二次創作小説(新・総合)

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逃走中 逃走王決定戦!【完結!】
日時: 2020/06/17 21:21
名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

今回の逃走中は王道を目指します!囮無し、自首無し、ラブライブ!シリーズのキャラ大集合です!
逃げ切り、賞金100万円を手に入れることができるのは誰になるのでしょうか。
それでは、開催です!


参加者一覧

高坂穂乃果
園田海未
南ことり
小泉花陽
星空凛
西木野真姫
矢澤にこ
絢瀬絵里
東條希
綺羅ツバサ
統堂英玲奈
優木あんじゅ
高海千歌
桜内梨子
渡辺曜
黒澤ルビィ
国木田花丸
津島善子
黒澤ダイヤ
松浦果南
小原鞠莉
鹿角聖良
鹿角理亜
渡辺月
中須かすみ
桜坂しずく
天王寺璃奈
上原歩夢
宮下愛
優木せつ菜
朝香果林
近江彼方
エマ・ヴェルデ
澁谷かのん
唐可可
嵐千砂都
平安名すみれ
葉月恋
ウィオ

賞金100万円
制限時間 無し
ハンター 高度知能かつ無音式
ハンター人数 秘密
OPゲーム 無し
ミッション あり(クイズ形式)
エリア 架空の街
囮 無し
自首 無し
途中棄権 あり

主なみどころ
ほのことうみ
まきりんぱな
のぞえり
にこまき
りんぱな
ようよし
ルビまる
よしまる
以下、多数のカップリング

応募用紙>>1

Re: 逃走中 逃走王決定戦! ( No.8 )
日時: 2020/06/14 22:13
名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

高校二年生の高坂穂乃果さんは、口にパンを咥えながら懸命に走っていました。
半袖で白いブラウスに濃淡のある赤と青のチェック柄のスカート姿は、彼女の通う国立音ノ木坂学院の制服です。けれど、今日は休日の日曜日。学校が無いのにも関わらず制服を着て走っているのには、理由がありました。

「早くしないと遅れちゃう~!」

涙目になりながら、パンを飲み込み猛ダッシュをする高坂さん。
信号が青になったのと同時に横断歩道に飛び出し、素早い身のこなしで自動車を避けていきます。無事に(と言ってもかなり危険な方法でしたが)渡り終え、再び道を急ぎます。彼女は、何をそんなに急いでいるのでしょうか。答えは、街に貼られた紙の知らせにありました。

『逃走中 開催! 目指せ、賞金100万円ゲット!』

テレビでも人気のある参加型のゲーム番組、逃走中。
ハンターと呼ばれる鬼を相手に制限時間内に逃げ回りながら、様々なミッションをクリアして逃走成功を目指すゲームです。体力だけでなく、走る速さや頭の良さなど様々な要素が試されることもあり攻略は容易ではありません。
ですが無事に逃げ切ることができれば、賞金100万円がゲットできるのです。
ですから血眼になって誰も参加したいのです。けれど締め切りがありますから、限られた人数しか参加できません。そのため、高坂さんは昨日の夜から興奮していました。けれど目覚まし時計が壊れていたのか作動せず、大きく出遅れてしまい、急いでいるというわけなのです。制服を着て家を出たのは、音ノ木坂学院の生徒であることをアピールする目的があります。

「着いた!」

息を乱し、側頭部にアップし垂らした髪から汗が滴り落ちつつも、高坂さんはどうにか逃走中の会場へ到着しました。大量の汗をかいたからでしょうか、ほんのり汗で制服が透けてみえるのはご愛嬌です。
真上には『逃走中へようこそ!』の横断幕が張られていました。
それを見て俄然やる気を出した彼女は、颯爽と幕の下を潜り抜け、決意を新たにしました。

「私、絶対逃走成功してみせる! やるったらやるぅ!」

こうして高坂さんの挑戦がはじまりました。
多数のライバルを制して、逃走成功できるのでしょうか。

Re: 逃走中 逃走王決定戦! ( No.9 )
日時: 2020/06/14 19:16
名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

会場入りした高坂さんはよく知る人影を見つけ、手を振ります。

「海未ちゃーん!」

名前を呼ばれた少女は美しく長い黒髪を靡かせ、振り向きました。
名前は園田海未さん。
園田さんは凛とした顔立ちで胸こそ控えめですが、大和撫子の雰囲気を漂わせています。彼女も高坂さんと同じ考えなのか、制服で参加しています。
高坂さんの前に歩み寄りますと、微かに微笑み。

「海未ちゃん、おっはよう!」
「おはようございます。穂乃果、口に食べかすがついていますよ」
「一言多いよ海未ちゃんは」
「穂乃果がちゃんとしないからいけないんでしょう」

些細な理由で顔を近づけ、むむむと喧嘩ムードに突入しかけます。
幼い頃からずっと一緒なふたりですが、正反対の性格の為に些細なことで言い合いになることはしょっちゅうなのです。そんなふたりを止めるのは――

「ふたりとも、喧嘩しないの」

個性的な結び方をしたサイドテールに頭頂部のとさか、垂れ目が特徴の癒し系の少女、南ことりさんが彼女達の前に現れました。とろけるような甘い声に園田さんと高坂さんは思わず互いの頬をつねる手を止めて、同時に声を出しました。

「「ことり(ちゃん)」」
「アップルパイもってきたから、逃走中がはじまるまで一緒に食べましょ」
「やったー! 食べる食べる!」
「もう、穂乃果は……太りますよ」
「海未ちゃんは食べないの?」
「私は――いただきます」

恥ずかしそうにしながらも、食への欲望を絶つことができず同意してしまいました。運動の前に食べるのはあまり積極的ではない園田さんでしたが、フォークで上品に切って、一切れ口に運んでみますと、サクサクとしたパイ生地の触感にバターの香りが口の中に広がり、りんごの甘酸っぱさが舌を幸せにします。
彼女は何度も南さんの「ちゅんちゅん特製パイ」を口にしてきましたけれど、今回は特別に美味しく感じられました。頬を抑え、うっとりとした表情で味を噛みしめます。それからほんの少し経った後、2切れ目を食べようと白い皿に視線を移した途端、パイが消えていました。キッと鋭い視線を隣に向けますと、案の定、高坂さんがパリパリとパイを頬張っている最中でした。

「穂乃果! 私のパイを食べるなんて! 今日という今日は許せません!」
「ごめーん」
「反省が足りません!」
「海未ちゃん、アップルパイはまだまだ沢山あるから、怒らなくてもいいよ」

南さんに促され、園田さんはようやく怒りを鎮静化させました。
アップルパイを食べながら、彼女は溜息を吐き出しました。
自分には思いつかない発想と行動力で驚かされることも多いけれど、穂乃果には困らせられてばかりですね。

Re: 逃走中 逃走王決定戦! ( No.10 )
日時: 2020/06/14 22:11
名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

逃走中が開始されてから1時間が経過しました。けれど、1人の確保者も出ていません。今回の逃走中の舞台となる街が広いからなのか、逃走者たちも中々、発見されないようなのです。高坂さん、南さん、園田さんは仲良しトリオらしく、3人一緒に行動していました。高坂さんの左隣を歩く園田さんは顎に軽く手を添えて、思案します。

「不自然ですね。どうして誰も確保されないのでしょうか。普通でしたら、とっくに確保者が出ているはずですのに」
「海未ちゃん、心配し過ぎ。きっとハンターさんは人数が少なくて、私たちを見つけることができないんだよ。もしかすると、すっごく足が遅いかもしれないし」
「呑気ですね。ことりはどう思いますか」
「ことりも、1回も遭遇してないのは変だなあって思っていたところなの」
「ふたりとも気にしすぎだよ。それより、お腹空いちゃった。ご飯にしよう!」

高坂さんの言葉に園田さんは腕時計を確認し、少し頬を緩めました。

「確かにお昼ですものね。それでは、どこかでランチにしましょうか」
「やったあ!」

大喜びする高坂さんを見て、ことりさんもにこにこ笑っています。
3人はすぐ近くに店を構えていたレストランに入りました。
盛況のようで沢山のお客さんが席に座って食事をしていました。
高坂さん達もテーブル席に腰かけ、注文します。
逃走者は食事代が無料になるように運営が働きかけていますので、ここでは何を食べてもお金を払う必要はありません。雑談に花を咲かせていますと、メニューが運ばれ、テーブルに並べられます。高坂さんはサンドイッチ、園田さんはカレーライス、ことりさんはパスタです。飲み物は全員ラムネに統一しました。

「いやー、今日もパンが美味いっ!」


口を大きく開け、豪快にサンドイッチにかぶりつく高坂さんに、園田さんは呆れた声を出しました。

「またパンですか」
「だってウチ和菓子屋だもん。パンが珍しいの知っているでしょ」
「それはそうですが、パンばかり食べると太りますよ」
「ちゅんちゅん、パスタ美味しいよ」

思い思いの感想を口にして食事をします。それからラムネを飲み干し、再び雑談をはじめました。3人はいつしか意識をすることなく、忘れてしまったのです。
自分たちが逃走中に参加していたということを。
たらふく食べて満足したこともあり、レストランを出ようと席を立とうと、高坂さんは腰を浮かせました。すると、これまで俯いていた客たちが一斉に顔を上げて彼女を見たではありませんか。一瞬にして集まる無数の視線に高坂さんの心臓は凍り付きそうになりました。震える指で客たちを指さし、ふたりに言います。

「見て……」
「どうしたんですか。こんなに震えて――」

顔を向けた園田さんも、そしてことりさんも動きを止めてしまいました。
客たちは同一人物かと思えるほど同じ格好をしていました。
黒いスーツに黒いサングラス、顔も作り物のように無表情な男達です。
これこそ、逃走者たちを狙う存在、ハンターです。
いつの間に入れ替わったのでしょうか。いえ、もしかすると最初から客たちはハンターの変装だったのかもしれません。

「逃げろー!」

穂乃果さんの号令に合わせ、一目散に入り口の自動ドアへと駆けていきます。
ところがです。
「アレ!? 開かない!」
「どうしよう、穂乃果ちゃん、海未ちゃん!」
「自動ドアが開かないなんて、そんな馬鹿なことが!」

入店した際は普通に開いたドアが、ぴったりと閉じられ、全く開く様子を見せません。高坂さんは力づくでこじ開けようとしますが、まるで歯が立たないのです。
そうこうしている間にも、ハンターたちは1人、また1人と椅子から立ち上がり、ゆっくりと、まるで追い詰めるのを楽しむかのような足取りで3人の逃走者に迫ってきます。見ると、レジ係やコックに至るまで、ハンターの顔になっています。

「開けて! 誰か、助けて!」

高坂さんはパニックになり懸命にドアを叩きますが、気づくものはいません。
自動ドアに行く手を遮られ、ハンターがにじりよってきて、無表情の顔に口だけをカパッと開けたかと思うと、なんと声を発したではありませんか。

「フッハッハッハッハッハッハ!」

ハンターは意思の無いアンドロイドのはずなのです。それなのに、彼らは揃って口を開けて抑揚のない声で笑っているではありませんか。逃走者が愚かとでも言いたそうに怯える少女達を嘲笑しています。
群れの中心にいたハンターの1体が手足を大きく広げ、覆いかぶさってきました。高笑いをしながら、迫りくる巨体を前に、普段は凛とした態度の園田さんも流れ出る汗を抑えることができず、瞳孔が縮まっています。
南さんは身体を震わせ、瞳には涙を浮かべています。
高坂さんは自分の心臓の鼓動がこれまでになく高まっているのを感じました。
胸が締め付けられるように苦しく、身動きが取れないのです。これが心の底から恐怖を感じたときの人間の反応であると直感し、それから震える唇で、低く、小さな声で言いました。

「来ないで」



ポンッ!


高坂穂乃果
園田海未
南ことり

確保

Re: 逃走中 逃走王決定戦! ( No.11 )
日時: 2020/06/15 21:57
名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

μ'sの仲良し1年生組である西木野真姫さん、星空凛さん、小泉花陽さんは手を繋いで歩いていました。凛さんはバニラ味のソフトクリームを舌でペロペロしながら幸せそうな笑顔を見せます。

「ああ~! やっぱり」
「『ソフトクリームって最高だよね』でしょ?」
「凄いにゃ。どうして、真姫ちゃん、凛の言葉が分かったの?」

凛さんに尋ねられ、真姫さんは自身のボブヘアをいじりながら、嘆息しました。

「あなたの考えることくらいわかるわよ。毎日、一緒にいるもの」
「真姫ちゃん真姫ちゃん真姫ちゃーん!」

返答が嬉しかったのか、凛さんは真姫さんに抱きつきました。
それを見て花陽さんは微笑みます。しばらく歩いていますと、同じμ'sメンバーの矢澤にこさんに出会いました。矢澤さんは小柄な体躯に童顔、ツインテールが特徴の少女で、胸が真っ平なこともあって想像以上に幼く見られがちですが、
高校3年生なのです。

「にっこにっこにー。あなたのハートににこにこにー。笑顔届ける矢澤にこにこー。にこにーって呼んでラブにこ♪」

自己紹介でもあり持ち芸でもある渾身の「にこにこにー」を披露しますが、後輩の受けはイマイチなようです。矢澤さんはアイドルとしてのキャラから素の自分に戻りますと、頬を膨らませ不満を露わにしました。

「何か文句でもあるの!?」
「さすがにこちゃん、凄いね!」
「それほどでも、あるわよ」

花陽さんが目を輝かせて尊敬の眼差しを向けるものですから矢澤さんは得意気になりました。それから本来の目的を思い出します。

「みんな、にこと一緒にトイレに行こうニコ!」
「えー、凛、まだおトイレ行きたくないにゃ~!」
「わ、私もちょっと……」

ストレートとおずおずと態度は異なりながらも明確に否定の意思を見せたふたりに、真姫さんは動揺しました。矢澤さんの目は潤み、今にも泣きだしそうです。
もしもここで断ったら、きっと彼女は泣きだしてしまうでしょう。真姫さんは視線を左右に反らしたものの、結局は目線を合わせてしまい、盛大に溜息を吐きました。

「わかったわ。私が付き合ってあげるわよ」
「わーい! 真姫ちゃんは天使ニコ~!」

親友ふたりと別れ、真姫さんは矢澤さんと行動を共にすることにしました。
彼女をひとりぼっちにするのも心配というのと、ちょうど4人いたものですから2つのグループに別れれば、それだけハンターをかく乱できるとも考えたからです。女子トイレの洗面台の前に、腰に手を当てて立つ真姫さん。
彼女自身はこれと言ってトイレに行きたいわけではありませんでした。
洋式トイレに入っていった矢澤さんに気づかれないよう、髪を触ります。
真姫さんは自分に興味が無いことをする時は必ず髪を触る癖がありました。

「高校3年生にもなってひとりでトイレにも行けないなんて」
「何か言ったニコ~?」
「ううん。なんでもないわよ」

呟きを聞かれたかと思い、慌てて否定する真姫さん。
難を逃れた後は特にすることもなく暇を持て余すのも芸がないと思い、顔を洗うことにしました。水を出して顔を綺麗に洗い、付着した水をハンカチで拭き取ります。
そして、ふっと鏡を覗き込みますと――
まるで背後霊のように、真姫さんの後ろにサングラスにスーツ姿の男が立ち尽くしていたのです。紛れもなくハンターです。
女子トイレが安全だと高を括っていたのを、逆に突かれてしまったのです。
獲物(逃走者)がいるところ、どこへでも音もなく現れるのがハンターという存在なのです。ツリ目を見開き、唇を噛みしめ、怖いのを一生懸命に堪えます。
たかが遊びに恐怖心を抱いて悲鳴を上げるなど大人気ないとプライドの高い彼女は考えました。けれど、冷たい汗が背中に流れるのを感じた途端、誇りは砕け散っていました。

「嫌ああああああああああッ!!」

ポンッ!

西木野真姫 確保

Re: 逃走中 逃走王決定戦! ( No.12 )
日時: 2020/06/16 13:50
名前: モンブラン博士 (ID: daUscfqD)
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no

トイレで用を済ませた矢澤さんは、扉を開けてでてきました。
けれど真姫さんはいません。

「真姫ちゃん、どこにいるニコー?」

名前を呼んでみますが返事はありません。実はハンターが真姫さんを確保するのと、矢澤さんが水を流す音が全くの同時だったので、矢澤さんは気づいていなかったのです。トイレを出て、辺りを見渡しますがボブヘアの少女の姿はどこにも見えません。彼女は目に一杯の涙を溜め、大泣きしてしまいました。

「ウワーン! 真姫ちゃんがいなくなっちゃったニコ! にこを置いていかないでほしいニコー!」

目を真っ赤に腫れ上がらせて泣きじゃくる矢澤さんでしたが、背後に何者かの気配を覚え、振り返ります。

「嘘……」

そのものを見た途端、涙はピタリと止まりました。
彼女の背後にハンターがいたのです。矢澤さんは本能的に駆け出しました。
小柄な体躯もあってか走るのが得意で、星空凛さんを翻弄したこともあります。
けれど、あまりに急に駆け出したこともあってか前方不注意で小さな石につまづいて転んでしまい、あえなくここで確保となってしまいました。

矢澤にこ 確保

一方その頃、松浦果南さん、黒澤ダイヤさん、小原鞠莉さんは、3人のハンターに追いかけられていました。街の狭い裏路地に入りますが、中々撒くことができません。この状況にダイヤさんは一計を案じました。

「鞠莉さん、果南さん、3方向に別れますわよ!」
「OK、ダイヤ!」
「レッツゴー♪」

果南さんが同意し、鞠莉さんもテンション高く答えます。
ダイヤさんは黒髪を、果南さんはポニーテールを揺らしながら、左右へ逃げ、鞠莉さんは金髪を太陽に照らし、輝きを増しながら、中央突破を目指します。
3人共「逃走迷走メビウスループ」を歌いながら、歌詞の通りに疲弊しながらも、懸命に走りました。けれど、ハンターは人間と異なる疲れることはありません。
長時間走ってもペースを乱さず、それどころか汗ひとつかかずに追いかけてきます。体力に自信のある果南さんでさえ、荒い息を吐き出し、気力も持久力も限界を超えていました。服は汗でぐっしょりと濡れて、喉はカラカラです。

「もう、ダメ……」

あまりにも執拗なハンターの追跡に精魂果ててしまい、遂に長いポニーテールを掴まれてしまいました。

松浦果南 確保

ダイヤさんも懸命に右の道を走っていましたが、途中で何者かと正面衝突してしまいました。鼻を抑え、尻餅をついた後で相手を見ますと、それは虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会の上原歩夢さんでした。

「ダイヤさん、どうしたんですか」

おっとりした口調で訊ねる歩夢さんに、ダイヤさんは鼻息荒く告げました。

「ハンターが接近していますわ! 早く逃げないと確保されてしまいますわよ!」
「ええええッ!?」

急に言われて戸惑いながらも、歩夢さんはダイヤさんについていくようにして逃走を開始。けれど狭い路地ですから、1人分通れるだけの道幅しかありません。
先を急ぐダイヤさんに負けじと歩を進めたいと願いつつも、どうしてもペースが遅くなってしまいます。そうこうしているうちに、背後からハンターの手が伸びてきました。日陰の奥から飛び出してくる黒いスーツの手は、しっかりと歩夢さんのシニヨンを掴んで離さず、そのまま彼女は影の世界へと引き込まれていきました。


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