二次創作小説(映像)※倉庫ログ

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陽だまりのコーヒー【暗殺教室】【完結】
日時: 2017/03/25 16:36
名前: くらリン (ID: yMcOisx5)

 四月から同居、四月から同居、四月から・・・
 烏間が同居の話を持ち出してくれた時、素直にうれしかった。
偽りだらけの恋愛で、もう忘れてしまった恋の味。そんな仕事で落とせない奴(ターゲット)なんていなかった。あいつを除いて。こいつも落としてやろう落としてやろうって色んなことしても、結局空回り。そんな毎日が、私のにとっての何になったんだろう。でも、烏間が落ちないから、そのたびに、私の仕事、やってきたことを、バカにされたような気がしてた。で、ムキになってたら今までの男たちに対する気持ちとは違う気持ちが芽生えてた。ラズベリーのような、甘酸っぱい。

「イリーナ、聞いているのか?」
「あっごめんちょっと考え事。」
今日は、明日からの同居に向けて買い物をしていた。
「で、どっちにするか決めたのか?」
「うん。こっちのほうにするわ。」
「そうか。」
選んでいたのは棚だった。今日はこんな調子ですでに机と椅子、なぜか枕を一つ買っていた。購入を澄ませて、ショッピングモールの中を回って、食べ物の店を探していた。
 途中にペットショップがあった。店先には柴犬が柵の中にいた。しかし、
「ワンワンワンッうーッワンワンワンっ」
いきなり吠え出した。不思議に思っていると烏間が
「ああ。いつものことだ。心配するな。犬の前を通ると必ず死に物狂いで吠えられるんだ。俺としては好きなんだがな。」
 その少し笑った横顔が、私は好きだ。

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Re: 陽だまりのコーヒー ( No.1 )
日時: 2016/11/01 17:20
名前: くらリン (ID: yMcOisx5)

「ここだ。」
烏間がいつものように言う。
「ふーん。思ってたよりは普通だわ。」
「そうか。」
「俺は午後から仕事だ。探索すればいい。」
 腕時計を見ると針は10時半を告げていた。
「お昼は?」
「考えてない。」
「あたしが作るよ。」
「いいのか?」
「うん。」
同棲は、結婚でも、交際とも違う。烏間に私への恋愛感情があるとは限らない。そんなことは忘れるかもしれない。でも、必ず結末は来るんだ。

 部屋の中に入ると烏間の匂いがした。落ちつく匂いが。
 ターゲット、いや殺せんせーの次に警戒しなくて済む奴だ。あのタコは私に危害を加えることもない。また守る必要もない。
 烏間は私を襲うこともない。私に・・・興味なんてないんだから。
 そんなこと考えてる暇はない。
 烏間の好きな食べ物。わからない。わからない。わからなすぎる。わからないところが、ありすぎた。今更のように感じたこのことはもう昔にわかってたはずなのに。
 そうだ。自分が作りたいものを作ればいい。そうしよう。
 持ってきたエプロンをつけた。
 パスタを茹でてピーマン、ベーコンを切って。そうして昼ご飯の支度を始めた。
 
 できたっ!
イリーナの声でキッチンの方を見た。
「ほらっ昼ご飯できたよ〜」
「そうか。」
出てきたのはナポリタンだった。
「ナポリタンって、日本でできたやつなんでしょ?だから作ってみた。」
 その笑顔が、安心する。 

Re: 陽だまりのコーヒー ( No.2 )
日時: 2016/11/03 13:28
名前: くらリン (ID: yMcOisx5)

 烏間が仕事に行ってから、言われた通り部屋を探索した。おかしい事に気付いた。ベットが一台しかないのだ。ダブルベットが一台。・・・・
 もしかして・・・・・・。
そんなわけないとそんなわけないと自分に繰り返した。ありえない。だってだって・・・・・。
 ダブルベットが一台。ダブル。烏間と、あたしっ⁈
そんな男女が一つ屋根の下同じベットでっ・・・

 私の予想は当たっていた。現に今、烏間は私の隣で寝ている。ドキドキして寝てられない。いつもだったら烏間をとっくのとうに襲ってる。それは昨日やった。でも起きない。どうしたら烏間はその気になってくれるんだろう。そんなことを考えながら烏間の寝顔を見ていた。


 いつものように自宅のドアの前に立つ。今は九時。さすがにイリーナも。そう思ってドアを開けると
「烏間見て〜バニーガールっ💛」
「・・・・・」
同棲を始めて一か月がたった。そんな時家に帰るとイリーナが玄関先でコスプレをして待っているのだ。昨日はパンダだった。
「こんな私を見ても何も思わないわけ⁈」
「ああ。」
「つまんないのー。」
そういってイリーナはウサギの耳を外した。
「お風呂沸いてるよ一緒に入る?💛」
「結構だ。」
「ふーん。」

Re: 陽だまりのコーヒー ( No.3 )
日時: 2016/11/11 20:41
名前: くらリン (ID: yMcOisx5)

 どうして烏間は食いついてこないのだろう。何がいいかな・・・
そう思ってネタ帳を開く。
 眠い。
 でも・・・・
 マーメイド
 水着・・・・
 だめだ眠い・・・

 風呂から上がるとイリーナが机に突っ伏していた。手には手帳が。明日のネタか・・・・汗
 パジャマが笑われるほど似合わないので最近はバズローブなのだが(イリーナ命令)もう慣れてしまった。寝ているイリーナをそっと持ち上げベットへ運ぶ。相変わらず軽い。どうしてこんなにも軽いのか。
 揺れる金色の髪、白い指。同居するまでは気にも留めなかった小さなことが目に映るようになった。妹のような存在だったイリーナが妹のように感じなくなったのはいつからだろう。こういう感情を何というのか。一般論はわからない。イリーナには聞けないな。
 とりあえず寝てみるか。目を閉じるとイリーナの寝息が聞こえてくる。可愛いな。
ん?
手が回ってきた。イリーナだ。俺に抱き着く形になっている。どかすのも面倒なのでとりあえず寝てみるか。
 小さな、青い三日月の夜が明けるまで。

Re: 陽だまりのコーヒー ( No.4 )
日時: 2016/12/17 17:01
名前: くらリン (ID: yMcOisx5)

同居してから、三年の日がたった。
三年間、ずっと平和だった。
私が求めている、暖かい日が。
今は防衛相で働いている。カラスマと一緒に帰れることも少なくなっていた。
 カラスマは私の事、どう思っているのだろう。妹?同居人?
私なんかがカラスマのそばにいていいのだろうか。
カラスマが防衛相で働く女性と話していればカラスマに合うのはああいう人なのだとも思ってしまう。
 あっ!
 雨・・・・・止みそうにもないな。・・・カラスマ、傘持ってないだろうな・・・・。
 防衛相から近い自宅から車で迎えに行くことにした。
 あのアプリでカラスマと連絡を取る。
『迎えに行く待ってて!』
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「カラスマ〜」
「イリーナ・・助かった。」
そういうと、イリーナは満足げに笑った。
「ちょっと待ってくれ。忘れ物だ。先に戻っててくれ。」
「うん・・」

イリーナ。
金色の髪、白い指先、蒼い瞳、冷たいあの・・・
やめた。
考えるのをやめた。これ以上、考えない。不安な事。

忘れ物、書類を取りに戻り、車を探す。
車がみつかっt・・・・
鋭く光るあの・・・・よく知っているあの・・・・・
どっと不安が押し寄せる。必死に走る。

Re: 陽だまりのコーヒー ( No.5 )
日時: 2016/12/17 17:08
名前: くらリン (ID: yMcOisx5)

金色の髪、白い指先、蒼い瞳、冷たいあの・・・
金色の髪、白い指先、蒼い瞳、冷酷で命を奪うあの・・・
急いでイリーナのもとに近寄る
———————————————————————
後部座席にヤツがいた。イリーナの同業者。
俺が駆け付けたときにはヤツは気絶していた。
イリーナは、あの日の目をしていた。
死神に会った、あの日の。
「大丈夫かっ」
「・・・・ええ。」
その声は弱弱しく、少し震えているようだった。
ヤツを車から放り出し、運転した。
車内は、雨音が響く、それ以外無音の寂しい空間だった。


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