二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 仮面ライダー 鎧武&オーズfeat.ライダーズ 〜暁の鎧〜
- 日時: 2017/04/29 23:15
- 名前: YU-KI ◆.FlbxpLDSk (ID: YohzdPX5)
これは交差する物語。
これから語られるのは二つの世界の物語であり、一つの世界観の物語である。
かつて語られた、二つの物語の延長線上に位置しているこの物語は、想像の世界の続きでもある。
一年間の物語と大戦の物語、そして終幕の先の更なる先の物語。
可能性の物語であり、狭間の物語。
欲望の種は大きな混沌の中で果実を実らせる。
物語の時計の針を動かすのは観察者であり、物語を導くのは通りすがりの者達。
鍵と金貨の物語は交互に語られ、いずれ一つのうねりを見せるだろう。
その未来は、今はまだ先のこと……。
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- プロローグ 武神の世界 ( No.4 )
- 日時: 2017/05/10 01:17
- 名前: YU-KI ◆.FlbxpLDSk (ID: 3z0HolQZ)
「なにっ!?」
油断した武神ディケイドは身体に組み付いたホエールイマジン諸共橋の上を飛び出し、真下に広がる海の中へと落ちていった。
無数の気泡に囲まれながら、見る見るうちに海底に沈んでいく武神ディケイドとホエールイマジン。
水面から差し込んでいた陽の光が少しずつ遠ざかっていく。
武神ディケイドの身体にしがみ付いたまま、ホエールイマジンは鰭の様な手で武神ディケイドの顔面を何度も殴っていく。
このまま深海まで引きずり込み、水圧で武神ディケイドを押し潰してやろうと、ホエールイマジンは考えていた。
クジラの特徴を持つホエールイマジンにとって海中はテリトリーのようなもの。
このままでは本当に海の藻屑となってしまう。
さすがに焦りを感じた武神ディケイドは、早急にこの事態を打破するために、辛うじて動くその手でカードを取り出し、ディケイドライバーに装填した。
『フォームライド・キバ・バッシャー!!』
次の瞬間、武神ディケイドの身体が吸血鬼や蝙蝠を連想させる西洋の戦士——武神キバのものへと変化し、さらに胸部アーマーと右腕が無数の鎖に包まれて魚人の様な形態にチェンジした。
武神ディケイド(キバ・バッシャーフォーム)。
水中戦を得意とするバッシャーフォームに姿を変えた武神ディケイド(キバ)は、右手に召喚された銃——バッシャーマグナムの銃口をホエールイマジンの腹部に押し当てた。
「な〜ん〜だ〜?」
違和感を感じたホエールイマジンは、武神ディケイドを殴る手を止めて自らの腹に視線を移す。
その瞬間、武神ディケイド(キバ)はバッシャーマグナムの引き金を引いた。
「うおっ!? おおお〜……」
銃口から連射された何発もの水圧弾が、ホエールイマジンの身体を水面に向かって押し上げていく。
物凄い勢いで浮上していくホエールイマジンの姿を捉えながら、武神ディケイド(キバ)はさらにカードを取り出す。
『フォームライド・デンオウ・ロッド!!』
武神ディケイドの姿がさらに変化を遂げる。
武神キバ・バッシャーフォームの姿から、電車の力を備えた戦士——武神電王の素体プラットフォームの姿へと変わり、その上に青いアーマーと海亀の様な形状のマスクが装着される。
武神ディケイドは武神電王・ロッドフォームの姿へと変化した。
バッシャーフォームと同じく、ロッドフォームも水中戦が得意な形態だ。
ホエールイマジンの後を追うように、武神ディケイド(電王)も水面に向かって急浮上する。
先に水面を飛び出したホエールイマジンは、その勢いのまま空中に投げ出される。
遅れて海からジャンプした武神ディケイド(電王)は、ホエールイマジンよりもさらに高く上昇し、空中で新たなカードをディケイドライバーに装填した。
『ファイナルアタックライド・デデデデンオウ!!』
右足にフリーエネルギーが集中し、武神ディケイド(電王)はその足を前面に突き出した。
「はぁああああー!!」
必殺技デンライダーキックが炸裂。
「ちょっと待っ…ぎょわぁああああ〜……」
空中で直撃した武神ディケイド(電王)の右足の破壊力に、ホエールイマジンの身体は爆発。断末魔を上げながら木っ端微塵に消し飛んだ。
黒煙をバックに、武神ディケイド(電王)は橋の上に着地した。
ホエールイマジンを最後に、道中に立ち塞がった5体の怪人は全て消滅。
カードの効果が切れ、元の姿に戻った武神ディケイドは、トライドロンとマシンゴーストライカーが走り去った方角を見つめながらホッと胸を撫で下ろした。
「ま、こんなもんか」
ため息交じりで呟いた武神ディケイドの姿が残像となって消滅し、替わりに1人の青年が武神ディケイドが立っていた場所に現れた。
ロングコートを身に纏った茶髪の青年は、首にぶら下げたピンク色の2眼のトイカメラを手に取ると、ランマルとシグレ、そして2人の武神ライダーが通った武神鎧武の根城へと続く道筋をレンズ越しに覗き込んだ。
真っ直ぐと伸びた道にカメラのピントを合わせると、青年は徐にシャッターを切った。
「用事はもう済んだのか?」
唐突に背後から声がした。
青年はカメラから瞳を離すと、その視線をそのまま声がした背後へと向ける。
「ああ。悪かったな、役目を代わって貰って」
青年の視線の先にいたのは、武神ディケイドと全く同じ姿をした一人の戦士だった。
戦士は腕組みをしながら軽く顔を横に振る。
「気にするな。しかし驚いたよ。俺と同じ姿をした武神が他にも存在して、そいつが俺の前に現れた時は」
「ふっ。俺は武神じゃない。まあ、似たようなものだけどな」
「教えてくれ。君は一体何者なんだ?」
青年の前に現れた戦士は、緑色の複眼を青年に向けながら尋ねた。
「俺はただの旅人さ。無数に存在する世界を渡り歩く、写真好きのな。ただ、この世界では“やること”があってな。そのために、俺と同じ姿のお前に役目を変わって貰ったって訳だ」
「その“やること”っていうのは?」
「お前達の仲間の“あの2人”、シグレとランマルだったか……。あいつらを無事に送り届ける事。それがこの世界で俺がやること、らしいぜ」
「なぜあの2人を?」
「さあな。俺にもよくわからん」
「ふむ……。なんとも珍妙な話だな」
「ああ。大体わかってくれればそれで良い」
「そ、そうか……。ところで、君はこれからどうする? 皆の後を追うのか?」
「いや、俺の役目はここまでだ。他にも武神が同行してるし、後はあいつらの物語だ。俺はここで失礼する」
「わかった。随分と不思議な経験をさせてもらったが、君に会えて良かった。そうだ、最後に名前を聞かせてくれないか?」
「門矢 士。通りすがりの仮面ライダーだ。覚えなくて良い。……じゃあな」
そう言って軽く手を振ると、青年——門矢 士は現れた灰色のオーロラの中へと消えて行った。
「門矢 士……。仮面ライダーディケイドか……。いずれまた会おう!」
消えてゆくオーロラに向かって、戦士——本物の武神ディケイドも力強く手を振り返した。
世界を繋ぐ旅人は、こうして武神の世界を後にした。
- Re: 仮面ライダー 鎧武&オーズfeat.ライダーズ 〜暁の鎧〜 ( No.5 )
- 日時: 2017/05/10 12:53
- 名前: ハナ@閻魔天使 ◆vNlZvSsx3A (ID: kDko/hPR)
展開がとても面白いです!
仮面ライダーにはあまり興味はないですが…面白いですね。
参考にしたいとか思ってます!
よかったら私が書いている小説も読んでください!
今後の更新期待、応援しています!
- 仮面ライダー 鎧武&オーズfeat.ライダーズ 〜暁の鎧〜 ( No.6 )
- 日時: 2017/05/10 23:00
- 名前: YU-KI ◆.FlbxpLDSk (ID: Oh9/3OA.)
>>5ハナ様
コメントありがとうございます!
感想を頂けて死ぬほど嬉しく思っております。
まだまだ未熟で文才も大したことありませんが、
引き続き頑張りますので宜しくお願いします!
ハナ様の作品、喜んで拝見させて頂きますね!
- プロローグ 武神の世界 ( No.7 )
- 日時: 2017/05/13 12:40
- 名前: YU-KI ◆.FlbxpLDSk (ID: Dbh764Xm)
☆
鬱蒼とした森の中。
無数に聳え立つ背よりも高い木々。
盛んに生え広がった枝葉に阻まれて、天から降り注ぐ陽の光もほとんど届かない。
そんな薄暗い森林の奥へと続く一本道を、トライドロンとマシンゴーストライカーはただひたすら走り続けた。
この不気味な森の、奥の奥の更に奥に、武神鎧武が生前に根城にしていた洞窟がある。
武神ディケイド——いや、武神ディケイドに成りすましていた仮面ライダーディケイドと別れたランマルとシグレ、そして2人の武神ライダーは、その洞窟を目指して前進する。
森の中を1時間ほど走り続けると、2台のマシンのヘッドライトが前方に現れた巨大な岩壁を照らし出した。
岩壁の一部には大きめの真っ黒い穴が開いており、一本道もその穴の前で途切れていた。
停車したマシンから降り立ったランマルとシグレ、武神ドライブと武神ゴーストは、周囲を警戒しながらゆっくりと岩壁の穴へと近づいていく。
が、しかしその時、唐突に頭上から飛び降りてきた4つの影が、2人の戦士と2人の武神ライダーの前進を妨げた。
「下がれ!」
ランマルの咄嗟の言葉を合図に、一同は一斉に後退りして現れた影から距離を取った。
行く手を塞ぐようにその姿を見せた4つの影は、やはりどれも異形の姿をした怪人だった。
ロード怪人——クイーンジャガーロード・パンテラス・マギストラ。
ミラーモンスター——シールドボーダー。
地球外生命体ワーム——ビエラワーム。
ファンガイア——シースターファンガイア。
橋の上で遭遇した連中と同様、外見も種族もバラバラだが、共通するのはこいつらも武神鎧武軍の残党兵だという事。
「ちっ! またか!」
ランマルはうんざりした様子でホルスターから拳銃を抜き取った。
続けてシグレも鞘から刀を抜く。
武神ドライブと武神ゴーストもそれぞれ武器を手に取り、戦闘態勢に入る。
「ここから先へは行かせない……」
「グモォオオオオ!」
「ギィイイイン! ギィイイイン!」
「アッハハハハハハ!!」
クレオパトラの様な衣装に身を包んだ女性型の豹怪人——クイーンジャガーロードは人語を用いながら、武器の錫杖をシャリンと鳴らした。
しかし他の怪人達はまともな言葉を口にすることもせず、各々特徴的な鳴き声やら奇声やらを高らかに発するだけであった。
森のざわめきと共に戦いは始まった。
戦士と怪人は一斉に走り出しぶつかり合う。
シグレの刀とクイーンジャガーロードの錫杖が激しく火花を散らし、ランマルの放った弾丸をシールドボーダーの盾が弾いていく。
『カイガン! ロビンフッド! ハロー! アロー! 森で会おう!』
緑色のパーカーゴーストを身に纏い、武神ゴーストはロビン魂へと姿を変えた。
弓の名手であるロビンフッドの魂をその身に宿した武神ゴーストは、ガンガンセイバー・アローモードを手にシースターファンガイアを狙い撃つ。
『ドラァーイブ!! ターイプワイルドォー!!』
武神ドライブは赤いボディのタイプスピードの姿から真っ黒い4WD車の様なボディのタイプワイルドへと変化した。
基本形態であるタイプスピードが言葉通りスピードに特化した形態なら、タイプワイルドはパワーに特化した形態だ。
専用剣——ハンドル剣を手に、武神ドライブ・タイプワイルドはビエラワームの身体に重い斬撃を浴びせていく。
「ギィイイイン!」
バイオリンムシによく似た性質を持つビエラワームは、バイオリンをかき鳴らしたかの様な耳障りな鳴き声を上げながら後退りする。
武神ドライブが更に追い討ちを仕掛けようと突進するが、するとその時、一瞬構えたビエラワームが刹那の間に武神ドライブの視界から姿を消した。
「なにっ!? 消えた……?」
突然標的を見失い、戸惑う武神ドライブ。
すると次の瞬間、
「うぐっ!?」
身体に鋭い衝撃とダメージが与えられ、武神ドライブはバランスを崩して地面を転がった。
「なんだ今のは……」
唐突に襲い掛かってきた見えない攻撃に、武神ドライブは慌てて周囲を見回すが、やはりビエラワームの姿は何処にも無い。
ただ、何かが近くを駆け回る気配だけは微かだが感じ取ることができていた。
『落ち着け、武神ドライブ! これは恐らく、武神カブトや一部の敵が持っている超加速能力——クロックアップだ!』
苦戦する武神ドライブを見兼ねてそう助言してきたのは、武神ドライブの腰に装着されたベルト——ドライブドライバーだった。
「トノサマ!」
現在、全国に16人存在する武将達。その中でも武神ドライブが仕える武将はかなりの変り種だった。
自らも己の軍を守護する武神ライダーと共に戦いたい。自分も武神ライダーの戦いの助けになりたい。そう考えた武神ドライブ軍の武将は、己の肉体を捨て、自分の魂も記憶も人格も——その全てをドライブドライバーという器に移し替えたのだ。
機械の身体——ドライブドライバーそのものになった武将は、武神ドライブと一心同体となり、戦闘のあらゆる面で武神ドライブのサポートを担っている。
『敵は消えたのではない。時間流に干渉して眼に見えないほどの速度で動き回っているんだ!』
「どうすれば奴を止められる?」
『こちらもスピードを強化して対抗しよう! スピード自慢のドライビングテクニックを見せてやると良い!』
「了解だ! ひとっ走り付き合ってもらうぜ、トノサマ!」
そう言って威勢良く立ち上がった武神ドライブは、左腕のシフトブレスに青いフォーミュラカー型のシフトカーを装填した。
『ドラァーイブ!! ターイプフォーミュラァ!!』
電子音声と共にタイプワイルドのボディが解除され、替わりに青いレーシングカー型のアーマーと黄色いヘルメットが装着された。
武神ドライブ・タイプフォーミュラ。
最もスピードに優れた武神ドライブの強化形態である。
『フォ・フォ・フォーミュラ!!』
武神ドライブは早速左腕のシフトレバーを3回倒し、加速状態に移行した。
「スピード勝負だ! いくぜっ!」
大地を踏み込み、一瞬にしてクロックアップ状態のビエラワームに追いつく。
「見えた!」
加速空間の中でビエラワームの姿を捉えた武神ドライブは、並走しながらその拳を振り上げる。
武神ゴースト・ロビン魂が連続で放つ光の矢を、ヒトデの様な怪人シースターファンガイアは軽快な身のこなしで周囲の木々を盾にしながら回避していた。
「くそっ! すばしっこい奴……」
なかなか矢が命中しない事に武神ゴーストが苛立ちを感じていると、その隙を狙ってシースターファンガイアが反撃を仕掛けてきた。
木の影からヒョコッとその姿を露にしたシースターファンガイアは、身体の中心にあるコアから電撃を放出した。
「なっ!? ぐわぁああああ……」
電撃をまともに喰らい、感電した武神ゴーストは力が抜けたように両膝を付いた。
「アッハハハハハハハハ!!」
狂ったように笑いながら、シースターファンガイアは武神ゴーストの方へゆっくりと歩み出す。
「まだだ……。相手が電気なら、こっちだって!」
よろめきながらもなんとか立ち上がった武神ゴーストは、懐から黄色い眼魂を取り出した。
腰のゴーストドライバーにその眼魂をセットし、力を込めてレバーを押し込む。
『カイガン! エジソン! エレキ! ひらめき! 発明王!』
ゴーストドライバーから飛び出した銀色のパーカーゴーストを身に纏い、武神ゴーストはエジソン魂へとチェンジした。
エジソン魂は、発明家トーマス・エジソンの魂を宿した電気の属性を持った姿だ。
銃形態ガンガンセイバー・ガンモードを手に取り、武神ゴーストはシースターファンガイアに狙いを定める。
「ハハハハッハ〜!!」
相変わらずの不気味な笑い声を上げながら、シースターファンガイアは立ち上がった武神ゴースト目掛けて再び電撃を放つ。
しかし、武神ゴーストが羽織った銀色のパーカーが、シースターファンガイアの電撃を全て吸収する。
「お返しだ!」
そう言って武神ゴーストはトリガーを引く。
ガンガンセイバー・ガンモードから撃ち出された電気を纏った弾丸が、シースターファンガイアの身体を貫いた。
「イギャア!?」
己の放った電撃が全て吸収された事に戸惑いを隠せなかったシースターファンガイアは、武神ゴーストの攻撃にも対応しきれず、電気の弾丸をまともに喰らった。
「もらった!」
シースターファンガイアが怯んでいる隙に、武神ゴーストはガンガンセイバー・ガンモードをゴーストドライバーにかざす。
『ダイカイガン! オメガシュート!』
ガンガンセイバーの眼の紋章とゴーストドライバーの中央にある眼球が重なり、エネルギーの送受信アイコンタクトが行われる。
武神ゴーストは電気エネルギーが蓄積されたガンガンセイバー・ガンモードの銃口をシースターファンガイアに向ける。
「はあっ!」
次の瞬間、トリガーは引かれ、銃口からより一層強力な電気の光弾が放たれた。
「ギャァアアアア……!」
眩い光をその身に受けたシースターファンガイアの身体は、ガラスの様に音を立てて粉々に砕け散った。
- プロローグ 武神の世界 ( No.8 )
- 日時: 2017/05/13 12:59
- 名前: YU-KI ◆.FlbxpLDSk (ID: Dbh764Xm)
木と木の間を猛スピードで潜り抜けながら、武神ドライブとビエラワームは激しくぶつかり合っていた。
ビエラワームが鞭の様に伸ばす触手の攻撃を回避しながら、武神ドライブ・タイプフォーミュラは一気に距離を詰める。
そして、敵の腹部に強烈なパンチを叩き込み、ビエラワームを背後の樹木に叩きつけた。
その一撃により、ビエラワームのクロックアップは強制的に中断した。
同時に武神ドライブの超加速も止まり、周囲からもその姿が視認されるようになった。
『チャンスだ、武神ドライブ! 相手が再びクロックアップする前に止めを刺すんだ!』
「わかってるぜ、トノサマ! こいつで一気に決める! 来い! トレーラー砲!」
武神ドライブの呼び声に呼応して、青い大型トレーラーの形をした大砲が戦場に駆けつけた。
武神ドライブは手にしたトレーラー砲の銃口の上部にフォーミュラカーのシフトカーを装填、トレーラー砲を起動させた。
タイプスピードとタイプワイルドへの変身に用いる2つのシフトカーをトレーラー砲の中に格納し、エネルギーを蓄積させる。
『ヒッサァーツ!! フルスロットル!! フルフルフォーミュラー大砲!!』
徐々にテンションが上がっていく電子音声と共に、武神ドライブはトレーラー砲の銃口をビエラワームへと向ける。
銃口にはエネルギーが集中し、キラキラと光が漏れている。
いつでも発射できる状態だった。
「くらえっ! はっ!」
武神ドライブは背後の木に凭れ掛かっているビエラワームにしっかりと狙いを定めると、気合と共にトリガーを引いた。
次の瞬間、トレーラー砲から強力なエネルギー波が放たれた。
「ギッ……ギィイイイイイイィィィ…ィ…」
悲鳴の様に聞こえる甲高い奇声を上げながら、ビエラワームの身体は体重を預けていた背後の樹木諸共、焼き尽くされて消滅した。
ランマルが発砲する銃弾をものともせずに、シールドボーダーは手にした盾を前に突き出し勢い良く突進を繰り出してきた。
イノシシをモチーフとするシールドボーダーのその姿はまさしくそれそのもの。
猪突猛進という言葉を全身で表すかの様な勢いだった。
「くっ!」
ランマルはやむを得ず銃撃を中断すると、横転してシールドボーダーの走る軌道から外れる。
標的を見失ったシールドボーダーはそのまま木々を薙ぎ倒していく。
「なんて破壊力だ……」
ドミノ倒しの様に横たわっていく樹木の姿に、ランマルは思わず戦慄した。
あんな一撃をまともに喰らえば、生身である自分の肉体なんて一瞬にして砕け散るだろう。
想像しただけでもなんともおぞましい。
何本もの木にぶつかった事で突進の勢いが弱くなり、ようやく自らの意志で停止したシールドボーダーは、くるりとその身体を方向転換させ、再びランマルの姿を捉えた。
もう一度盾を前に出し、力強く何度も大地を踏みしめて勢いをつけている。
またあの突進を繰り出すつもりだ。
さっきはなんとか回避できたが、もう一度アレを避ける自信はさすがのランマルにも無かった。
「どうすれば……」
万事休すだった。
なんとか対抗策を見つけ出そうと思考を駆け巡らすが、そうしてる間にシールドボーダーが発進してしまった。
「グモォオオオオ!!!」
地面に響く様な、なんとも低い咆哮を上げながら、シールドボーダーが凄まじい勢いで近づいてくる。
一か八か、もう一度回避を試みようと両足に力を入れた。と、その時、
『カイガン! ベンケイ! 兄貴! ムキムキ! 仁王立ち!』
ベルトから鳴り響く電子音声と共に、空中で武蔵坊弁慶の魂を身に纏った武神ゴースト・ベンケイ魂が、両手に構えたガンガンセイバー・ハンマーモードをシールドボーダー目掛けて振り下ろした。
「グモッ!?」
まだ自分でブレーキを掛けられる速度だったシールドボーダーは、慌てて急停止すると盾を頭上に突き出し、武神ゴーストのハンマーの一撃をギリギリのところで防御した。
「コイツは俺に任せて!」
シールドボーダーと鍔迫り合いをしながら武神ゴーストがランマルに言い放つ。
「武神ゴースト!」
突然乱入してきた武神ゴーストの姿に、ランマルは呆気にとられた。
「2人は先に、洞窟の中へ!」
そう言って続けて駆けつけたのは武神ドライブ・タイプフォーミュラ。
クイーンジャガーロードとチャンバラを繰り広げていたシグレの前に乱入し、ハンドル剣で敵の攻撃を引き受けた。
「武神ドライブ!」
「こいつらを倒したら、俺達もすぐに後を追うから!」
「2人は早く敵地の制圧を!」
「……わかった。ここは任せるぞ! 行くぞ、シグレ!」
「うん! 武神ドライブと武神ゴーストも気をつけて!」
この場を武神ドライブと武神ゴーストに預け、ランマルとシグレは洞窟の中へと入って行った。
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