二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【東方万華鏡】 この幻想郷で生き延びることを決めた
- 日時: 2017/04/05 09:30
- 名前: garba (ID: drOPLZQC)
序章 霊夢との出会い >>08
一話 通りすがりの魔女 >>01
二話 デジャブ >>02
三話 デジャブは前兆 >>03
四話 狂気 >>04
五話 能力と支配 >>05
六話 実践の時間 >>06
七話 鋭打 >>07
八話 魔の手 >>09
九話 感情 >>10
東方小説です。初見の方でも読みやすい様にしていますが、苦手な方、または設定がわからない方は調べるかしてお読みください。
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- Re: 神様が愛した世界に平凡な学生が転生してくるそうですよ? ( No.6 )
- 日時: 2016/11/07 22:05
- 名前: garba (ID: pEZQjgI.)
フラン「ん…ふわあ…ん、ここどこ…?」
永林「あ、やっと起きた。レミリアー!フラン起きたわよ。」
レミリア「フラン!!ああ、もう。無事でよかった…。どう、お目覚めは。」
フラン「ん…レミ…リア、何だか、体が重い…」
レミリア「だってさ、永林先生。」
永林「うーん…完全に回復するには時間がかかるわ。しばらく安静ね。」
レミリア「でも…なんでフランが突然おかしくなっちゃったの?」
永林「それは現段階ではわかんない。」
レミリア「…そう。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
霊夢「………んで、何の要件よ。」
鋭い目つきで霊夢が言った。
???「あやややや…そんな冷たく接しないでくださいよー。ちょっとここの人間さんを取材したいだけですってば。ね、優也さん。」
俺「文さん…修行で忙しいんです。帰ってもらえませんか…?」
文「でも…能力を持った人間なんて、紫苑さん以来です!それに、今後『支配』
での大きな戦力になることが…」
霊夢「支配のことを公開しちゃ駄目って言ってんでしょ!?住民は支配の計画も何も知らないんだからね!?それを公開したら…余計支配の範囲が大きくなるだけよ…」
俺「……」
霊夢「そのためにも、あんた!!」
俺「ん?」
霊夢は俺に指をさしていった。
霊夢「修行が足りない!!まだまだぁ!!」
俺「ちょ…休憩は!?」
文「ちょ…取材は!?」
俺・霊夢「あんたは黙ってろ!!」
文「…はぃ」
霊夢「よぉし!!大半の技は使えるようになったはずよ!それじゃ、実戦!」
俺「え、実戦って…」
霊夢「もちろん!この博麗神社の巫女、私が相手をします。」
俺「俺下手したら死ぬぞ…」
霊夢「ほら!文句言わない!戦闘準備ー?って、やれよ!!」
俺「え!?せ、戦闘準備!」
『いざ、勝負!』
「っ…、」
「…」
両者互いに見つめ合う。迂闊に攻めれば炎の餌食に。迂闊に攻めれば弾幕に巻き込まれることなどとっくに知っていたからだ。
俺「(今だ…!)」
霊夢は攻撃態勢にしか入っていない。つまりここで広範囲の攻撃を仕掛ければ少しは追い込めると考えた。
俺「炎符【フレイムバースト】」
俺は後ろの手に忍ばせておいた炎の弾幕を、一気に前に差し出し大きくした。
霊夢「っ!、神技「八方龍殺陣」!」
『ボォォォォォォォォォオォォォオン!!!』
お互いの弾幕がぶつかり合い、火花となって地面に落ちる。
霊夢「ここだっ!!」
霊夢は弾幕を飛び越え、上から勢いを付けてお祓い棒を下へ振り下ろした。
俺「っ!?」
咄嗟に反応できた俺は、大勢の崩した霊夢を狙い、攻撃を仕掛けた。
俺「砲符【フレイマーキャノン!】」
炎の弾幕がいくつもの連なった物を放ってしまったので、霊夢が避けたのか分からなかった。
霊夢「夢符【二重結界!】」
俺「っ?!」
突然聞こえた声に反応できず、俺は結界に囲まれてしまった。
霊夢「夢符 【夢想封印】」
俺「クソ…ッ!炎壁!」
『ボワッ』
その音と同時に、弾幕も直前で消えた。
霊夢「何が起きたの…?」
俺「炎符【火拳!!!】」
『ボォォォォォォォォォォォォオン!!』
霊夢「何っ!?【夢想転生!】」
その声と同時に、大きな爆発音がなる。
霊夢の放った弾幕は、俺の放った炎を通ってきた。
俺「クッ…!ここまでか…」
ーーーーーーーー後書きーーーーーーーーー
投稿遅れてすいません!!!!
なんかこれいうもの2回目な気がします…。
しばらくスランプ……おっと、休憩してたので遅れてしまいました。
それでは、次回も、『ゆっくりしていってね!』
- Re: 【東方万華鏡】 この幻想郷で生き延びることを決めた ( No.7 )
- 日時: 2017/02/09 21:23
- 名前: garba (ID: EFs6h6wo)
「ばいばーい!!!」
隙間なくオレンジ色に染まった空を背景に、男の子の無邪気な声が聞こえる。
なんか平和だなあとかなんとか思いつつも、さっさと帰路に着いたのであった。
「ただいま…。優也?いる?」
いつも通り清潔を保った玄関の段差を超えて、優也に声をかける。
いつもなら「お帰り。」だとか「遅かったんだな。」とか言うのに、今日は声が聞こえない。
寝てるのかな。とか思いながら居間を除いても優也の姿は見えない。
掃除が終わったばかりの庭を見てみると、砂が舞っていた。
その砂は、風なんかでできた砂嵐じゃなくて、何かが吹き飛んで出来た砂嵐の様に見えた。
砂嵐を掻き分けて、優也の姿を探した。
優也らしき人影が見えて、様子を伺う。
「優也?」
確かに優也は見えるのに、応答が無い。
おかしいと思いつつも、顔を見る。
「…あ、」
そこにいた優也は、いつもの優也ではなくて、何かに驚いた様な、そして信じられない様な眼をして、何処かを見ている。
優也の目線を眼で追って、先の風景を見てみる。
石の塀にはヒビが入って、掃除に使っていた箒が、怪力で押し込んだ様に石の塀にめり込んでいる。
「…何よ…これ。」
シンプルに驚いて、そう声に出した。
「分かんねえよ…触ったら、急に…」
優也はしどろもどろになりながらも、状況を説明して見せた。
霊夢は石の塀にめり込んでいた箒を手にとって見た。
「一箇所だけだ…」
その箒は、真ん中の一箇所だけが、傷ついていた。
「これ…なんなんだ?」
優也が少し落ち着いたのか、霊夢に問いかけた。
「…調べてみるわ。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「……ん、」
暗闇の中、天井の見慣れた木組みが目に入る。
木の匂いが鼻に自然と入ってきて落ち着く。
「…霊夢?」
まだ起きている霊夢が、『能力書』と書かれた分厚い本を真剣な顔で読んでいた。
「…ああ、優也。夕方のこと、だけどさ。」
夕方、俺は不思議というよりは奇妙な体験をした。
箒を持ったら箒が空中を舞う様にして塀に飛んで行った。
何があったのかもわからず、霊夢が帰ってきた。
「あのことだけどさ。多分、もう一つ能力が出来てると思うの。」
「もう一つ…?!」
炎を扱う能力が出来てすぐ、間髪入れずにすぐ二つ目の能力が出来る。
こんなことがあるのかと思いつつも霊夢の話に耳を傾ける。
「このページ見て。『重心を操る程度の能力ってあるでしょ?それだと思うの。」
重心を操る程度の能力という聞きなれない能力に困惑しつつも、続きを聞く。
「鋭打って言ってね。ものの重心、人の弱点を掴み、それを押すと、考えられないほどのダメージを相手に受けさせることができるの。簡単に言うと、一番攻撃するときに効果のある場所を、操ることが出来るの。」
「じゃあ、箒の重心を押したからあんなのになったのか?」
「そう考えられるわ。明日、永遠亭で調べてみましょう。明日は7時起きね。叩きおこすわよ。」
「相変わらず怖えな…まあ、いいや。おやすみ。」
そう言った瞬間、ぱたりと本を閉じて、霊夢も布団にもぐった。
- Re: 【東方万華鏡】 この幻想郷で生き延びることを決めた ( No.8 )
- 日時: 2017/02/11 11:54
- 名前: garba (ID: zAOtupQB)
僕は、知らぬ間に白い光に飲み込まれた。
何が起きてるんだろう。と思う以前に眩しすぎる光に恐怖を覚えた。
僕は目を瞑った。何かを固く決心したかのように目を固く閉じた。
ーーーこの光が『幻想郷』に続く道だとは知らずに。
「っ…、ユメ…?」
いいや、夢なんかじゃない。
心の中で俺ではない誰かが呟いたように思えた。
ここは、どこだろう。
という感情が芽生えた。
それと同時に家に戻れなかったらどうしようという焦りも感じた。
ーーー目の前に広がる光景は、緑の木々がただ広がっている森だった。
「ガルルルルル…」
その時、途方にくれる俺の目の前に狼が現れた。
狼と戦闘なんてできっこない。そう思った。
逃げようとしても三匹、四匹と狼に囲まれる。
「ガルッ!!」
まるで、逃げ惑う俺を嘲笑うように一匹の狼が離れていった。
ここだ。馬鹿にされたっていい。正面が空いた今、逃げるしかないじゃないか。
『タッタッタッタッ』
草が濡れていて足元が滑るのも気にならないほど必死に逃げた。
しかし、狼は残った三匹で追いかけてくる。
足元が恐怖で竦んだ。地面がツルツル滑るもので、狼に掠っただけで転んでしまいそうだ。
…いや、転んでしまいそうだではなく、転ぶの間違いだろう。
狼の足は速く、あっという間に足を噛みちぎられた。
「ガブッ!!」
狼の鋭い歯が俺の足を貫く。
「ぐわああああっ!!!」
俺は痛みのあまり叫んだ。
足から血が垂れていく感覚が伝わる。
俺の真っ白なスニーカーに血が垂れて赤に染まる。
顔には何滴もの汗が付いている。
もうダメだ。そう思った。
???「霊符!!夢想封印!!」
そんな絶望に叩き落とされた時、救世主が参上した。
これがお決まりのパターンだ。
その声と同時に、色とりどりの弾幕が狼を包み込んだ。
草から顔を上げ、見えた人はお祓い棒を持っていた。
赤い着物を着ていて、巫女のような服装だ。
「ちょっあんた大丈夫!?」
その巫女は急いで俺の元へ駆け寄ってきた。
「あ…ありがとう…。助かったよ。」
俺は痛みよりも、もう狼がいないという安心感から声が出た。
「あらら…これはしばらく安静ね。とりあえず、治療しに行きましょうか。
私は博麗霊夢。巫女よ。」
「あ、ああ、俺は 努矢 優也だ。ここはどこなんだ?」
「ここは『幻想郷』よ。」
「幻想郷?日本にそんな場所あったか?」
「信じられないかもしれないけどね…ここは日本ではないわ。」
「…………ふぇ?」
「まあ、そんな足のままいたくないでしょ。永遠亭に行きましょう。」
「永遠亭………?そんな病院もなかったはず…」
何か大事なことを聞き逃している気がしたが、後で詳しく話す。とのことなので、受け流した。
これからこのセカイが『支配』されるとも知らずに………
〜一章へ続く〜
- Re: 【東方万華鏡】 この幻想郷で生き延びることを決めた ( No.9 )
- 日時: 2017/03/11 20:29
- 名前: garba (ID: lStzZ.qK)
『ピッ、ピッ、ピッ、…』
永遠亭のベッドは、カーテンで仕切られていて、それぞれに器具が付いている。
不規則なような、規則性があるような、機械音が、静かな永遠亭にリズムのようにして流れる。
「フラン…!?」
「誰だ…?知り合いか?霊夢。」
驚いた顔をして診察室のベッドに寝ている金髪の女。
瞳を静かに閉じて、静かな診察室に寝息が聞こえる。
「フラン…何があったの?」
少し落ち着いて、霊夢が永林に聞いた。
「ええ。支配の計画がジリジリ進んでるわよ…。まずはフランに回ったみたい。」
「フランが…?」
「まあ、だいぶ回復してきてるし、回復したらまた紅魔館で暴れまくってるわ。」
「それはそれで怖いけど…まあ、例の件、分かった?」
例の件とは、俺の能力のこと。
あまり外部には漏らしてはいけないため、そう言っている。
「ええ。大体わかったわ、…でも、また大分扱いの難しい能力ができたわよ…」
「その件は大丈夫です。霊夢からみっちり厳しく修行を…ってうお!?」
普段から霊夢の厳しい修行に耐えているのだから、扱いが難しくても大丈夫。
そう言おうと思ったけど、霊夢には誤解された。
「余計な事…言わないでね?」
「そう言いつつ…俺の頭…掴むな…」
「はいはい。喧嘩はおしまい。まあ、霊夢がきちんと教育してくれてるんなら、安心ね。」
「教育って…」
「まあ、本題に入るわ。この能力は、『重力を操る程度の能力』。あらゆる物、人体の重心を操る事ができ、その重心をほんの僅かな力で押せば、相手を吹っ飛ばす事ができる。こう聞けば中々かっこいい能力だけど、それなりに扱いが難しいわ。まあ、炎もほぼマスターしてるんなら安心だけども…」
「まだ…あんまりイメージが掴めてないので…」
俺が不安そうにそうため息まじりにそう言った。
「当たり前よ。急に出来たんだからね。」
『パカッ。』
そう言いながら、永林は黒い布に包まれた瓶を開ける。
……なんか嫌な予感がするんだけど?
『キィーッ!』
その瓶から出た『虫』は、勢い良く、羽を開いて鳴き声を出す。
「可愛い…」
「うわあああああっ!」
霊夢の可愛いと思う感情に理解出来ず、俺は虫が苦手だという事を伝えようとすると、虫がすぐ目の前にいた。
「やめろおおおおっ!!」
そう手を振りかざしたら、ほんの僅かな手応えを感じた。
指先にぶつかって、ピクリとも動かない力なのに、虫は羽をしまって壁の方向へ飛んでいく。
『メリッ』
壁に何かがめり込むような音が少しだけ診察室に響き渡り、そして虫はもう動かない
「………?!、死んだ…のか!?」
ほんの少しの手応え、そして、指先だけに触れただけなのに、こんなにも吹っ飛んだ事。矛盾している気がして、不思議というよりは、驚いた。
「これが重力を操る程度の能力。今ので大分感覚はつかめたと思うけど…」
人差し指で触れた瞬間、普段ではありえないほど手応えを感じる。全力で拳を振ったような手応えで、かつ、力を入れずに。
永林曰く、あまり力を入れない事と、重力を正確に操る事がコツらしい。
その瞬間、窓から、活気のいい声が聞こえて、その次には、その声に従うようにしている人影が見える。
「何よ何よ…」
俺より先に異変に気付いていた霊夢が窓を開けて覗く。
「これは…」
霊夢の今までにない驚いた声に、動揺する。
「何だ…霊夢。」
「皆んな!隠れて!」
霊夢の驚いた声に動揺しつつ、霊夢の言うように机の下に隠れる。
その瞬間、破裂音がして、音、そして状況から察した。
「誰かが攻め込んできた。」
「ここを徹底的に探せ!いるはずだ!」
その野太い声が永遠亭の中に響いて、床に革靴のようなものが当たって、独特の音を出す。
「ん…?」
そう、不思議そうに見たのは、ベッドで寝ているフランだった。
「丁度いい…」
『ガチャ』
男はフランに向かって銃口を向ける。
霊夢の顔を見ようとしたけれど、霊夢はいない。
「ん…?っ!?お前は!?」
男は霊夢を見て一歩引き下がる。銃口を向けたまま、照準を合わせている。
その隙にもう一人の男が霊夢に気付いた。
「いたぞ!」
そう言った瞬間、霊夢に銃弾が一斉に放たれる。
目で追っても追いつけず、ただ、霊夢を探す。
「霊符!夢想封印!」
いつもの霊夢より、気迫ある声が聞こえて、少し安心する。
弾幕が息を呑む間に銃弾を弾いて、男たちを飲み込む。
「グッ…!」
ほんの少しだけ銃弾がかすって、霊夢の巫女服に血が滲む。
もう一人、ラスボス臭を漂わせている男がいるのに。
「やってくれたな…」
男は腰からピストルを取り出し、目で追いつかぬ間に霊夢に発砲する。
銃弾が当たって集中力を切らした霊夢は銃弾に直撃する。
「クッ…!【霊符…!】」
「やめろ!霊夢!」
俺はスペルカードを使おうとしている霊夢に立ち塞がるようにし、スペルを使うのを封じた。
「霊夢!そんな腕でまともに弾幕の照準を定められるか!ここは俺に任せろ!」
霊夢の腕では弾幕をまともに打てないと思い、必死に訴える。
「俺に任せろ?……言ってくれるぜ…威勢はいいがな…カッコつけても強さは変わらねえよ!」
『バッ!』
男は低空飛行をする様に俺と間合いを詰めてくる。
「やってくれたのは…」
『グキッ!』
男はあっという間に俺に間合いを詰めて、顎の骨を砕かれた様な激痛が走る。
「お前だろお!」
俺は男にカウンターを決める。
男は少し痛みの顔を見せた後、不気味な笑みを零した。
「【雷術!光殺魔!】」
「グッ…!!?」
俺の腹部に痺れた感覚が波のように押し付ける。
喉から鉄のような味がして、直ぐさま吐き出す。
『吐血』だった。
「っ…!【炎符!炎螺旋舞!】」
そう言った瞬間、俺の周りを炎が舞う。風圧のような物が俺の前髪を押し上げ、風に身を任せて、追い討ちをかける。
「【炎符!火拳!!】」
「っ!?」
相手は突然スペルカードを発動されたことに混乱し、炎に直撃する。
『ガラッ…』
相手は吹き飛ばされ、石壁に背中をぶつけ、壁の欠片がタイルの溝に落ちる。
「ッソ…!まだまだぁ!」
そんな威勢のいい声を上げたとき、相手の目の前には誰もいなかったであろう。
ーーーー既に、背後にいたのだから。
「ーーっ…!?」
「っあああああああ!!」
濁音混じりに怒りを拳に込めて、相手の顔面を殴る。
その反動で自分も腕から血が出て、なんとか立った姿勢を保つ。
「……」
「死んだ…のか」
相手が黙り、動かなくなったのを見て死んだのを悟る。
「…!!霊夢が!」
それと同じように霊夢も動かなくなっていて、次第に焦りを感じる。
「早く永遠亭に!…って、ここが永遠亭…!」
治療法も失った今、本当に霊夢が死んでしまう。そんな不吉なことが頭を過る。
「ックソ!霊夢!生きててくれよ!」
ただ、そう願ってみることしかできない自分を恨んだ。
- Re: 【東方万華鏡】 この幻想郷で生き延びることを決めた ( No.10 )
- 日時: 2017/04/05 09:29
- 名前: garba (ID: RochSOCT)
ーーーあれからの話をしよう。
救急団員、警察などの関係者が永遠亭を取り囲んだ。
そんな中、俺は追っ手を倒すことに専念していた。
「大人しく人質を渡せ!」
集団のリーダーらしき男が引き金を引き気味に言い放った。
「''人質''…?残念ながら、もう中は片付いてる。救急団員が霊夢を治療してるし、………」
言葉の途中、俺は徐ろに背中を見る。
そこには、こんな緊張感なんか欠片も感じない、場違いな寝顔があった。
「フランは、ここにいるしな。」
分かりやすい挑発をかました後、戦闘態勢に入る。
フランをおぶっているため、足技でしか対抗できないが、ものの150人相手。冷静に戦っていけばどうってこともない相手だ。
「……っ、ならば…返して貰おうか…フランドール・スカーレット!」
『ガガガガガガガガガッ』
男がそう言い放った後、一斉に俺に発砲される。
囲まれた形で発砲されたため、逃げる術はない。
「返す…?元々お前らの者じゃねえだろうが…!」
銃弾の群れを見極め、僅かな面積に足を乗せ、敵との間合いを詰める。
空中で横へ足を振った後、数人が倒れ、足から放出された炎が爆発を生み、爆風で殆どの集団は倒れた。
「(凄いな…人間との格差がこれ程あるとは)」
俺は改めて能力者と人間の格差を実感する。……自意識過剰じゃないからね?
「死ねぇ!!!」
周りの集団が次々と倒れていくのを見て怖気付いた様子の男が、更に俺に発砲する。
「懲りねえなぁ…【炎符!炎螺旋舞!!!】」
懐に隠しておいたスペルカードを発動させる。
瞬間俺の周りを炎が囲み、銃弾は散っていく。
俺が進めば炎の範囲が広がり、敵の方向に進む。
相手の姿を完全に確認してから、攻撃態勢へと入る。
相手からは、突然現れたとしか思わないはずだ。
「ーーーっ!?」
予想通り、敵は銃を足元に落とし、目を瞑る。
ああ、なんと無様だろうか。なんで哀れのだろうか。心の底から嘲笑った。
『シュッ』
炎を纏った足で蹴り飛ばす…つもりだったのだが、あまりにも対抗してこないので、かするかかすらない程度で止めて、相手を気絶させる。猫騙しといったとこだろうか。
「ふう…これで最後………」
ふと、安心したのが間違いだったのだろうか。
嘲笑い、戦意を粗末にしたのが間違いだったのだろうか。
この時も、何故このような愚かな人間を最後にしたのだろうと疑問に思ったのがいけなかったのであろうか。
『ガンッ』
金属が頭に激突したような激痛を何処からか感じる。
目の前は暗闇に包まれて、心臓が一気に止まった。
動き出したと思えば、心臓と共に体までもが細かく振動するように強い脈で、血の気が引いていくのがすぐ分かった。
「フフ……哀れだなぁ…油断しすぎだよ?さ、フランドール、返して貰おうか…!」
頭を掴まれた状態で、先ほどの哀れな状態とは全くと言っていいほど違う声音に、とんでもないほどの力。頭が割れそうな程、いや、いっそ割れてしまった方が楽なのかもしれない。
しかも、今掴まれ、哀れだと嘲笑われているのは、先ほど俺が哀れだと嘲笑っていた者なのだ。
ここで、ようやく気付いた。自分が一番哀れで、相手の''策略''にハマってしまったことを。
『ピキッ』
割れてしまった方が楽。その概念すらも間違っていたのか。
頭が割れる訳でもなく、中身の頭蓋骨が割れる感覚が、頭、ワンテンポ遅れて全身へと走る。
一つの技をかけられているだけなのに、様々な痛みが入り混じって、死んでしまいそうだった。
そして、またその時。
『バキッ』
耳から一瞬で消えるような、金属が割れたような音がなった。
金属が割れた音は、俺に来る痛みではなく、相手の方から聞こえたものであった。
次第に頭をつかんでいる手の力も弱くなり、どさり。と小さな砂埃を起こすようにして倒れた。
立ち上がろうとするも、もう言うことを聞かない俺の体。証拠に立ち上がろうとする意思は虚しく砂を爪で掻きむしってもがくだけだった。
俺を助けようとする声も、気に留められないほど。
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