帳を開こうとすると、急にモノクマははっと思い出したような表情をしておれ達を見回した。


「あ、そうそう!開会式終わる前にね、オマエラに紹介しておきたい人達がいるんだ!今回の学校生活の身の回りをサポートしてくれる、ボクの自慢の弟達を紹介します!」
「弟、達?」


かもーん、ブラザーという掛け声と共に、その場に似つかわしくない軽快な音楽が流れ出す。
それと同時に、証明が一気に暗くなり、モノクマと『弟』がいるであろう位置にポンポンとスポットライトが当たっていく。




『ねぇキミ!ちょっと聞いて!
 ボク、モノブラザーズ長男、モノクマでーす!
 リーダーシップに溢れたアイドル!
 夢はビッグなカリスマレジェンド!
 ボク達6匹兄弟なんだよ!すごくね?!』


『オレはモノブラザーズに生まれし次男、モノガラス
 静寂と孤独を愛する男 明日のことはノープランだ
 実はオレ達6匹兄弟なんだぜ?』


『はいどーも初めまして!
 僕はモノブラザーズ三男、モノインコ
 ぶっちゃけ、兄弟ん中で一番まともなの僕だから。他のやつとかないから
 まぁ6匹兄弟ってだけでもヤバいでしょ!』


『僕?モノブラザーズ四男……モノスワン
 今一抹の不安を感じたでしょ?それ間違ってないから
 しかも6匹兄弟だよ?』


『はいはーい!いいっすか?!
 ぼく、モノブラザーズの、えーっと、五男、モノフクロウ!すっげー元気!
 あとなんか腹減って来たかも!
 あ、ぼく達6匹兄弟なんだ!』


『やっとゆっくり話せるね
 僕、モノブラザーズ末弟。モニャン
 今彼氏いるの?へぇーフリーなんだ!
 うん。そう、僕達6匹兄弟なんだ。珍しいよね』



『こんな顔が6つあったって……いいよな?』




軽快な音楽が流れ終わると共に、照明は消え体育館の明かりがつく。
おれ達がさっきまでモノクマが立っていた場所を見てみると、既に6人兄弟と思わしきぬいぐるみは教壇に並んでいた。


「いやいや、練習の成果が出たね!よかったよオマエラ!」
「そういう兄さんが一番目立ちたかったんじゃないのー?スポットライト一番長く浴びてたし」
「それをいうならモニャンだって」
「えっとねー!おれ楽しかったよ!」
「スポットライト浴びるの一番短かったクズですがなにか……?」
「ブラザー!言い合いはせずとも仲良k『みんな、これからよろしくね〜!』」


息が合っているのか合っていないのか分からないような会話を繰り返し、6匹兄弟はおれ達に一礼をした。
性格はそれぞれにありそうだけど……全員、どことなく不気味だ。


「兄弟の紹介も終わったことだし、ボク達そろそろ帰るね!
 ではでは、開会式はこれで終了となります!豊かで陰鬱な夏合宿をどうぞ楽しんでください!じゃあ、まったね〜!」


唖然とするおれ達を残して、6匹はぞろぞろと体育館から消え去っていった。
おれの嫌な予感は、現実になってしまった。平和な学校生活は、一転危険な殺し合いに変わってしまったのだった。


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