二次創作小説(映像)※倉庫ログ
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- 【ひとまず完結】戦闘中 〜ボクらの絆〜 ※オリキャラ
- 日時: 2018/06/23 17:20
- 名前: フウ (ID: fDoLpxww)
はじめまして! この度小説を投稿いたしましたフウと申します。
カキコ初心者でお見苦しい所も多々ありますが、少しずつ慣れていこうと思います。どうぞよろしくお願いいたします(*^^*)
今回は先月放送の戦闘中で再熱しましたので、個人戦復活祈願も兼ねて数年前にエタった二次小説を短編へと編集し直しました。
他の方が投稿なさっているクロノス系小説と大分毛色が違うので、諸注意を必ずご一読ください。
※諸注意※
・他作品のキャラクターは出ません(重要)。登場人物はオリキャラのみです。
・近年放送されているチーム戦の戦闘中ではなく、第零陣〜第五陣あたりの個人戦メインだったころの戦闘中を踏襲しています。
・大枠は本家のルールと同一ですが、独自ルールもぼんぼこ出てきます。
・内容は「同一ゲームに参戦している3人のオリキャラプレイヤーと、それぞれの忍との交流」を描いた(つもり)の短編3本です。作者は忍好きです。
・pixivにも同作品を投稿しています。
※Menu※
○battle for fight 連携中
>>1 >>2 >>3
○battle fou you 誓約中(微メカバレ注意)
>>5 >>6 >>8
○battle for money 激闘中
>>10 >>11 >>12
○各話あとがき&登場人物設定&舞台設定
>>14
- Re: 戦闘中 〜ボクらの絆〜 ※オリキャラ ( No.5 )
- 日時: 2018/06/18 23:09
- 名前: フウ (ID: fDoLpxww)
○battle fou you 誓約中
【通達】
敗者復活戦に使用した恐竜を解き放った。計3体。極度の興奮状態にあり、動くものを見境なく襲う。回避する方法はない。
【ミッション】恐竜を撃退せよ
武器屋に「エネルギーパック」を追加した。これを所定の場所まで運び、「戦車」を起動せよ。
◇
そう遠くないところで、誰かの悲鳴が聞こえた。
長く尾を引く絶叫と地鳴りにも似た咆哮に、レッドは思わず足を止める。前方を警戒しながら先行していた赤い腕輪の忍がマスターの怯えを察し、すぐに引き返してきた。
案ずるなと諭すように、一度だけ深く頷く。射通す視線に励まされ、レッドは何とか小さな笑みを浮かべた。胸に抱えたエネルギーパックをぎゅっと握りしめる。
「うん。わかってる」
息を整え萎えかけた足に鞭打ち、レッドは再び城下町の街道を走り始めた。拝殿が破壊された神社を右に曲がり、踏みつぶされた幾百の番傘を飛び越え、一心不乱に足を動かす。早くこれを届けないと、そう遠くないうちに犠牲者が出る。
「レッドちゃん!? あんたまさか、あの馬鹿げたミッション参加するつもりなの!?」
通り過ぎかけた茶屋の中から、紫のベストを着た女性が飛び出してきた。腕を強く掴まれる。
「やめなさい、隠れていなさい! 危険すぎるわ!!」
「でも、このままだとみんなが……!」
「死んだら元も子もないじゃないのよ! あんたみたいな若い子が命晒す必要ない!」
言い合うふたりの右後方、軒を連ねていた長屋が爆散した。砕けた柱や壁が木の葉みたいに舞い飛んでいく。
振り仰いだままの態勢で、レッドと紫は硬直した。古式住宅を木っ端にぶち抜いて、身の丈8メートルの肉食恐竜が踊り出てきた。
恐竜はレッドの腕ほどもある牙で屋根を噛み砕き、舞い散る木片の感触をうっとおしがるように首を振る。濁った双眸が、不意にふたりの姿を捉えた。
「うわあぁあああぁあ!」
鋼鉄の腕が腰に回るのを感じた。突撃してきた恐竜を避けるため、忍はレッドを小脇に抱えて横ざまに跳んだ。
エネルギーパックが腕の中から滑り落ちる。とっさに手を伸ばしたが届かず、せめてとレッドは落ちた先を目で追おうとしたが、パックは立ち込める粉塵の中に消えてしまった。
着地と同時に忍は行燈の陰まで飛びすさり、レッドを押し倒してその上に覆いかぶさった。ここまでの至近距離にいれば、どう動いても必ず見つかる。現状況下で最も危機回避率が高い行動を瞬時に算出した、アンドロイドらしい行動だった。
無論そんなことが動転しているレッドにわかる訳もなく、押さえつける忍の腕から懸命に顔を出した。
「さ、さっきの人は!?」
応えたのはヒステリックな金切り声だった。
レッドの視線の先、腰を抜かしへたり込む紫が、たかが外れたみたいにわめいている。わめきながらバトルボールを恐竜に投げつけている。その中の一投が点々と地面を跳ね、10数メートル先にいた恐竜の足指に当たった。人間の頭ほどもある眼球がごろりと動く。
「ダメッ!! お願い忍、どいてッ!!」
がむしゃらに身をよじるが、忍が巌の如くのしかかっていて抜け出せない。地響きと共に、恐竜が紫との距離を詰める。紫が死に物狂いで後ずさる。
恐竜が頭を低く構え、轟音を上げて地面を踏み抜いた。空間を揺るがす吠え声、その只中を裂いて、レッドの“命令”が忍を貫いた。
「忍ッ!! どきなさい!!」
「ッ!」
わずかに浮いた体の下から這いずり出て、レッドは紫に駆け寄った。腕を引き恐竜の進行方向から逃れようとするが、彼女に脱力した成人女性の体重は重すぎた。
やられる……! 恐怖からまぶたを閉じた矢先、レッドは息の詰まるような衝撃を受け、紫共々真横へ突き転がされた。目を見開き、地を掻いて上体を起こす。
土煙舞う中、己の忍とそれにぶつかる恐竜の鼻面が、何にも増してはっきり見えた。
「忍————!!」
ものすごい音がした。
- Re: 戦闘中 〜ボクらの絆〜 ※オリキャラ ( No.6 )
- 日時: 2018/06/19 20:01
- 名前: フウ (ID: fDoLpxww)
スパークが爆ぜ、忍はでたらめな距離を弾き飛ばされ武家屋敷の門扉に激突した。上から瓦が雨あられと降り注ぎ、その姿をたちどころに隠してしまう。握ったままの紫の腕から、冗談かと思うほどのひどい身震いが伝わってきた。それが自分自身の震えであることに、レッドは最後まで気付かなかった。
天に向かい、恐竜が吠える。勝利の雄叫びのようであり、未来世界から己を見下ろしているゲームマスターへの宣戦布告のようだった。
そのはるか後方で遠雷の如き発射音が炸裂し、猛り狂う恐竜の腹に巨大な砲弾がめり込んだ。
叫喚を上げて横倒しになる恐竜を唖然と凝視し、レッドは視線を引き剥がして後ろを振り返る。爆音高らかに、遠くに臨んでなお物々しい戦車が一台、曲がり角の向こうから姿を現していた。
開け放しのハッチから上体を出しているのは、茶色のローブに身を包んだペストマスク——ブラウンクロウだ。どでかい砲門の上には、赤いローブのペストマスク——レッドクロウが腕を組んで仁王立ち、吹き荒れる風に裾をはためかせている。時折ガンガン足元を蹴り、ブラウンクロウに指示を出している、……みたいに見えた。
「……ッド。レッド!」
自分を呼ぶ声に正気づき、レッドは目の前の青年に視線を合わせた。肩を揺すっていた手を止め、先のチーム戦で仲間だった青年————ブルーが心底安堵して表情を緩める。
「よかった、気づいた……! 動けるか? 奴らが次撃つ前に離れよう。月光!!」
ブルーの右に控えていた忍が首肯し、気を失っている紫を肩に担いだ。レッドはブルーの肩を借り、半ば引きずられ戦線を離脱する。
「……エネルギーパックは……? さっき、落として……」
「……武器屋で買ってくれたの、あんただったのか。
あれ、近くにいた俺の忍が拾ってきた。すまない、あいつ命令通りにしか動かなくて気が利かないんだ。プレイヤーがいたなら助けろって指示出しとけばよかった」
「ッ! 忍!! わたしを庇って……!!」
言うなり、レッドは転がるようにして武家屋敷へと駆けだした。慌ててブルーが追い、月光が追従する。
がれきと化した門を前にして、レッドはためらうことなく瓦を掴み、よろめきながら後ろに投げ捨てていった。たちまち爪が割れ指が切れ、鮮血の飛沫が散っていく。
「お、おい、無理するな!」
「する!! わたしのせいでこんなことになった!! 早く見つけないと!!」
土埃まみれの顔をむちゃくちゃにぬぐい、必死に忍を探すレッドの後ろ姿に胸が詰まり、ブルーは彼女の隣にしゃがみこんだ。月光もマスターにならう。ふたりと一体で協力し、屑山を手分けして切り崩していく。
エリアから恐竜の雄叫びと戦車の砲撃音が絶えた頃、やっとのことで忍の腕を探り当てた。レッドとブルー、どちらからともなく歓声があがり、残った力を振り絞って月光の手を借りつつ中から引きずり出す。
半身が出ると、忍は自力でがれきの中から抜け出した。動くと体内のパーツがきしむ音が鳴り、装束はズタズタで痛々しい限りだが、少なくとも五体はそろっている。
「忍!! よかった、よかった……!! ごめんなさい、ひどい目に遭わせて……!」
「…………」
声を震わせて、レッドは両手で忍の手を包んだ。彼女の口から謝罪と感謝の言葉がとめどなくあふれるが、忍はうつむき、血と泥で赤黒く荒れたマスターの指を食い入るように見つめていた。
「忍?」
レッドの手を振りほどき、忍はバツが悪そうに佇んでいたブルーへと歩を進める。月光がすぐさま立ち塞がるが、相手に敵意がないことを感じ取り、微かに眉根を寄せた。
ブルーの目の前で、忍は立ち止まった。手を伸ばし、バトルボールを握ったままのブルーの手首を掴む。
そのままブルーの手を引き、彼のバトルボールを己の胸に当て、トン、トンと叩いた。
何度も、何度も。
「!?」
息を呑むレッド。ブルーも度泡を食って後ずさろうとするが、忍の手を振り払えない。月光は完全に状況処理が追いついておらずフリーズしている。
————忍が自ら撃破を望むなどという異常事態に、皆が一様に困惑していた。
「し、忍!! あなた何を……」
混乱が収まらないまま、レッドが己の忍の横に歩み寄った。腕を掴み、顔を覗きこんでようやく、レッドは忍の異変と行動の意味を悟る。
「————あなた、目が……?」
こくり、と忍が頷いた。
破れた頭巾で隠れていて気がつかなかった。
牙が引っ掛かったのだろうか。忍の顔の右半分、額からまなじりにかけて大きな裂傷があり、眼窩に収まっている球状の水晶体が完全に割れていた。
飛ばないバトルボールに、折れた盾に存在価値がないように、壊れた己にマスターを守る資格はない。
静かな片目のまなざしがそう語っているように、ブルーには思えた。
- Re: 戦闘中 〜ボクらの絆〜 ※オリキャラ ( No.7 )
- 日時: 2018/06/19 20:04
- 名前: フウ (ID: fDoLpxww)
※補足
ブルーの忍の名前は「ゲッコウ」ではなく「ガッコウ」です。
- Re: 戦闘中 〜ボクらの絆〜 ※オリキャラ ( No.8 )
- 日時: 2018/06/20 21:46
- 名前: フウ (ID: fDoLpxww)
冷や汗が顎を滑る。忍の胸に当てたバトルボールをどうするべきか、全くわからない。かといって、逃げることは手首を握る鋼の手が許さなかった。
逡巡するブルーの耳に、びりっと何かを裂く音が聞こえた。
向かい合う忍が瞠目し、瞬時に音の正体を見下ろす。
その顔に、帯状にちぎった赤い布切れが労わるような手つきで巻かれていく。
「そのままだと痛いでしょう」
忍の手がブルーから離れた。途端手首から下にぶわりとしびれが広がり、どれほどの力で握られていたのか今さらに思い知る。
「自分から終わろうとするなんて、絶対に許さない。あなたの最後はわたしが決める」
言葉の激しさとは裏腹に、声音は耳に柔くあたたかい。横顔には、声に込めた感情と同じ種類の笑みがある。
「だから、それまでは、わたしをそばで守って」
強く、強く、忍の後頭部で布が引き結ばれた。
明滅する瞳孔が、徐々に眼前の光景に焦点を絞っていく。
へし折れた門柱に、地面を埋め尽くす割れ瓦。見るも無残な惨状のただ中に、やさしい微笑みがあった。砕けた瞳の代わりに得た笑顔だった。
忍の最奥から、鼓動にも似た音が鳴る。
俊敏な身のこなしで、忍はレッドに片膝をついた。身をかがめ、胸に拳を当て、深々と叩頭する。
レッドは跪く忍を見下ろした。瞳には喜びというよりも、忍の選択を慈しむ色が宿っている。
屈みこんで、その頭を抱きしめた。こらえていたものが目の縁から浮き上がり、あとからあとから頬を伝った。
「ありがとう」
アンドロイドの頭を抱え、レッドは幼子のように泣き笑う。主の為すがままに任せながら、忍は目を細め、ゆっくりとまぶたを閉じた。
————主のしゃくりあげるような息遣いに、一体何を感じているのだろう。
◇
【ミッションクリア】
ブルーが「戦車」を起動。エリア内の恐竜は駆逐された。ブルーには60万円が贈与される。
◇
Q.3体目の恐竜何してんの?
A.逃走中なイエロー組を猛追中。
「早よ来いや戦車あぁああぁあああああぁあ!!」
「〜〜〜〜!!」
- Re: 戦闘中 〜ボクらの絆〜 ※オリキャラ ( No.9 )
- 日時: 2018/06/21 19:57
- 名前: フウ (ID: fDoLpxww)
おかげさまで、ついに閲覧数が100を超えました!゜.*:+。ヽ(o´∀`o)ノ。+:*.゜
きっとウケないだろうな、でも誰かに読んでほしいなと思い投稿を始め、今は作品を見てもらえる喜びに日々励まされています。本当にありがとうございます!
残すところラスト1話、加えてpixiv版よりちょっと盛った裏設定語りもしようかなと画策しているところです。よろしければどうか、もう少しだけお付き合いくださいませ。
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