二次創作小説(新・総合)

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【Lunatic Play EPISODEⅢ】【完結】
日時: 2022/03/30 15:18
名前: ウィオ (ID: ryagdTnR)

【Lunatic Play(ルナティック・プレイ)】とは?

それは決められた時間内を3匹の狼から逃げ惑い、賞金を獲得する遊戯である。
因みに、敵は狼だけでない……。

深夜、アメリカにある誰もいない廃れた小さな町になった集められた逃亡者。
果たして、誰が賞金を手に入れるのか。


【ルール】
・今回は時間内を逃げ切るのではなく、最後の一人になった者が賞金を獲得できる。
・狼は「逃亡者」を見つけ次第、襲い掛かってくる。狼に3回噛まれると「失格」となり、地下牢(逃走中で言う牢獄)行きとなる。
・狼に攻撃した者は即失格だが噛まれている者を助けることはOK。
・助けられても噛まれた回数はリセットされない(1回噛まれたら後2回で失格となる)。



※注意事項
・設定の少ないキャラはオリジナルの設定を含ませております。
作者わたしは海外の作品は英語版しか見ない主義なので、海外製のキャラの口調・一人称などは自分のイメージで決めております。なので公式邦訳とは一人称・口調が違います。
・このシリーズの作風はホラーゲームを意識してるのでダーク・シリアスな要素が多々含まれております。
 苦手な方は閲覧や応募をお控えください。

それでもよろしい方はどうぞ。




~逃亡者~ ※【】内は作品名

レッド・マッカーサー(Red McArthur)【Southpark】{3}
カレン・マコーミック(Karen McCormick)【Southpark】{3}
ジェニー・サイモンズ(Jenny Simons)【Southpark】{3}
パウダー・ターナー(Powder Turner)【Southpark】{2}
サーカス・ベイビー(Circus_Baby)【Sister_Location】{1}
ミニリーナ(Minireena)【Sister_Location】{3}
ハッピーフロッグ(Happy_Frog)【Freddy Fazbear's Pizzeria Simulator】{1}
エミリー(Emily)【Emily_wants_to_play】{1}
キキ(Kiki)【Emily_wants_to_play】{1}
ジェフ・ザ・キラー(Jeff_the_killer)【Creepypasta】{3}
アイレス・ジャック(Eyeless_Jack)【Creepypasta】{1}
ジェイソン・ザ・トイメーカー(Jason_the_toymaker)【Creepypasta】{1}
ラフィング・ジャック(Laughing_Jack)【Creepypasta】{1}
アンジェリカ・ピクルス(Angelica Pickels)【Rugrats】{1}
プレイタイム(Playtime)【Baldi's Basics】{1}
チェリー・パウ(Cherry Pau)【Cherry Pau】{1}
ナムスカル(Numskull)【Dumb_ways_to_die】{1}
カラミティ(Calamity)【Dumb_ways_to_die】{1}
黄瀬 やよい【スマイルプリキュア】{1}
ニア【ゼノブレイド2】{1}
ラクス・クライン【機動戦士ガンダムシード】{1}
トリスタン【Fate/Grand Order】{1}
李書文【Fate/Grand Order】{1}
ドクター・エスカルゴン【星のカービィ】{1}
シゲル【アニメポケットモンスター】{1}
天竜【作者勢】{1}
エイジア【作者勢】{2}
モンブラン博士【作者勢】{2}
琴葉姫【作者勢】{2}
ゼット【作者勢】{1}
92(花園アスカ)【作者勢】{1}
柊【作者勢】{1}


GOOD LUCK, FUGITIVES.



△海外作品「Emily_wants_to_play」「Baldi's Basics」「Rugrats」「Charry Pau」のキャラが初参戦!
△パウダーちゃんの破天荒っぷり!
△恥ずかしがり屋なキキ!
▽殺人鬼だらけ! というか、ヤバイ人たちの集まり!
△相変わらずカレンちゃんは天使!
△果たして、誰が賞金を手に入れるのか?

Re: 【Lunatic Play EPISODEⅢ】 ( No.29 )
日時: 2021/11/19 16:49
名前: ウィオ (ID: J69v0mbP)

>モンブラン博士さん

やよいちゃんも天竜さんも狼にやられてしまいました; 狼も十分に恐ろしい存在です;
殺しに抵抗が無いラフィングに目を付けられたエスカルゴンは不運です←

殺人鬼であるラフィングとチェリーとアイレスには十分に気を付けなければいけませんね。
ラクスさんいいですよね~←

果たして、モンブラン博士さんは戦闘で実力を発揮できるのか?

次回もお楽しみに下さい!


>天竜さん

やよいちゃんと天竜さんが失格となってしまいました;

ラフィング、チェリー、アイレスは殺人鬼ですからね。勿論えげつないです。
狼に噛まれるのも十分キツイですよ~;

ありがとうございます! 次回もお楽しみに下さい!


では!

Re: 【Lunatic Play EPISODEⅢ】 ( No.30 )
日時: 2021/11/19 17:52
名前: ウィオ (ID: J69v0mbP)

【Terror】


レッド「何処かに隠れられそうな場所は無いかしら……」


一方、レッドとカレンは身を潜められそうな場所を探していた。レッドはカレン以外の逃亡者を信用出来ないため、かなり慎重になっている。


カレン「ねえ、お姉ちゃん……私たち以外の逃亡者さんって本当に全員敵なのかな?」

カレン「流石に逃亡者さん全員が悪い人じゃないと思うの」

レッド「そうね……でもやられる可能性があるということを考えると、簡単に他の人に姿を見せるわけにはいかないわ」

レッド「慎重になることが大事なのよ」

カレン「やられる可能性があるなら、やられない可能性だってあるんじゃないかな? 私、優しい人もいるって信じたいんだ」

カレン「みんなと会って話し合って、争いを止めさせたいんだ……」

レッド「……優しい子ね」


微笑みながら、カレンの優しさに感心するレッド。


レッド「そうね、やられないことに賭けてみるのも良いわね。他の逃亡者に会いに行きましょう。でも攻撃される可能性があるということも忘れちゃダメよ」

カレン「うんっ!」









ジェイソン「静かだ……」


今回初参戦の玩具屋を勤める青年であるジェイソン・ザ・トイメーカー。肝が据わっており、余裕を持って町を見渡しながら歩いている。


ジェイソン「俺がこの遊戯に参加したのは、多額の報酬を手にする為だ。その目的を変えるわけにはいかない。俺の邪魔をする者は消す。誰であろうとな」


利己的で殺すことに躊躇を持っていない青年、果たしてこのゲームの優勝者になるのか――。


アンジェリカ「あ~ら、怖そ~な男の人がいるじゃな~い!」


そんな彼の近くに、3歳だが卑劣な性格の持ち主である幼女のアンジェリカ・ピクルスがやってきた。彼女も今回初参戦である。


ジェイソン「何だ?」

アンジェリカ「そんな気難しそうな顔をして、一体何を考えてたのかしら?」

ジェイソン「君には関係ないことだ」

アンジェリカ「あんた殺人に抵抗が無い奴っていう噂があるけどさ、それホント?」

ジェイソン「ああ」

アンジェリカ「わ~! 噂はホントだったのね! 噂って大体デマなことが多いからビックリだわ!」

アンジェリカ「あんた男の癖に髪伸ばしちゃってさ、恥ずかしくないの~?」


ジェイソン相手に挑発し始めたアンジェリカ。


アンジェリカ「ね、アタシ気になるんだ~。こんな幼気な女の子でも躊躇なく殺すのか」

アンジェリカ「ほら、女みたいな男さん。あんたヤバイ奴なんでしょ? アタシのことムカつくでしょ? さあ、殺してみなさいよ~」


へらへらと笑いながら挑発し続ける、性悪の幼女。彼女もかなりの度胸を持っている。


ジェイソン「……命知らずな少女だな。お前に構っているだけ時間の無駄だ」


ジェイソンはアンジェリカから離れようとする。


アンジェリカ「あら、逃げるの~?」

ジェイソン「俺の目的を邪魔しているわけではないからな。それより、他の逃亡者に攻撃されたくなかったら、何処かに隠れていろ」

アンジェリカ「へっ! 言われなくてもそうしますよーだ!」








ベイビー「このゲーム、怖いけど……逃亡者を倒せばお金が貰えるのよね?」

ベイビー「なら、やはり倒さなきゃね。やられるのが怖いから、やられる前にやってやるわ」


ピザ屋の看板である少女型のアニマトロニクスのサーカス・ベイビー、逃亡者を攻撃しようと、動き出す――。


アイレス「……」


そんな彼女に忍び寄る、アイレス・ジャック。ベイビーはそれに気づき、咄嗟に後ろを振り向いた。


ベイビー「女の子の背後を取ろうとするなんて、最低ね……そのナイフで私の背中を刺すつもりだったの?」

アイレス「……」


アイレスは無言で頷く。彼はかなりの無口であり、会話以外で口を開くことは一切無い。


ベイビー「悪いけど、私はやられるわけにはいかないわ。お金が欲しいんだもの。貴方もお金目当て?」

アイレス「……腎臓だ。腎臓が手に入れば、金なんぞいらない」

ベイビー「へえ、腎臓ね……残念ね、私こう見えてロボットだから、腎臓なんか存在しないわよ」


アイレスを嘲笑うベイビー。するとアイレスは突然、高速で逃げ出す。


ベイビー「あら? 何よいきなり……」


逃げ出した理由は、狼がこちらに迫って来ていたからであった――。狼は雄たけびを上げながら、ベイビーに襲い掛かる。


ベイビー「え? きゃああっ!!」


逃げる暇も無く、三度噛まれてしまった――。




【サーカス・ベイビー   失格   残り25人】




ベイビーは地下牢へ転送された。








ピコン!


ニア「『サーカス・ベイビーが狼に三度噛まれ、失格となり、残り25人となった』」


アイレス「……」









ミニリーナ「ああ~! どいつもこいつも敵でイライラするぜ! まともに町を歩けやしねえ!」


ストレスが溜まっている彼女の近くに、一人の少女がやってきた。


ハッピーフロッグ「ねえあなた! 何をそんなにイラついているの?」


今回初参戦であるアニマトロニクスのハッピーフロッグであった。


ミニリーナ「誰だお前……見たことねーな」

ハッピーフロッグ「あたしピザ屋のマスコット人形なの。ボーカルを務めてるんだよ~」

ミニリーナ「ピザ屋? 私と同じか……」

ハッピーフロッグ「お、仲間!? じゃあ友達になろーよ! これも何かの縁かもしれないし!」

ミニリーナ「そう言って襲ったりしないよな? 欺いて攻撃とかしないよな?」

ハッピーフロッグ「しないしない~! ねっ、フレンドフレンド!」

ミニリーナ「おう……」

ミニリーナ(何で毎回私に面倒くさい奴がやってくんだよ……?)


呆れている、ミニリーナ。


ミニリーナ「けど本当にいいのか? 私が今お前に襲い掛かる可能性はゼロじゃないんだぞ」

ハッピーフロッグ「いいのいいの! あなた目つき悪いけど、人を殴りにかかったりしない感じがするんだ」

ミニリーナ「何でそう思うんだ」

ハッピーフロッグ「勘!」


楽観的なハッピーフロッグにまた呆れる、ミニリーナであった。だが実際、ミニリーナは人を驚かしたりするが、無暗に人を攻撃したりはしない――。







キキ「……」


その頃、少女型の人形・キキは隠れられそうな場所を探していた。彼女は恥ずかしがり屋なので、人と会いたくないのである。


キキ「人と会っちゃうと、硬直しちゃうんだよね、私……」


そんな彼女を遠くから見ている、アンジェリカ・ピクルス。


アンジェリカ「あいつコソコソと何してんのかしら?」


アンジェリカは自分の足元に落ちている木の枝を拾い、それをキキに投げつけようとする。しかし彼女はそれを止めた。


狼「……」


何故なら一匹の狼が近くを歩いていたからだ。下手なことをすれば気づかれて襲われると判断したアンジェリカは、咄嗟に離れて行った。


アンジェリカ「チッ! 狼のやつ、すっごい邪魔ね!」









ゼット「逃亡者と争うなんてしたくないな……」


一方、戦いに否定的な作者のゼットは、狼に警戒しながら町の中を歩いていた。


ゼット「逃亡者を倒して得たお金なんかいらないし……」

ラフィング「ようお前。こんなところを一人で歩いてたら、危ないぜえ?」


そこに拷問好きのピエロであるラフィング・ジャックが現れた。


ラフィング「って、俺様も一人か、ハッハッハッハ! 「お前が言うな」だよな! ハッハッハ!」

ゼット「……何しに来たんだよ」

ラフィング「そりゃアレだ。お前を拷問しに来たんだよ」

ゼット「拷問!?」

ラフィング「俺様は拷問が大好きなんでなぁ~。まあ、ちょっと捕まってくれや」


ラフィングはゼットのほうに手を伸ばす。捕まりたくないゼットはすぐに逃げ出した。


ラフィング「おっ、逃げ足速いね~。でもそっち狼いるから危ね~ぞ?」


警告しながら、ラフィングはそそくさと逃げ出した。


ゼット「何なんだ、あいつ……!」

狼「グルルルルルル!!」

ゼット「ひっ!!」


前方からやってきた狼を見て逃げ出すゼット。しかしあっという間に距離を詰められていく。


ゼット「ぎゃあああ!!」



【ゼット   失格   残り24人】



ゼットは狼に三度噛まれてしまい、地下牢へ転送された――。










ピコン!


ジェイソン「『ゼットが狼に三度噛まれ、失格となり、残り24人となった』」


ラフィング「おお、やっぱり襲われたか。俺様、逃げて正解だったぜぇ~」








モンブラン博士「ラクス……ラクスはいないか?」


今も恋人のラクスを捜し続けている彼。すると――。


ラクス「あら……!」


運命の人と出会えた。


モンブラン博士「ラクス! 会えて良かった。怪我は無いかね? 誰かに襲われたりとかしていないね?」

ラクス「大丈夫です……貴方こそ、無事ですか?」

モンブラン博士「ああ。心配ない。ラクスよ、私と一緒に行動しないか?」

ラクス「はい。貴方といると安心します」


ラクス、モンブラン博士に同伴することに決めた。


モンブラン博士「うむ、安心していいぞ。ラクスに襲い掛かろうとする輩は私が始末してくれる」


紳士的で思いやりのあるモンブラン博士だが、戦いになると恐ろしい。








琴葉姫「トリスタンさんに会いたいな……」


一方、女性作家である琴葉姫は自分の推しであるトリスタンを捜していた。


琴葉姫「トリスタンさんなら、あたしを襲わないと信じてる……! 根拠は無いけど!」

琴葉姫「……何支離滅裂なこと言ってんだ、あたし……」









ニア「逃亡者に襲われたくないね……とりあえず、身を守ることに専念しないと……」


近くの廃墟に身を隠すニア。そんな彼女を遠くから見ていた、アンジェリカ。


アンジェリカ「お、また逃亡者を見つけたわ。あたしの金になってちょーだい」


先程拾った木の枝をニアに投げつける。


ニア「いたっ! ……何なの? 木の枝?」

アンジェリカ「どっせい!!」


ニアが木の枝に気を取られている内に、アンジェリカはすかさずニアの背後に回り、瓦礫でニアの背中を殴った。鈍い音が鳴ったと同時にニアは倒れる。


ニア「うぐっ……」



【ニア   失格   残り23人】



ニアは地下牢へ転送された。



アンジェリカ「これで10万円ゲットね♪」









ピコン!


パウダー「『ニアが撃破され、残り23人となった』。逃亡者にやられちゃったんだ……!」


エイジア「おお、ニアが……誰がやったんだよ?」










一方、ナムスカルは未だに空き家に隠れ続けていた。


ナムスカル「ああ……マジ緊張するわ~……てかカラミティ、いつまでいんの」

カラミティ「狼さんが来るまでかな~? お姉ちゃん、ビビりだから~。貴方ほどじゃないけど」

ナムスカル「……今襲い掛かってもいいんだぞ」

カラミティ「いいよ? でも、今近くに狼が一匹いるから、下手に動いたら気づかれちゃうかもね~」


彼女たちのいる空き家の周辺には、一匹の狼が唸り声を上げながら徘徊している。


ナムスカル「ほんといい性格してんな、お前」

カラミティ「ども~♪」

ナムスカル「はあ、お前の相手するだけ体力の無駄だ……構わんとこ」

カラミティ「そ~なの? お姉ちゃん、悲しいな~」








李「儂以外の逃亡者はいないか……?」


戦闘能力の高い老人・李書文は堂々と戦いの相手を捜し続けている。


李「この遊戯には逃亡者を倒せば報酬が貰えるらしいな。面白い、儂が倒してみせよう」

李「儂はもう年じゃが、全然戦えるよ」


自信がある、老人――。








一方、キキは今も隠れられそうな場所を探し続けていた。


キキ「人と会うの、怖い……争うことより……怖い」


そんな彼女の近くに忍び寄る、アイレス・ジャック――。彼は足音を一切立てずに、キキに近づいていく。そして――ナイフを彼女の背に刺そうとする。


キキ「!?」


その瞬間、キキはアイレスに気づき振り向く。刺されることを察知した彼女は――


キキ「イギイイイイイアアアアアアアア!!」


怖い表情で、恐ろしい奇声を上げながらアイレスに襲い掛かる。キキは恥ずかしがり屋だが、自分に脅威が迫ると、一変して恐ろしくなる。

彼女は口を大きく開けたおぞましい表情をしながら、両手で彼の首を絞めにかかる。アイレスは抵抗しながら、ナイフでキキの腕を切る。腕を切られたキキはよろめいて倒れ、仰向け状態になった。


キキ「うっ……」

アイレス「腎臓を寄越せ」


そしてアイレスはキキの腹にナイフを突き立て、そのまま切り裂いた。



【キキ   失格   残り22人】



キキは地下牢へ転送された。一人の少女を倒すのに手間取ってしまい、少し息が荒くなっているアイレス。


アイレス「……」







ピコン!


アスカ「『キキが撃破され、残り22人となった』」


エミリー「やられたのね……誰かに……」










パウダー「んもー! このゲーム怖すぎであたし失神しちゃうそーだよー!」


怒りで恐怖を紛らわしている、パウダー・ターナー。


パウダー「何で今回、あんなルールがあるんだろ? そのせいで誰も信じられないよー! 迂闊に人に会えないよ~!」







アスカ「すっごく緊張する……」


一方、今回初参戦の女性作家のアスカは、慎重に町の中を歩いていた。


アスカ「誰にも出会いませんように……」


彼女も、他の逃亡者が怖いようだ――。








ミニリーナ「なあハッピーフロッグ、本当に私に襲い掛かったりとかしないよな?」

ハッピーフロッグ「しないしない! 疑い過ぎだよ~」

ミニリーナ「だって、逃亡者を倒したら金が手に入るっていうルールがあるから……」

ハッピーフロッグ「逃亡者を倒して手に入れたお金なんかいらないの、あたし!」

ハッピーフロッグ「誰も倒さなくても、最後の一人になればお金は手に入るし!」

ミニリーナ「……」








琴葉姫「はあ、トリスタンさん……トリスタンさん……」


推しを捜し続けている彼女の近くに、一人の少女が現れた。


チェリー「あら、こんばんは」


その少女は、チェリー・パウであった。彼女は後ろにナイフを隠し持っている。彼女は笑顔だが、目が笑っていない。


琴葉姫「な、何?」

チェリー「ねえ、貴方……赤色は好き?」

琴葉姫「何だよ、いきなり……ていうか、あんた誰だよ」

チェリー「私は赤色が大好き。人間の身体にはいっぱい血が流れてる。私、貴方の身体に裂いて、血を開放させたいんだ」

チェリー「そうしたら、私は赤色を見れるから……」


チェリーは隠し持っていたナイフを琴葉姫に見せたあと、構える。


琴葉姫「なるほど……殺人鬼か。私は刺されるのが嫌なんでね!」


琴葉姫は逃げ出す。しかしチェリーのほうが圧倒的に足が速く、すぐに捕まってしまった。


琴葉姫「なっ――」

チェリー「大人しくしてね。大丈夫、痛くしないから……」


その時――











トリスタン「何をしているのですか!」

琴葉姫「!? トリスタンさん!」


そこに、琴葉姫の推しである騎士のトリスタンが通りかかった。


トリスタン「争いはいけません! 今すぐそのナイフを捨てなさい」

チェリー「断る」

琴葉姫「や、止めて! ナイフは止めて!」

チェリー「ナイフは嫌なの? じゃあナイフ無しでやってあげるね」


チェリーはそう言い放った後、肘で思いっきり琴葉姫の腹を打ち、気絶させた。



【琴葉姫   失格   残り21人】



琴葉姫は地下牢へ転送された。


トリスタン「……なんてことを!」



女性殺人鬼・チェリー・パウと出会ってしまったトリスタン。果たして彼は、一体どうなるのか――。






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残り逃亡者……レッド、カレン、パウダー、ミニリーナ、ハッピーフロッグ、エミリー、ジェフ、
       アイレス、ジェイソン、ラフィング、アンジェリカ、チェリー・パウ、ナムスカル、
       カラミティ、ラクス、トリスタン、李書文、エイジア、モンブラン博士、アスカ、柊の21人。




続く

Re: 【Lunatic Play EPISODEⅢ】 ( No.31 )
日時: 2021/11/20 17:23
名前: ウィオ (ID: J69v0mbP)

【Battle and Friend】


トリスタン「何故嫌がってる人にあんなことをしたのですか……?」

チェリー「血が見たかったの。でもさっきの肘打ちで血を出してくれなかった」

トリスタン「そんな理由で人を襲ったのですか? 酷い……許せませんね」

チェリー「何とでも言って。それより……次はあなたの血を見せてくれるかな?」


チェリーはナイフを構えながら、トリスタンに襲い掛かる。彼はそれを間一髪で回避した後、弓を構える。狙いを彼女のナイフに定め、矢を放つ。


チェリー「あっ!」


矢がチェリーのナイフに当たり、そのナイフを破壊した。


チェリー「あたしの大事な武器に何するの……」


殺意のこもった目でトリスタンを見つめながら襲い掛かるチェリー。嫌な予感がしたトリスタンは逃げ出した。捕まれば恐らく、チェリーに凄惨な目に遭わされると判断したのだ。


チェリー「逃げられたわ……覚えててよ……」









その頃、ハッピーフロッグはミニリーナに接近していた。


ハッピーフロッグ「ねえねえ、ミニリーナの好きなものって何~?」

ミニリーナ「ん~……ピザ? ていうかお前ほんと馴れ馴れしいな」

ハッピーフロッグ「だって仲間がいて嬉しいんだもん。貴方もあたしもピザ屋のアニマトロニクスっ!」

ハッピーフロッグ「ね、ミニリーナはバックダンサーやってるんだよね? いいな~、カッコいいな~」

ミニリーナ「そうかあ? 結構しんどいぜ。ずっと踊ってなきゃなんないからな。体力かなり使うぜ」

ミニリーナ「お前は立って歌を歌ってるだけだろ?」

ハッピーフロッグ「歌を歌うだけでも結構しんどいんだよ~? 声はらなきゃダメだから。あたし、いつも喉飴携帯してんの。歌の仕事が終わった後はそれで喉のケアをしてるんだ。こんな感じで毎日ボーカルを頑張ってるの」

ミニリーナ「お前も大変なんだな~。ま、応援してるぜ」

ハッピーフロッグ「ありがと~! あたし、これからも頑張るねっ! あたしもミニリーナのこと、応援してるよ!」

ミニリーナ「! サンキューな」


ハッピーフロッグと打ち解けていっているミニリーナ。ハッピーフロッグの前向きで友好的な態度がミニリーナの警戒心と猜疑心を薄くしていったのだ。


ミニリーナ(こんないい奴が人を襲うとは思えない……)









モンブラン博士「ラクスよ、周りを常によく見ておくのだぞ」

ラクス「はい!」

モンブラン博士「私たち以外はみんな敵なのだ。いつ何処から現れてくるかは分からぬ。とことん気を付けるのだ」


恋人であるラクスを守るために、彼女の気を緩めさせないために、彼女に注意しているモンブラン博士。


ラクス「……! 前から誰か来ます!」

モンブラン博士「ん……ああ、確かに来ているな。もし襲い掛かってきたりしたら、私が倒してやろう」


戦いになれば、容赦しない彼。果たして、彼らの近くにやって来たのは――











アイレス「……」


殺人鬼のアイレス・ジャックであった。


モンブラン博士「? 何か用か?」

アイレス「……」


アイレスはナイフを構えながらモンブラン博士を見つめ続けている。彼はモンブラン博士を倒しに来たようだ。アイレスの異様な雰囲気に怯えるラクス。


モンブラン博士「ラクス、怯えなくていい。私が彼を倒してみせよう」


モンブラン博士は一瞬で彼女に詰め寄り、背負い投げを放つ。アイレスは地に叩きつけられ、仰向け状態になる。


モンブラン博士「終わりだ!!」


そしてモンブラン博士は全力が込められた足で彼の腹を踏みつけようとした。しかしその瞬間にアイレスが回避した。


アイレス「腎臓をくれ」


アイレスはモンブラン博士の両足を蹴り、悶えさせた。そしてアイレスはナイフでモンブラン博士の腹を思い切り切った。


モンブラン博士「ぐっ……やるな……。……ラクス! 彼女は手強い! 逃げるんだ……」


そしてモンブラン博士は気を失った。




【モンブラン博士   失格   残り20人】





ラクス「そ、そんな……! やられてしまっただなんて……!」


モンブラン博士の次はラクスを始末しようと考えたアイレス。標的にされたラクスは咄嗟に逃げだす。彼は逃げ足が速い彼女を見失ってしまった。


アイレス「……」


次見つけたら、必ず始末しようと考えた、アイレス・ジャックであった――。








ピコン!


アスカ「『モンブラン博士が撃破され、残り20人となった』」


エイジア「モンブラン博士さんがやられてしまった……!」


ラクス「ごめんなさい……私のせいで……」









エミリー「誰にも出会わなければいいんだけど……」


その頃、今回初参戦である幽霊の少女・エミリーは廃墟になった雑貨屋の中に隠れていた。


エミリー「戦うの面倒だし……まあ襲い掛かってきたら戦うけど」

エミリー「それはそうと、隠れんぼって楽しいな♪」


かくれんぼが大好きな、幽霊――。








パウダー「ふ~む……逃亡者は全然いませんな。安心安心!」


敵がいないからといって油断は禁物だ。安心し切っている彼女の近くに、誰かがやってきた――。


パウダー「……おや? 誰か来てる~?」

ジェフ「ん、女の子か……」


口の裂けた少年殺人鬼のジェフ・ザ・キラーであった。


パウダー「ひっ!! こ、怖いよおおお!! こ、殺さないで~!!」


ジェフの恐ろしい顔に恐怖し尻餅をつき、そのまま後ろに下がりまくるパウダー。


ジェフ「落ち着いてよ……戦いに来たんじゃないよ。まあ、こんな顔してるし、そんな反応するのも無理も無いか……」

パウダー「えっ、襲わないの?」

ジェフ「無意味な戦闘はしない主義なんでね」

パウダー「でも、逃亡者を倒したらお金手に入るよ?」

ジェフ「悪人じゃない奴を倒しても仕方ないだろ。僕が殺るのは外道だけだ」


ジェフは殺人鬼だが、相手を選ばない殺人鬼のアイレス、ラフィング、チェリーと違って、ジェフは無暗に人を襲わない。理性があるのだ。


パウダー「……殺人鬼なのに相手は選ぶんだね~」

ジェフ「悪いか? まあいいや、それより狼とかに気をつけなよ。周りは敵だらけだからね……」


ジェフはパウダーのことを心配した後、去って行った。


パウダー「……顔はすっごく怖いけど、めっちゃヤバイ人ってわけでもなさそう~。パウダーちゃん、もしかして何かとんでもない人と出会っちゃった?」









ラフィング「あ~、拷問して~なぁ~……」


その頃、ラフィング・ジャックはつまらなさそうな顔で一人で町の中を歩いていた。


ラフィング「大人でもガキでもいい! 誰かを苦しめてえんだ。……大人を見つけたら鈍器で始末する。ガキを見つけたら、お菓子で誘惑して、お菓子に気を取られてる内に殺してやる。ヒッハッハッハ……」


残虐な殺人鬼だ――。


エイジア「おいお前……今「殺してやる」とか言ってたな?」

ラフィング「うおっ!? 何だ、人がいたのかよ~。あんま驚かせんなよなぁ~! んで、俺様に何か用か?」

エイジア「誰かを殺すつもりなんだろ? お前が殺しをする前にお前を倒してやるよ!」

エイジア「お前みたいなやべえ奴を黙って放っておくほど、俺は甘くないんでな」

ラフィング「そーかい」


突然、ラフィングは両腕をゴム人間のように大きく伸ばし、エイジアの身体を掴んだ。そのままエイジアの身体を締め付ける、ラフィング。


エイジア「は、放せ!!」

ラフィング「ダメだな。だってやられたくねーもん」


そしてラフィングはエイジアを思い切り地面に叩きつけ、気絶させた。



【エイジア   失格   残り19人】



ラフィング「これであんたは終わりだな」










ピコン!


エミリー「『エイジアが撃破され、残り19人となった』」


柊「作者さんが連続でやられていってるよ……怖ええよ」










カレン「……全然、人と会わないね」

レッド「そうね……」

(その頃、レッドとカレンは他の逃亡者を捜して続けていた)

レッド「狼の姿はすぐに見つかるのに……不思議ね」

カレン「――あれ? あそこに誰かいるよ」

レッド「あら、本当だわ……カレン、慎重に近づくのよ」


その「誰か」が、レッドとカレンに気づきこちらに近づいて来る。


レッド「!」















ジェフ「ああ、久しぶりだね君たち」


ジェフ・ザ・キラーであった。


レッド「貴方、第1回にもいた……」

ジェフ「ああ、あの時以来だな。その隣の女の子が危ない目に遭ってたね」

カレン「あ、うん……」


第1回で紫服の男に殺されかけたカレン。それを見たジェフが、その男を殺したのだ。


ジェフ「君らあれから怖い人に出くわしたりとかしてない?」

カレン「ううん」

レッド「怖い人なら、今私とカレンの目の前にいるわよ」

ジェフ「ハハハ、こんな顔してちゃ無理もないね、そんな反応」

レッド「中々恐ろしい顔つきよね、肌もあり得ないくらいに白いし……貴方は何故口が裂けていて、三白眼なのかしら?」

ジェフ「話せば長くなるぞ。いいか?」

レッド「長くなるなら止めておくわ。話の途中で狼が来られたら困るもの」

ジェフ「懸命な判断だよ」




カレン「あ、あの、私、カレン・マコーミックって言います。貴方の名は?」

ジェフ「名前? 僕の名はジェフだ。それが何だい?」

カレン「ジェフお兄ちゃんは……このゲームで逃亡者さんと戦いたくないって思ってますか?」

ジェフ「敵から仕掛けてこない限り、戦わないよ。僕は無暗に戦いたくないんでね」

レッド「殺人鬼なのに理性的ねえ」

カレン「じゃ、じゃあジェフお兄ちゃん! 私たちと一緒についてきてほしいんです」

カレン「私、誰にも争ってほしくなくて……平和に終えたいんです。ジェフお兄ちゃんにも協力してほしいんです」

ジェフ「協力か。いいよ、乗った」

カレン「ありがとう!」

ジェフ「あと僕には敬語じゃなくていいよ」

カレン「え? あ、うん!」

ジェフ(こんな可愛い女の子の頼みを断るなんて出来なかったよ)


カレンの優しさは、どんな人をも魅了する――。








柊「誰が敵で味方なのか全然分からないな……」


今回初参戦の女性作家の柊、逃亡者と狼に警戒しつつ、廃墟になったレストランの中に隠れている。


柊「一応ここら辺にボトルとか、瓦礫とか、武器になりそうなものはいくらでもあるけど……使うの嫌だな……」


ボトルも瓦礫も、人を倒すのに十分な殺傷力を持っている。そういう凶器を使うのに、抵抗がある柊。









その頃、エミリーは現在でも、廃墟となっている雑貨屋のカウンターの下に隠れていた。


エミリー「誰か見つけてくれるかな?」


かくれんぼが好きな幽霊の少女は、期待を胸に膨らませながら隠れ続ける。その時、ギシッと床が軋む音が聞こえた。


エミリー(……! 誰か来た!)


エミリーは息を殺す。だが内心楽しんでいる。中々余裕があるようだ。


エミリー(この暗闇のレストランで私を見つけられるかしら?)


その時、誰かがカウンターの下を覗いてきた。彼女はビックリしたと同時に喜んだ。自分を見つけてくれて嬉しかったのだ。彼女を見つけたのは――


アイレス「……」


仮面を被った殺人鬼のアイレス・ジャックであった。


エミリー「あら、ヤバそうな人」

アイレス「腎臓をくれ」


アイレスはナイフを取り出し、エミリーの腹を切り裂こうとする。それを彼女は間一髪で回避した。


エミリー「ちょっと! かくれんぼで凶器なんか使っちゃダメでしょ!」

アイレス「どうでもいい。腎臓をくれ」

エミリー「……本当にヤバイ感じの人だわ」


エミリーは幽霊だが、物に触れることができる。彼女は近くにあった机をアイレスに向かって投げ飛ばした。その机をアイレスはナイフで一刀両断する。それを見たエミリーは唖然とした表情になる。


エミリー「え、そんな――」


そしてアイレスは一瞬で彼女に詰め寄り、ナイフで彼女の下腹部を切り裂いた。



【エミリー   失格   残り18人】



エミリーは地下牢へ転送された。








ピコン!


アスカ「『エミリーが撃破され、残り18人となった』」


ナムスカル「まーた撃破かよ……一体誰が倒してんだ?」









ハッピーフロッグ「撃破されていってる人がどんどん増えて行ってるね。怖いなぁ……」

ミニリーナ「大丈夫だ、私がついてる。私、戦闘能力には自信があるんだ」

ハッピーフロッグ「ありがとう! 貴方って頼もしいね! 目つき悪いけど」

ミニリーナ「やめろ気にしてんだよ」


ミニリーナはそう言いながらも笑っている。もうすっかり、ハッピーフロッグと仲良くなったようだ。


ミニリーナ「ニア、キキ、琴葉姫、モンブラン博士、エイジア、そしてエミリーの6人が立て続けに撃破されちまってんな……一体誰がやってんだ?」

チェリー「琴葉姫はあたしがやったわよ」

ミニリーナ「へえ、マジか――え!?」


ミニリーナとハッピーフロッグの背後には、いつの間にかチェリー・パウがいた。チェリーは不気味な笑いを浮かべていた。そして何故か、トリスタンに壊されたはずのナイフを持っている。どうやらナイフをもう一本持っていたようだ。チェリーはミニリーナとハッピーフロッグを襲う気満々のようである。


ハッピーフロッグ「な、何この人……怖いよぅ」

ミニリーナ「ハッピーフロッグ、下がってろ。こいつは私がやってやんよ!」

チェリー「ふふふ……素敵な赤色を見せてちょうだい」


チェリーは高速でナイフを突き出し、ミニリーナの脇腹を抉ろうとした。それをミニリーナは回避し、ミニリーナはチェリーを蹴り飛ばした。


チェリー「ぐっ……」

ミニリーナ「ピザ屋のバックダンサー舐めんなゴラァ!!」


仰向け状態になっているチェリーに乗っかり、彼女の顔面を何度も殴るミニリーナ。


ミニリーナ「おいハッピーフロッグ! 何やってる、さっさと逃げやがれ!」

ハッピーフロッグ「で、でも、ミニリーナが心配で――」


その瞬間、チェリーは足でミニリーナの腹を思い切り蹴り、吹っ飛ばした。地面に倒れ込んだミニリーナは嘔吐きながら痛みに苦しむ。

そしてナイフでミニリーナの背中を切った。ミニリーナが重傷で苦しんでいるその間に、チェリーはハッピーフロッグに特攻する。


ハッピーフロッグ「ひっ!?」

チェリー「貴方も素敵な赤色を持ってそう……」


そしてチェリーはナイフでハッピーフロッグの腹を切り裂いた。



【ハッピーフロッグ   失格   残り17人】



ハッピーフロッグは地下牢へ転送された。



ミニリーナ「ハッピーフロッグ!!」

チェリー「あら、カエルちゃんが消えちゃった……なら仕方ないわ。次は貴方の番ね」

ミニリーナ「て、テメエ……覚えてろよ……!」


本当は今ここでチェリーを倒してやりたかったが、自分が重傷を負っているため、出来なかった。ミニリーナは力を振り絞って、逃走した。


チェリー「あら、逃げちゃった。腹を蹴られて背中も切られたのに、元気あるね……」






ミニリーナ「畜生……私の友達がやられちまった……あの赤髪、許せねえ! いつかぶっ潰してやるよ!」


ハッピーフロッグの仇を取ろうと、チェリーパウを倒そうと決意した、ミニリーナであった――。







ピコン!


パウダー「『ハッピーフロッグが撃破され、残り17人となった』」


ジェフ「もう残り17人か……」


ミニリーナ「ハッピーフロッグ……!!」










李「撃破された逃亡者の数が増えていっておるな……儂はその中に入りたくないな」

李「儂は老いぼれじゃが、拳の達人としてのプライドを他人に壊されたくないのでの。襲い掛かってきたら、倒す……」

自身の誇りを守るために、気合を入れる李書文。







アスカ「中々逃亡者と出会わないね~」


一方、アスカは逃亡者を捜していた。好戦的な彼女はお金が欲しいようである。


アスカ「戦いとか面白そうじゃん! いっぱい倒してお金手に入れたいな!」


そんな彼女の近くに誰かが通りかかった。赤紫色の髪にスーツを着用した男性。そう、ジェイソン・ザ・トイメーカーであった。


アスカ「お、逃亡者見っけ!」

ジェイソン「? 俺に何か用か」

アスカ「いやーね、ちょっとお金欲しいの! だから倒されてちょうだい」

ジェイソン「そうか。俺の目的を邪魔するのか」


ジェイソンにも報酬かねを沢山稼ぎたいという目的がある。彼は自身の邪魔をされるのを酷く嫌う。彼はポケットから小型の鋸を取り出し、それをアスカに向ける。


ジェイソン「俺に喧嘩売ったことを後悔しろ」


ジェイソンは一瞬でアスカに近づき、小型の鋸を振り回す。その鋸はアスカの肩を切った。アスカは痛みに堪えながらも、蹴りを繰り出す。その蹴りをジェイソンは片足でガードする。

防御されて驚いて硬直しているアスカの背後にジェイソンが素早く回り、相手の腋の下に通した両手を、首の後ろで組み合わせて動けないようにした。


アスカ「ちょ、放してよ!」

ジェイソン「チェックメイト」


そしてジェイソンは小型の鋸でアスカの腹を刺した。



【花園 アスカ   失格   残り16人】



アスカは地下牢へ転送された――。




ジェイソン「さて、邪魔者は消えたし……金稼ぎを再開しようか」





-----------------------------------------------------------------------------------------


残り逃亡者……レッド、カレン、パウダー、ミニリーナ、ジェフ、アイレス、ジェイソン、
       ラフィング、アンジェリカ、チェリー、ナムスカル、カラミティ、ラクス、
       トリスタン、李書文、柊の16人。




続く

Re: 【Lunatic Play EPISODEⅢ】 ( No.32 )
日時: 2021/11/20 17:31
名前: ウィオ (ID: J69v0mbP)

【Jason and Cherry】


ナムスカル「狼の気配が感じなくなった……もうどっか行ったっぽいね」

カラミティ「~♪」


一方、ナムスカルとカラミティは今も廃墟である空き家に隠れ続けている。カラミティは座りながら呑気に読書をしている。


ナムスカル(それにしてもカラミティの奴……なんで読書してんだよ……怖くないのかよ)

カラミティ「面白いな~、この本♪」







李「ふむ……狼は全くおらぬな。だが……油断はできぬ」


常に周囲に警戒している、拳の達人。そんな彼に、一人の少女がやってくる――。


アンジェリカ「おっ、このゲームに爺さんも参加してたのね~」


生意気で卑劣な幼女の、アンジェリカ・ピクルスだ――。


李「? 誰かと思えば子供か……儂に何か用かね」

アンジェリカ「金ちょうだい」

李「今金なんか持っておらんぞ」

アンジェリカ「は? 逃亡者倒したらお金手に入んでしょ」


李は彼女の言葉で、自分を倒しに来たと察した。彼は本来なら戦いが始まりそうになった時、自身の誇りを守るために戦闘態勢に入るのだが、何故かそうしなかった。


李「止めぬか。子供が人に手を上げるもんではない」


李は彼女と戦うつもりは無いようだ。三歳の幼女と戦って倒したりなんかすれば、それこそ自身のプライドに傷がつく。幼い女の子に手をあげた人間になりたくないのだ。


李「儂も子供を倒したくは無い。儂から離れることだ……」

アンジェリカ「あ~? 老いぼれが何ほざいてんの? あんたムカつくから潰すわ」


しかし卑劣なアンジェリカに李の優しさは伝わらなかった。


アンジェリカ「それっ!」


アンジェリカは石を李に向かって投げつけた。それを難なく回避する李。


李「老人に向かって石を投げるんじゃない」

アンジェリカ「そー」


するとアンジェリカは大樹に巻き付けられている紐をハサミで切る。すると空からタライが降ってきて、それが李の頭に命中した。


李「うぐっ!?」


彼にとっては予想外の出来事であった。タライが当たった彼は気を失った。



【李書文   失格   残り15人】



実はアンジェリカは、誰かが通りかかった時にタライを落としてやろうと、罠を作っていたのであった。


アンジェリカ「老いぼれは老人ホームで大人しくしてなさい!」








ピコン!


パウダー「『李書文が撃破され、残り15人』」


柊「えっ!? 嘘だろ!? あの拳の達人が――!?」










一方、レッドとカレンとジェフは他の逃亡者を捜し続けていた。


レッド「中々見つからないわね……」

ジェフ「ああ――ん? 二人とも、向こうに誰かいるよ」


ジェフは遠くを指さす。その方向には確かに人がいた。その人物とは、ミニリーナであった。


ジェフ「確かあいつは……ミニリーナだな」


三人はミニリーナに走って近づき、声をかけた。


レッド「ねえミニリーナ。そんな不機嫌な顔をして一体何があったのかしら?」

ミニリーナ「赤髪の女を捜してんだ!」

レッド「私の事?」

ミニリーナ「違う違う……お前よりもっと髪が長い奴だ」

ジェフ「チェリー・パウか?」

ミニリーナ「んー、名前は知らないけど、多分そいつだ! そいつを捜し出してぶっ潰してえんだ」

カレン「ミニリーナお姉ちゃん……そんなこと、止めるべきだよぉ……」


カレンは困った顔をしながら上目遣いで、ミニリーナを見つめる。


カレン「私、争いが嫌いなの……逃亡者さん同士で争ってるところを見たくないの……っ」

カレン「みんなには戦ってほしくないんだ。みんな平和でいてほしいの……だからお願い、潰すなんてやめて、ミニリーナお姉ちゃん……!」

ミニリーナ「……」







ミニリーナ「悪いけどそれは出来ねえや」

カレン「えっ……」

ミニリーナ「そのチェリーって奴が私の友達であるハッピーフロッグを倒したんだ。あいつの仇を取ってやりてえんだよ! 私はチェリーを許すわけにはいかねえんだ!」

ミニリーナ「友達がやられて大人しくしてられるほど、私は大人じゃねえんだ! だから止めないでくれ……」


ミニリーナは走って去って行った。


ジェフ「説得、失敗だね」

レッド「目が本気だったわ、さっきの子……どうやら本当にチェリーを倒しに行くようね」

カレン「……」

レッド「カレン、確かに争いはダメなことだと思うわ。だけど……友達の仇を取ろうとしている人を邪魔することもダメだと思うわ。放っておきましょう」

カレン「……」


カレンは複雑な気持ちになっていた。確かに友達のために動いてくれている人の邪魔をするなんてダメなことだ。だけど邪魔をしなければ、争いは止まらない。










一方、ナムスカルとカラミティは今も廃墟の空き家に隠れ続けていた。カラミティは未だに読書中。


ナムスカル「……そういやカラミティ。あんた全然襲い掛かってこないんだな」

カラミティ「え?」

ナムスカル「逃亡者がこんな近くにいんのに……。マジで襲うつもり、無いんだな」

カラミティ「まあね~。お姉ちゃん、無暗に襲うのは趣味じゃないから~」


カラミティは本を閉じて立ち上がり、ナムスカルの背後に立つ。そして素早く両手でナムスカルの首を絞めつけた。


ナムスカル「っ――!? あんた、何のつもり――」

カラミティ「油断している人を襲うことを趣味にしてるけどね~」

ナムスカル「てめえ……!!」

カラミティ「全然攻撃してこないと思って油断してたでしょ? 油断大敵だよ~?」

カラミティ「ねえ、お姉ちゃんの名前の意味分かる?「災難」「不幸」「惨事」とかいうネガティブな意味がいっぱいあるの」

カラミティ「今あなたはお姉ちゃんにやられる不幸が訪れようとしてる。可哀想に……」


そしてカラミティはナムスカルを思い切り地面に叩きつけて、気絶させた。



【ナムスカル   失格   残り14人】



カラミティ「はい、おしま~い♪ ごめんね、お姉ちゃんが酷い人で~♪」






ピコン!


柊「『ナムスカルが撃破され、残り14人となった』」


ジェイソン「残り14人か……」









ラクス「あの子は一体何処に行ったのですか……!」


その頃、ラクスは走っていた。アイレスを捜し続けているのだ。モンブラン博士の仇を取るために。最初はアイレスを怖がっていたが、あの後少し冷静になり、恋人がやられたと考えたら、アイレスを許せなくなったのだ。


ラフィング「ようお嬢ちゃん、そんなに急いで何処に行くつもりだ?」


そこにラフィング・ジャックが通りかかった。


ラクス「すみません、今急いでるんで後で!」

ラフィング「おっ、奇遇だな! 俺様も今急いでんだわ!」


ラフィングは両腕をゴム人間のように長ーく伸ばし、その両腕を走っている彼女の身体に巻き付け、動けなくさせた。


ラクス「!? な、何をするのですか……!?」

ラフィング「急いで拷問の対象を捕まえたかったんだ、俺様は。もっと誰かを苦しめなければ、俺様の心は満たされねえ……ハハ、まあ、この拷問好きのピエロ様に捕まったことを後悔しろや」


そしてラフィングは長い爪でラクスの腹を裂いた。



【ラクス・クライン   失格   残り13人】



ラクスは地下牢へ転送された――。



ラフィング「ありゃ~、また消えちまった! 結構手加減したんだがな~」






ピコン!


柊「『ラクス・クラインが撃破され、残り13人となった』」


カラミティ「どんどん減って行ってるね~」







パウダー「もう残り13人……あたし、すっげ~怖くなってきた……」


パウダーは狼と他の逃亡者に警戒しながら町の中を歩いている。


パウダー「ここら辺、全然隠れられそうな場所が無いんだよね……建物全部ボロッボロで身を隠せそうにないし……」

パウダー「んー、パウダーちゃん、今結構ヤバイ状況に陥ってるかもです!」







トリスタン「とにかく警戒しませんと……」


一方、トリスタンはチェリー・パウに警戒しながら町の中を歩いていた。


トリスタン「あの赤毛の女性は本当に恐ろしかったですね……。非常に殺気立っていました。彼女は一体何者なのですか……」


殺人鬼だ。因みに彼は気づいていない。一匹の狼が唸り声を上げながら近づいてきていることに――。数秒後、狼は彼に気づき、すぐさま彼に向かって走り出す。


トリスタン「――!? なっ、狼!?」


それに感づいた彼は咄嗟に逃げだす。しかし、狼の方が圧倒的に足が速いため、すぐさま追いつかれてしまう。そして彼は三度噛まれてしまう――。


トリスタン「不覚……!」




【トリスタン   失格   残り12人】










ピコン!


柊「『トリスタンが狼に三度嚙まれ、失格となり、残り12人』となった」

柊「これでFGO勢は全員全滅か……マジかよ……」


FGO好きな彼女はショックを受けている。彼女は今も廃墟になったレストランの中に隠れている。そんな彼女の近くに、一匹の狼。このメールが届いた時になった着信音を聞いてやってきたのだ。狼は唸り声を上げながら、ゆっくりと歩き続ける――。


柊「……!? なんか獣の声が……もしかして、狼がいる……!?」


柊は狼に感づき、カウンターの下に隠れる。そして気づかれないようにするために、息を我慢する。しかし、それは無駄なことであった。

狼が柊のにおいを嗅ぎ、彼女の居場所を掴んだ。そしてその狼は、柊に飛び掛かる――。


柊「なっ――!? 嫌だああ!!」



【柊   失格   残り11人】



三度噛まれてしまった柊は、地下牢へ転送されてしまった――。









ピコン!


ジェフ「『柊が狼に三度嚙まれ、失格となり、残り11人となった』」


ラフィング「どんどんやられていってんな~」










ジェイソン「……」


一方、ジェイソン・ザ・トイメーカーは自分以外の逃亡者を捜し続けていた。玩具屋の青年は金の為に動き続ける――。そんな彼の近くに、ある一人の少女がやってきた。


チェリー「あら……逃亡者がいた」


チェリー・パウであった。彼女はジェイソンを発見した瞬間、ナイフを構える。


チェリー「ねえ貴方……血を見せてくれる?」

ジェイソン「変わった質問だな。見せたくない。というか、何故見せなければいけない」

チェリー「あたしは赤色が大好きだから。貴方の髪色は赤色だけど、紫色も入ってるから、完全な赤色じゃない……」

チェリー「そんなんじゃあたしの心は満たされないから、血を見たいの」

ジェイソン「そんなに赤色が好きなら鏡で自分の髪でも見ていろ。お前の髪、赤色だろう」

チェリー「自分の髪の色は見飽きちゃった。それはそうと、血を見せて?」


チェリーはナイフを持ったまま、ジェイソンに特攻する。


ジェイソン「はあ……俺は金が欲しいんだがな。邪魔をするなら容赦しないぞ」


チェリーの突き攻撃を簡単に回避するジェイソン。回避したジェイソンは小型の鋸を振り回し、チェリーの顔を切ろうとする。しかし頬を掠めただけであった。


ジェイソン「中々素早い奴だ……」


ジェイソンはチェリーを倒そうと、鋸を何度も振り続ける。しかしチェリーは全てバックステップで回避していく。


チェリー「そんな攻撃じゃあたしにまともに当てられないわよ」

ジェイソン「……」


ジェイソンはピタリと攻撃を止めた。唐突だったため、チェリーは驚いた。


チェリー「? 諦めた?」

ジェイソン「ああ、諦めるさ。鋸で攻撃するのをな」


するとジェイソンは石を指で弾き、チェリーの首に命中させた。首にまともに当たってしまい、チェリーはよろめく。


チェリー「うっ……」

ジェイソン「失せろ!!」


そして彼は足で彼女の腹を蹴って、彼女を吹っ飛ばした。仰向け状態になっているチェリーに近づいて行くジェイソン。


ジェイソン「まだ息があるか。次の攻撃で終わらせてやる……」





















その時、彼は頭を瓦礫で強打された。突然だったため、何が起こったか理解できないまま気を失い、地面に倒れた。


ジェイソン「……? ? ……」



【ジェイソン・ザ・トイメーカー   失格   残り10人】



チェリー「……え」





ミニリーナ「はあ、はあ……」


瓦礫で殴ったのは、ミニリーナであった――。


ミニリーナ「おいテメエ……何この女を倒そうとしてんだよ……この赤髪の女を倒すのは私だ! オラ!!」




-----------------------------------------------------------------------------------------


残り逃亡者……レッド、カレン、パウダー、ミニリーナ、ジェフ、アイレス、ラフィング、
       アンジェリカ、チェリー、カラミティの10人。



続く

Re: 【Lunatic Play EPISODEⅢ】 ( No.33 )
日時: 2021/11/20 17:49
名前: ウィオ (ID: J69v0mbP)

【Murderer's Brawl】


チェリー「何、貴方……あたしを助けたの? この殺人鬼のあたしを?」

ミニリーナ「はあ? 助けたくてこんなことしたんじゃねーや。てか聞いてなかったのか。「この赤髪の女を倒すのは私だ」と言ったろ」

ミニリーナ「お前よくも私の友達を倒してくれたな。ハッピーフロッグが受けた借りを、私が代わりに返してやんよ!」


その時――。









パウダー「え……」


パウダーがチェリーとミニリーナの近くを通りかかってしまった。


チェリー「あら、あなたの髪の色、素敵な赤色ね……」


チェリーは怖い目つきをしながら、口を綻ばせる。自分が殺す標的をパウダーにしたようだ。


ミニリーナ「おいパウダー! 今すぐ逃げやがれ!」


それを察知したミニリーナはパウダーに逃げるように指示した。パウダーは言われた通りにして逃げるも、一瞬でチェリーに捕まってしまう――。


パウダー「ひっ――!!」

チェリー「ふふ、髪が滑々だね……それに綺麗な赤色をしてるね……。でも髪の色だけじゃ物足りないな。血も見せてもらうね」


チェリーはナイフでパウダーの背中を深く突き刺した。


パウダー「がっ――!!」



【パウダー・ターナー   失格   残り9人】



ミニリーナ「パウダー!!」


パウダーは地下牢へ転送されてしまった。


チェリー「……どいつもこいつも、すぐに消えちゃうのね。お陰で血の色をじっくり見れないじゃない……」

ミニリーナ「テメエ……!」


パウダーがやられたところを見て、更に憤るミニリーナ。その時――。













カレン「えっ……何、これ……」


ジェフ、カレン、レッドの三人組がミニリーナとチェリーの近くを通りかかった。


ジェフ「どうやらあのロングヘアの女は殺人鬼のようだな。目を見れば分かる。ありゃ僕と同じ、人殺しの目だ」

レッド「殺人鬼……!」

チェリー「あら、また赤色の髪の子が現れたね……」





その時――。














アイレス「……」


アイレス・ジャックと――












ラフィング「おっ、皆で集まって何してんだ? パーティーでもやってんのか?」


ラフィング・ジャックもやってきた――。現在生き残っている殺人鬼がここに、全員集まった。アイレスとラフィングは怖い見た目をしているため、カレンがレッドの後ろに隠れながら怯えている。


ジェフ「僕にラフィングにアイレスにチェリー……こりゃ、殺人鬼のバーゲンセールだ!」








その頃、アンジェリカ・ピクルスは単独で町の中を歩いていた。


アンジェリカ「あー、何処かに金は歩いてないかしら?」


自分以外の逃亡者は歩く金だと思っている、中々ゲスな三歳の幼女。そんな彼女の近くに、カラミティが近づいてきた。


カラミティ「お金は歩かないよ~?」

アンジェリカ「あ? 何よアンタ。邪魔だから退いてくれる?」

カラミティ「ううん、退かないよ~。お姉ちゃんは絶対に退かないよ~」

アンジェリカ「は? 誰に向かってそんな態度を取ってるのかしら。ブチのめされたいの?」

カラミティ「貴方に向かってだよ~。ブチのめされたくないけど、ブチのめしたいんだよね、お姉ちゃんは♪」


相変わらず人を揶揄うような態度を取り続けている、カラミティ。


アンジェリカ「……始末してやる」

カラミティ「やだ~、人に向かって始末するだなんて物騒な子だね~。私が言えたことじゃないけど! 君、将来殺人鬼にでもなるつもり?」

アンジェリカ「黙れや胸でか女ァ!」


アンジェリカは隠し持っていた木の棒で思い切りカラミティの腹を殴った。


カラミティ「うっ――君、幼いのにすごい力持ってるね~……」


腹をおさえて苦しんでいるが、表情は笑顔である。痛い目に遭っても人を揶揄うような態度を取り続けるという、ブレない女の子である。しばらく苦しんだ後、気を失った――。



【カラミティ   失格   残り8人】




アンジェリカ「へっ、やっぱムカつく奴はしばき倒すのが一番ね!」













ジェフ「まさか殺人鬼が全員集まるとは……ビックリだ」

ラフィング「それよりいっぱい人間がいんじゃねーか! 全員拉致して拷問してやりてーぜ!」

チェリー「ここにいる人たち全員殺したら、色んなものが赤色に染まるね……うふふ」

アイレス「……腎臓」


殺気立っているラフィング、チェリー、アイレスの三人。それを見たジェフは「ここで殺し合いを始める気だな」と感じた。


ジェフ「何だい? 君たち、もしかして今ここで殺し合いでもする気か?」

ラフィング「んー、俺様は殺さずに拉致して拷問だけするつもりだったが、気が変わった。殺し合い、やるよ! 面白そうだし!」

チェリー「あたし……いっぱい赤色が見たいの。だから、いっぱい殺したい……」

アイレス「……腎臓が欲しい」

ジェフ「……」

ラフィング「おいジェフ、お前も殺し合わないかぁー? お前殺人鬼なんだろ。人と殺し合えるいい機会がやってきたんだぞぉ?」

ジェフ「僕は無駄な殺生はやらない主義だ。僕は逃亡者同士の争いを止めることを目標にしてるんだ」

ラフィング「ああ?」

ジェフ「僕はこの女の子二人と共に、争いを止めることに決めたんだ」

カレン「みんな、戦いなんて絶対にダメだよっ! みんな平和に行こうよ~!」

レッド「貴方たち、殺し合いなんて醜い真似は止めなさい」

ラフィング「……」



















ラフィング「「殺しを止めろ」って言われて止めるわけねえだろ。俺様は殺人鬼だぞ。分かったら黙ってろ」
















レッド「……」

レッド「こりゃもう何言っても無駄そうね……」


ラフィングの目は真剣だった。レッドは彼らは本当に殺し合いをするのだと察し、呆れた。


ジェフ「そうか。じゃあ僕はラフィングとチェリーとアイレスを倒すために、戦うよ」

カレン「ジェフお兄ちゃん!?」

ジェフ「戦闘でもしなければ、あの殺人鬼どもをこのゲームから駆逐することなんて出来ないんだ。無駄な戦いは嫌だけど仕方ない、やるしかないよ」

ジェフ「それに、これ以上殺人鬼による被害者が出てほしくないからね」


ジェフは服のポケットからナイフを取り出す。


ジェフ「さあラフィング、チェリー、アイレス。戦いを始めようか」

ラフィング「おお、いいね~!」





ミニリーナ「おいテメーら。私もその戦いに混ぜてくれよ」

カレン「ミニリーナお姉ちゃんまで何!?」

ミニリーナ「言ったろカレン。仇を取りてえんだよ」

カレン「だけど――」


カレンが話を続けようとした瞬間、レッドがカレンを抱きかかえ、そのままジェフたちから離れて行った。


カレン「レッドお姉ちゃん!?」

レッド「あいつらは放っておくべきよ。今のあいつらに説得なんか通じないわ」

カレン「そんなあ!」

レッド「……ごめんなさい、カレン……みんな……」


罪悪感を覚えながらも、逃げ続けるレッドなのであった――。









ラフィング「ガキ二人がどっかに行ったが、まあいいか。さーて、殺し合いと行きますか!」

チェリー「うん!」

アイレス、ジェフ、ミニリーナ「……」


今、5人の殺し合いが始まろうとしていた――。全員が一斉に武器を構え、殺し合いを始めた。


ジェフは自前のナイフを構えながら、ラフィングに飛び掛かる。そして目にも止まらぬ速さでラフィングの腹にナイフを突き立てる。

刺されたラフィングは血を吐いて苦しむも、そのナイフをすぐさま抜き取り、それでジェフの頬を切りつけた。

ジェフは痛みを堪えながら、ナイフを奪還する。奪還した彼は、今度はラフィングの額にナイフを深く刺そうとする。しかし――


チェリー「終わりだよ」


突然チェリーがナイフでジェフの腹を深く突き刺した。そしてそのまま彼の腹を切り裂き、ジェフを倒した――。


ラフィング「おお、姉ちゃんのお陰で命拾いしたぜぇ……まあそれはそうと、倒れろや!!」


ラフィングはチェリーの背中を蹴って吹っ飛ばし、うつ伏せ状態にさせた。そして彼は長くて鋭い爪で、彼女の背中を切り裂こうとする――。

その瞬間、ラフィングの背中にナイフが深く突き刺さった。アイレスが刺したのだ。それに気づいたラフィングは激痛で気を失った――。


アイレス「腎臓が欲しいんだ……」

チェリー「助けてくれてありがとさん、アイレス」


お礼を言いつつも、彼女はアイレスの顔の中心にナイフを深く突き立てる。ナイフを突き立てられた彼は倒れた――。


チェリー「貴方の顔から、素敵な血がいっぱい吹き出た……ああ、あたし、幸せ……!」

ミニリーナ「おいサイコ女、幸せそうな顔してんじゃねーぞオラァ!! ハッピーフロッグの仇、取ってやらぁ!!」


ミニリーナはチェリーに飛び掛かる。チェリーはそれを素早く回避し、ナイフでミニリーナの腹を切りつけた。ミニリーナは腹をおさえながら倒れ込み、動かなくなった。気を失ったのだ。


チェリー「……この殺し合いの優勝者はあたしか。ふふ、嬉しいな……あかいろもいっぱい見れたし……」












アンジェリカ「……ちょ、ちょっと!! 何よ、これ……!!」


その時、アンジェリカが殺し合いが行われていた現場に通りかかってしまった。


アンジェリカ「なんか騒がしいなと思ったら……ここで殺し合いでもしてたの!?」

チェリー「うん、その通りだよ~。楽しかった」


「楽しかった」という言葉を聞いたアンジェリカは顔をしかめた。彼女は卑劣な性格をしているが、殺しは嫌う。だから彼女は、先ほどの言葉に引いたのだ。


アンジェリカ「アタシよりイカレてんじゃん……」


アンジェリカは嫌な予感を覚え逃げ出すが、あっという間にチェリーに追いつかれてしまった。


チェリー「逃げないでよ。貴方の赤色、見せてよ」


そしてチェリーはナイフでアンジェリカの背中を切り裂いた。



【アンジェリカ・ピクルス   失格   残り4人】











一方、レッドとカレンは町の近くにある森の中に身を隠していた。


レッド「ジェフはあいつらを倒せたのかしら……?」

カレン「……分かんない」

レッド「……全員倒せたことに賭けましょう」

チェリー「そんな賭け、無駄だよ。だってあたし以外みーんな撃破されちゃったんだから」


いつの間にかレッドとカレンの後ろに立っていたチェリー。それに驚いた二人はすぐに後ろを振り向いた。


レッド「げ、撃破されたって……ジェフも!?」

チェリー「うん。ああ、ジェフはあたしが倒したわ。彼の腹をナイフで切り裂いたら、やられてくれたわ」

カレン「酷い……」

チェリー「殺人鬼なんだから酷いのは当然でしょ。それはそうと、貴方たちもやられてもらうね」


チェリーはカレンに切りかかる。しかしカレンは無傷であった。何故なら、レッドが代わりにナイフ攻撃を背中で受け止めていたからである。


カレン「レッドお姉ちゃん!!」

レッド「ふん……殺人鬼なんかに、カレンを傷つけられてたまるもんですか……」


そしてレッドは倒れた。



【レッド・マッカーサー   失格   残り3人】



レッドがやられたところを見て、カレンは泣き出す。チェリーはそれを気にせず、カレンに近づいて行く。


チェリー「あなたの味方はもういないわ。さあ、素敵な血を見せてちょうだい」

カレン「ひっ――」


そしてチェリーはカレンの腹にナイフを突き刺した。



【カレン・マコーミック   失格   残り2人】



チェリー「アッハハハ!! 血をいっぱい見れて私は最高の気分だわ!」


狂った笑顔で高笑いするチェリー。




























ミニリーナ「おいテメエ」

























チェリー「!?」

ミニリーナ「捜したぜ……」


突如ミニリーナがやってきた。実は気絶してたフリをしていただけなのであった――。


ミニリーナ「あの時の借り、返しに来たぜ」

チェリー「この死にぞこないが……今度こそ倒れてもらうよ」


チェリーはナイフでミニリーナに切りかかる。そのナイフの刃をミニリーナは手で掴んで止める。刃の部分を握りしめているため、その手から血が大量に滴り落ちている――。


チェリー「くっ!! 放しなさい!!」

ミニリーナ「終わりだ、このサイコ赤毛女がぁ!!」


そしてミニリーナは彼女の脇腹に強烈な蹴りを繰り出し、チェリーの気を失わせた――。






【チェリー・パウ   失格】







ミニリーナ「ぜえ、ぜえ……おっしゃ……おいハッピーフロッグ! お前の仇、取ったぞ!」




≪ミニリーナ   逃亡成功   賞金220万円獲得≫



本来なら賞金200万円だが、ミニリーナはジェイソンとチェリーの二人を倒しているため、20万円をボーナスとして貰えたのである。



疲労でその場に座り込んだミニリーナ。

ミニリーナ「……しんどかったぜ……地下牢へ行って、ハッピーフロッグに会いに行こう。そしてさっさとピザ屋に帰って、バローラに手当てしてもらおう……」






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ゲームマスター「……」


ゲームマスター(……次のゲームは、どうしようか)





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(ゲームが終わったので、今回参加していた逃亡者は元の世界に帰って行った。ただし、ミニリーナとハッピーフロッグだけはまだこの町に残っていた)


ミニリーナ「よう、ハッピーフロッグ」

ハッピーフロッグ「ミニリーナ……その傷は一体……」

ミニリーナ「お前を倒した赤毛女をボコボコにする時にこうなっちまってな。仇は取ったぞ」

ハッピーフロッグ「そうなんだ……」

ハッピーフロッグ「……」

ハッピーフロッグ「ミニリーナ」

























ハッピーフロッグ「ありがとう」
























【THE END】





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