空色ばいく チュチュ / 作

第1話 ~01~
(朝の光。なんて眩しいんだろ。)
毛布にくるまりながら、目をつぶる。
真っ暗にはならず、少しの光が暗闇を邪魔する。
(少しだけ、あと、少しだけ寝させて・・・)
「お姉ちゃん、起きてよぉ。幼稚園に遅れちゃう。」
(こまりの声・・・・・ハッ)
「あれ、こまり。おばさんは??」
「いないよ。菜穂ちゃんを病院に連れてったの。」
「え、そうなの!?」
言葉と同時にベッドから思わずはねた。
急いで準備をする。
今日はゆっくりできると聞いていたから
少しだけ寝れると思っていたが、駄目みたいだ。
私は、桜ヶ丘 空色。
両親は飛行機事故によって亡くなってしまった。
本当の家族は、妹のこまりだけ。
こまりは今、4歳。
私が母親変わりをしなければならない。
私は17歳。
本来なら、高校に通わなくてはいけない歳だが
お金の面でおばに迷惑をかけてしまう。
そういう訳で私はおばの小さなケーキ屋で
手伝いをしている。
今日は水曜なので、お休み。
だから、朝はゆっくりできるはずだった。
「こまり!自転車だけどいいでしょ?」
こまりはうさぎと遊んでいる。
「幼稚園連れて行かないよ。いいの?」
「だめっっ!」
「じゃぁ、早く乗ってね。出発しまーすっ!」
「わーい!!」
ペダルをこぐ。
ここのカーブは好き。
ほら、もうすぐ海が見える。
風が吹いてきて、髪をなびかせる。
後ろを振り向くと、こまりが微笑んでいた。

PR
小説大会受賞作品
スポンサード リンク