二次創作小説(新・総合)
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- ダンガンロンパ The A:re ーもうひとつの絶望学園ー
- 日時: 2025/10/03 00:25
- 名前: kuzan (ID: akyskkyw)
- 参照: https://www.kakiko.cc/novel/novel7/index.cgi?mode=view&no=26917&p=10
初めましての方は初めまして。
そうでない方は、お久しぶりです。
kuzanと申します。
今回こちらで『ダンガンロンパ The Another:re 〜もうひとつの絶望学園〜』というリメイク作品を投稿する運びとなりました。
以前旧二次創作(映像)の方で『ダンガンロンパ The Another』という駄作を書いていたのをふと思い出し、見返してみたらまあ酷いこと。
設定ガバガバ、トリックも単純。
そんな作品何が面白い?
そうだ、なら全く新しいThe Anotherを創りあげようと思い立ち、こちらに10年振りに帰ってまいりました。
リメイク前のリンクを貼っておきますので是非リメイク前との違いを楽しんでいただければ幸いです。
改めて注意事項をお伝え致します。
・オリキャラの超高校級達が出てきます。
原作と才能が被るものもいます。ご了承ください。
・原作設定の大幅自己解釈、ご都合設定、設定の改変等が含まれる可能性がございます。ご了承ください。
・更新はクソほど遅くなるかと思います。応援してください。その分頑張ります。
・コメント・感想等頂ければ非常に喜びます。批判コメント等は控えていただくと幸いです。
それでは、生まれ変わったThe Anotherの世界へ参りましょう。
chapter ⬛︎ もうひとつの____ >>01
chapter 0:re プロローグ >>02-08
chapter 1:re デス・オア・バース(非)日常編 >>09-14
- Chapter ⬛︎ もう1つの____ ( No.1 )
- 日時: 2024/08/19 15:45
- 名前: kuzan (ID: viAVUXrt)
その部屋は、カーテンが締め切られており、光の差し込まない、完全に暗闇の世界。
その部屋の隅に無機質なPCデスクとまるで唯一その世界の光かのように煌々と輝く青白いモニター。
その前には黒いゲーミングチェアに座るパーカーを被った人物がモニターを凝視していた。
だが……
「あーあ!ツマンナイ!」
その人物がそう叫び、ゲーミングチェアの背もたれに自らの背を勢いよく付けると、頬をふくらませて不貞腐れる。
「ハッピーエンドなんてツマンナイツマンナイ〜!
⬛︎だったらもーっと上手くできるのに〜!」
そのまま手足をバタバタする様子は、さながら子供のようで、とても容姿とはかけ離れている。
「…そうだ!いいこと思いついた!」
その人物がピタリと動きを止めたかと思えば、勢いよく起き上がり、キーボードを凄い速度で叩き始める。
「希望なんて生ぬるいよ…!
この世界には真の絶望が必要…!⬛︎がなってみせる!やり遂げてみせる!
真の超高校級の絶望に!」
その人物がタン、と勢いよくEnterキーを叩き、モニターを再び凝視する。
PowerPointで作ったなにかの企画書だろうか。
色鮮やかだが、分かりやすくまとめられており、作った張本人も満足気に首を縦に動かす。
そのPowerPointの1ページ目には、こう刻まれていた。
『もうひとつの絶望学園』と。
- chapter 0:re プロローグ ( No.2 )
- 日時: 2024/08/20 13:05
- 名前: kuzan (ID: N.hBywMC)
雲ひとつない晴天。
それはまるで、私の新しい門出を祝ってくれているかと思えるくらい、気持ちのいい日だった。
心地の良いそよ風が吹き、桜の花びらがひらり、ひらりと優雅に舞う、一見なんでもない日に見える"特別な日"。
私は、目の前にそびえ立つ巨大な建物を見上げる。
そう、その巨大な学園は、都会のど真ん中の一等地にそびえ立っていた。
まるで、そこが世界の中心でもあるかのように……。
『私立 希望ヶ峰学園』
そこは、あらゆる分野の超一流高校生を集め、育て上げることを目的とした、政府公認の超特権的な学園。
『この学園を卒業すれば、人生において成功したも同然』とまで言われている。
何百年という歴史を持ち、各界に有望な人材を送り続けている伝統の学園らしい。
国の将来を担う"将来"を育て上げることを目的とした、まさに、"希望の学園"と呼ぶにふさわしい場所。
そして、この学園に入る条件は二つ。
1つ、“現役の高校生であること”
2つ、“各分野において一流であること”
新入生の募集は一切行っておらず、学園側にスカウトされた生徒のみがその入学が許可される。
そんな日常生活とはかけ離れた、とんでもない場所の前に、私は立っている。
もちろん冷やかしで簡単に来れるような場所じゃないし、何度も間違いないか確認した。
だけど、実際に目の前にすると、本当に自分がここにいていいのか、と思ってしまう。
しかしそんな考えを自分の手の中にあるパンフレットと自分宛に届いた招待状が否定する。してくれる。
それは先週、通っていた学校から帰ってきた私の元に届けられた一通の手紙だった。
『前田 言菜様
あなたを超高校級の幸運として我が学園の生徒としてお迎え致します。
希望ヶ峰学園 学園長』
そう、私は今、何度でも言うけど!何かの間違いかと思うくらいラッキーで喜ばしいことに超高校級の幸運としてこの学園の前にいるんだ。
「本当に…。本当に間違いじゃ、ないんだよね。」
寒い訳では無いのに、身体全体がガタガタと震える。
傍から見れば情けない姿だが、想像していたよりも遥かに大きい。
恐らく、世界各国でここまで大きな教育機関は存在しないだろう。
…そんな情けない私の自己紹介をしておこうと思う。
私の名前は、前田 言菜。
学校が終われば友達と一緒に帰路につき、その帰り道にカラオケに寄ったり、タピオカを飲んだりしている、どこにでもいる普通の女子高生だよ。
何かの部活に所属しているわけでもなかったし、勉強だって運動だって平均くらい。
…いや、むしろ平均より少し下かも…。
それ以外に何か特徴を言えと言われても困っちゃうし、出て来ない。
そんな普通の女子高生が、凄い才能を持つ人達の中に投げ入れられる気分はまるで動物園のライオンの檻に1人で入れられる気分なんだろうなぁ…
なんてくだらないことを考えている。
それはそうだ。
今回私と勉学を共にする、79期生の面々は、とんでもない才能を持つ人ばかりなんだ。
例えば、どんな荒れたクラスでも取り纏め、一瞬で静かにさせるほどのカリスマ性を持つ、”超高校級の学級委員長”
例えば、未発見の希少な細胞を発見し、それを医療機関に寄付すると、難病指定されていた病気の治療に貢献した”超高校級の科学者”
例えば、東京裏社会に君臨し、夜の街を暴力と金で手に収めた、”超高校級のマフィア”
他にも『体育委員』『社長』『ソムリエ』『ハッカー』『バレー部』『Vtuber』『音楽家』『侍』『美容師』『設計士』『漁師』と、分野はバラバラだけど、各分野の超一流達が揃っている。
「うん!悩んでても仕方ないよね…!
よし!行こう…!」
自分を鼓舞しながら私は勇気を持って一歩踏み出す!
これから希望の道が待っているんだ!
そう、思った矢先。
「…あ………れ……………?」
門への一歩を踏み入れた瞬間、視界がぐにゃり、ぐにゃりと曲がり、足取りがおぼつかなくなる。
それはまるで、遊園地のからくり屋敷の中にある、床が揺れる部屋のようだ。
揺れる視界の中、耳障りな誰かの高笑いが聞こえたかと思えば、私の意識がシャットダウンしたかのようにプツリ、と切れる。
このとき、気づくべきだったのかもしれない。
いや、気づけなかったんだ。
私は超高校級の幸運なんかじゃなくて、
”超高校級の不運”だったってことを。
おかえりなさい、もうひとつの絶望学園
_Welcome Back To Another School
- chapter 0:re プロローグ ( No.3 )
- 日時: 2024/08/19 20:30
- 名前: kuzan (ID: UIQja7kt)
「あ……れ………。」
私は腕と顔に感じる硬い感触に気が付き、ゆっくりと目を覚ます。
体がダルい。頭が痛い。
なんだ、夢か。いつも通り授業中に居眠りしてただけで、希望ヶ峰学園に入学するなんて嘘か。
なんて、寝ぼけながら目を擦る。
___違う。ここは自分の居た学校じゃない。
黒板に机、ロッカー。これだけ見れば普通の学校だ。
しかし、教壇に刻まれている希望ヶ峰学園の校章がこれは夢じゃない、と現実へと引き戻す。
「…てことは…。
やった!本当に希望ヶ峰学園に入れたんだ!
きっと校門で緊張しちゃって倒れちゃったんだ!
それで、誰かがここまで運んでくれた感じかな?」
教室内をぐるり、と見渡す。
だが、そこには誰も居ない。
それどころか、少し違和感がある。
…もう少し教室内を詳しく見た方が良さそうだ。
ー探索開始ー
【カメラとモニター】
防犯だろうか、大きな監視カメラとモニターが黒板を挟んで対極に備え付けられている。
「さすが希望ヶ峰学園…。
防犯の規模も違うなぁ。
これも希望の才能を護る為なのかな。」
【鉄板】
「えっ!?何これ…鉄板!?
ここ、本来窓が在るべき場所だよね…?これも防犯の為、かな?」
とはいえ、明らかにやりすぎだ。
私は思いっきり鉄板を取り付けている大きなボルトを回そうとしてみる。
「分かってたけど…うん!無理!」
こんなところで勉強しろ!と言われても正直気分が乗らないし、暗いのは嫌だ。
後で苦情を入れよう。
【机】
先程まで自分が突っ伏していた机だ。
ヨダレの跡がべっとりと就いている。
…まさか入学して早々に居眠りをしてしまうことになるとは…。
「…ん?これは?」
トホホ、と思いつつよく机を見てみると、何かが書かれている小さな便箋と手書きで校内のマップが書かれた紙を見つける。
「私をここまで運んでくれた人からの伝言かな…?
なになに…?」
便箋を手に取り、内容に目を通す。
…お世辞には綺麗とは言えない文字で、小学生が書いているかと思いつつ、読み進める。
『にゅーがくあんない!
新しい学期が始まりました!
心機一転、これからはこの学園内がオマエラの新しい世界になります!
8時になりましたら入学式を体育館にて行いますので、とっとと体育館に集まってください!』
「何これ!?
『オマエラ』『とっとと』って…。
上から目線だなぁ…!」
内心、苛立ちを覚えつつ、希望の学園だから一般人の自分には辺りが強いのかもしれないと、正当化し、落ち着くことにした。
【時計】
時刻は8時05分。
私が学園に入ったのが確か『7時10分』だったから1時間近く寝ていたことになる…って…
「8時5分!?
初日から遅刻はマズいって!」
私は急ぎで教室から飛び出し、手書きのマップを見ながら体育館へと向かう。
そして体育館にたどり着き、締め切られているその扉をバン、と勢いよく開ける。
「おうおう!
最後の一人が来たみたいだぜぃ!」
髪が上に逆立っており、アロハシャツの上に学ランを羽織っているガタイのいい茶髪の男性が私を見て周りの人物に声をかける。
「デカい声を出さなくてもわかる。
耳がキンキンして不快だ。」
不機嫌そうに腕を組み、どこか見下すような表情を浮かべるのは、センターで分けられた髪型で、メガネをかけている高そうなスーツを着た、黒髪の男性だ。
『でもでも!
これで全員っぽいよね!
アタシら15人!事前情報通り☆』
約165cmくらいはあるだろうモニターから胸元が強調された黄色とピンクを基調としたアイドルのような衣装に身を纏い、わたわたと忙しそうに画面の中を動き回る、金髪ツインテールの…3Dモデルの女性がモニター越しの音声で話す。
「そんなことよりあなたっ!」
そう言いながら眼前に迫るのは、赤いカッターシャツに黒色のベストを身に纏う、黒髪ロングで睨みつけられたら背筋が凍るような赤い目をした女性がビシッと指を指して話しかけてくる。
その制服に付けられた腕章には、『学級委員長』。
「8時には到着しなさいと入学案内には書かれていたハズよっ!
どうして遅れてしまったのか、30文字以内で答えなさいっ!」
ズイッ、と私の顔にその女性が顔を近づけたところで、肩まで伸びる海藻のような白髪に(矛盾しているが)黒の白衣、中には炎が燃えるかのようなプリントがされたシャツを着た男性が女性の肩に手を置く。
「分析した結果、明らかに異常事態だ。
今俺らで揉めてても意味が無い。
自重しろ。」
鋭い眼光でその男性は女性に語りかける
するとそれを聞いた彼女は、渋々と言ったように身を引く。
そして、そのまま男性が続ける。
「これでようやく15人揃った。
改めて、身の丈を明かし合おう。
親睦を深めるために。」
「あっちょっと!それ私の役目よっ!」
白髪の男性の言葉に呼応するかのように、14人の高校生は私の眼前に並び始める。
その様子はどこか圧巻であり、迫力がある。
…これが、これから学園生活を共にする、超高校級の生徒達……!
ー探索開始ー
- chapter 0:re プロローグ ( No.4 )
- 日時: 2024/08/20 16:14
- 名前: kuzan (ID: J85uaMhP)
まず私は最初に声を上げたアロハシャツの男性に声をかける。
「おぅおぅ!最初にオレっちとはお目が高いぜぃ!
うーっす!オレっちは龍崎 哲平ってんだ!一本釣りなら任せなぃ!
よろしく頼むぜぃ!」
ー超高校級の漁師ー
リュウザキ テッペイ
龍崎 哲平…。
漁船、一本丸を相棒とし、これはこだわりなのかただ単に何も考えてないのか、安い釣竿1本でどんな魚でも釣り上げてしまう、超高校級の"漁師"だったっけ。
彼によって発見された新種の魚はどうやら20種類にもなるらしい。
…いやスゴすぎ。
「よろしくね。私は前田 言菜。
一応、『超高校級の幸運』で入学できたみたい。」
「へぇーっ!超高校級の幸運!
そいつァラッキーだったねぃ!
って事は、言菜っちを隣に乗せたら、超激レアの激ヤバの激アツ魚が釣れちまうっつー事かぃ!?
今度一緒に船に乗ってくれよ!一生のお願いだぜぃ!」
龍崎クンが両手をパン、と合わせたかと思えば、私に向かって深く頭を下げる。
「え、ええ!?
私なんか連れてってくれるの!?
私なんも出来ないよ!?幸運って言っても自信ないんだから!?」
困惑し、1歩、また1歩と後退りする私を、龍崎くんがそのままの体制で少しづつ距離を潰してくる。
怖くなった私は逃げるように別の人の所へと向かうことにした。
逃げた先は、見るからに高級そうなスーツを見に纏い、腕を組みながら明らかに私を見下しているような視線を向けるセンター分けの男性だ。
「私の名は成城 朋嗣。
君とは存在している次元が違うのだよ。」
ー超高校級の社長ー
ナルキ トモツグ
成城 朋嗣…若くして名を轟かせる会社、『成城グループ』を立ち上げ、今まで誰もしてこなかったような事業をして国内外シェアNO1にわずか1ヶ月足らずした、超敏腕社長だったっけ。
…ただ、偉そうな態度が玉に瑕、とか。
うん、今実際に会ってみてわかったよ。
「超高校級の幸運…。
フン、たかがくじ引きを引かれ、選ばれた程度の無能でしかないな。
他の連中なら私の会社にスカウトしても良いと思っていたが…
きみは必要無さそうだな。」
成城クンは嘲笑うかのように嘲笑し、軽蔑するような目で私を見る。
「でも、運が味方してくれることだってあるかもしれないよ?
そういう経験ない?成城クンだって何も実力だけで会社を立ち上げた訳じゃないでしょ?」
少しイラッとしちゃったから、私は成城クンに平然とした態度でこう返す。
「…チッ、よく口が回る無能だ。」
さすがに頭に来たのか、それとも思うところがあったのか、今までの態度とは一変し、心底腹立たしそうな表情を浮かべ、そっぽを向いてしまった。ヨシッ。
私はガッツポーズをしながら、次の人の元へと向かうのだった。
次の人は……
人と言っていいのか正直分からない。モニターの中で楽しそうにいそいそと動く彼女は、モニターの前に来た私を見つけると、手をブンブンと振る。
「ヤッホー☆
アタシは、雲上 きらり!
超高校級の天才美少女VTuberでーっす!」
ー超高校級のVtuberー
クモウエ キラリ
雲上 きらり…。
事務所に所属しない、いわゆる個人勢Vtuberで、その魅力的な綺麗な声で容赦なく紹介した商品を切り捨てて行くその様子が爽快だと話題になります、デビューしてからわずか10日たらずで100万人、更には1ヶ月で1000万人登録者が集り、トップYo!Tuberの仲間入りになったという超売れっ子だ。
そしてかく言う私も、彼女のリスナー、『きらりすなー』だったりする。
「雲上 きらりさん!
いや!きらりちゃん!えっとその!
その綺麗な声と可愛らしい声が好きっていうか!
動画も配信ももちろん追ってて!
えっとえっと!あ!あの動画好きだった!えっと、『【美味しいと話題!?】キムチとコーヒーがコラボした《キムコーヒー》【そんなわけない】』!
容赦なくバッサバッサ切り捨てていく感じが爽快で!それからそれから!」
『オーケーオーケー!
落ち着いてオタクちゃん。
つまるところ、アタシのこれが欲しいってことね☆』
私が興奮してモニターの前ではしゃいでいると、目の前のモニターの中央部分に穴が開き、私の名前が書かれたきらりちゃん直筆のサインが出てくる。
「え、凄っ!?
これどうやったの!?」
そのサインを受けとり、目をキラキラさせていると、きらりちゃんが得意げに胸を張る。
『このモニターはアタシ専用に作ってもらったんだ!街をこれで散歩しててもオタククンちゃん達にファンサできるようにね☆
そこに超高性能AIVtuberであるアタシの超高性能コンピュータを繋いでなんでも出来ちゃうって訳!
だからVtuberに中身なんていないんだよ。』
そう、この雲上 きらりちゃんは人工知能。いわゆる『AI』と呼ばれる代物で、隔てなく行うファンサで有名でもある。
そう、中身なんて居ないんだよ。
もっと話したい気持ちを胸に、私は次の人の元へと向かう。
黒髪のロングヘア、赤シャツに黒ベストを来た腕に学級委員長の腕章の女性だ。
「起立!気をつけ!礼!
おはようございます!」
彼女がビシッ、と綺麗な姿勢を取り、斜め45度にさっ、と頭を下げる。
「お、おはようございます!」
それに釣られ、私も頭を下げる。
それを見て満足したような表情を彼女が浮かべれば、腰に手を当て、話し始める。
「私は超高校級の学級委員長!
蛍雪 学よっ!
よろしくねっ!」
ー超高校級の学級委員長ー
ケイセツ マナ
蛍雪 学…。
どんな荒れ果てたクラスでも一瞬で取り纏め、ハキハキと話すその声と容姿端麗な事を利用し、一斉に注目を集めることを得意とする、超高校級の学級委員長…。
もちろん勉学も運動神経もバツグンで、常に全国模試ではトップクラスにいるとか…。
あはは、私とは真反対の人だ…。
「前田さん、だったっけ?
アナタは勉強は好き?」
蛍雪さんはふわり、とその長い髪を後ろに流しながら私にそう問いかけてくる。
きっと私はその時、露骨に嫌な顔をしたのだろう。
それを見ると彼女はニコッと笑う。
「大丈夫!私のクラスになるからにはきっと好きになってるから!
たっくさん一緒に勉学に励もうっ!」
「うへぇ…勉強苦手なんだけどぉ…。」
私は再び嫌な表情をうかべる。
すると蛍雪さんは私にサムズアップすると、続ける。
「大丈夫!勉強が好きな人なんて、最初は誰もいないんだからっ!
私はこれでも何人も勉強を好きにさせてきたから!安心して!」
ニッコリ、と綺麗な笑顔を見せる彼女はとても美しく、同性の私が見とれてしまうほどだった。
…なるほど、これが超高校級の学級委員長…。
感心しながら、私は次の人の元へと向かう。
黒衣を見に纏い、フードが着いた炎が燃えるようなプリントがされたシャツを来た白髪の男性は、前に来た私に気がつくと、目を合わせてくる。
なんというか、不思議な雰囲気を持った男性だ。
「俺は呉霧 ほむら。
しがない科学者をやらせてもらってる。」
ー超高校級の科学者ー
クレキリ ホムラ
呉霧 ほむら…。
未発見の希少な細胞を発見し、医療機関に提供したことで、大幅に次の段階へと移動し、医療に大きな貢献をした、超高校級の科学者、だったっけ。
他にも、南極に存在する山脈の中にある古代遺跡の調査に同行したり、新種の恐竜の化石の研究に協力し、恐竜復活の論文を発表したことで有名になったとか…。
「…分析した結果、俺達が置かれたこの現状…。
とても違和感がある。
前田、この学園に足を踏み入れた際、違和感などなかったか?」
呉霧クンは、手を口元に当て、何かを考えた様子をしている。
「そういえば…!
立ちくらみというか、足元がおぼつかないというか…!
それで倒れちゃったんだよね。」
私の目をじっくり見ていた呉霧クンは、それを聞くとため息を漏らす。
「…やはりか。
ここにいる全員が同じ現象。明らかに異常事態に変わりは無い。
悪い。少し頭を整理する。離れてくれないか。」
呉霧クンはそのままの体制で考え込む。
なんというか、とても真面目な人だ。
私は邪魔にならないようにそっとその場から離れた。