コメディ・ライト小説(新)

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リベンジ インフェクション
日時: 2019/08/07 14:09
名前: 柞原 幸
参照: http://www.kakiko.info/profiles/index.cgi?no=12574

初めまして。柞原幸です。

今回が初作品ですが、どうぞお楽しみください☺︎



⚫︎⚫︎登場人物紹介⚫︎⚫︎
[ミア=ルーベン]
ルヒカラ王国に住む、13歳の女の子。
ルーベン家の長女であり、アクトの姉。
元気で明るいが、ルヒカラ王国の主食の一部であるペリ草が大の苦手。

[アクト=ルーベン]
ルヒカラ王国に住む、10歳の男の子。
ルーベン家の長男であり、ミアの弟。
心配性だが、優しく賢いしっかり者。

[アマリア=ルーベン]
ルーベン家を支える頼もしいミアとアクトのお母さん。
コロモロとペリ草が大好き。

[アルベルト=フローマー]
ルヒカラ王国第107代国王。
多くの国民に慕われている。

[ロト]
アルベルト王の執事でありながら、ルヒカラ王国警備隊の最高指導官でもある人物。
国王も舌を巻くほどの優秀な人材。

[カール=ファイネン]
今年ルヒカラ王国の警備軍隊入りした新米警備員。
暑さにやられるとへにゃへにゃになる。


[ルセル=ローべ]
ルヒカラ王国の警備軍隊の1人。
その実力から、最高指導官の右腕とのあだ名も持っている。
また、新米警備員の教育係も務めている。

◆目次◆
プロローグ>>01

==第1章『隣国の異変』=============================
1話>>02 2話>>03 3話>>06 4話>>07 5話>>08 6話>>09 7話>>12 8話>>13
===================================

==第2章『侵入』=============================
9話>>17 10話>>18 11話>>21 12話>>23 13話>>26 14話>>27
===================================

÷÷感想をくれた方÷÷
◇友桃さん 5回 >>04 >>10 >>15 >>19 >>24

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Re: リベンジ インフェクション ( No.24 )
日時: 2019/07/23 20:10
名前: 友桃 ◆NsLg9LxcnY

わぁー更新されてるー!
おかえりなさい~(*´▽`*)

ルセルが子供を見失って疑い始めるあたりからすごくドキドキしてきて、
そのあとのミアとアクトの会話で、この2人だったか!!( *´艸`)ってなりました。

物語のテンポが良くてワクワクします。
続きも楽しみにしてます。

あと、小説大会投票させていただきました!
推し作品なのでv
これからも更新がんばってください。応援しております^^

Re: リベンジ インフェクション ( No.25 )
日時: 2019/07/23 21:48
名前: 柞原 幸

とももさーん!(^o^)/
そんなそんな推し作品だなんて( ;∀;)ありがとうございます。
私も夏休みに入ったので、更新スピードあげます!

それと、小説大会、実はこっそりE.Cに投票させていただいておりました…((o(^∇^)o))
時間が余るほどあると思うので、残った分一気読みしに行っちゃいますねー!

またいらしてください(^^)

Re: リベンジ インフェクション ( No.26 )
日時: 2019/08/01 09:37
名前: 柞原 幸

「姉ちゃん!!」
ゆっくり堂々と多くの人の間をすり抜けて行くミアの元へアクトが駆けつけた。
ミアとアクトは王宮の敷地内に入る事に成功していた。

とは言ってもまだ王室がある王宮内に入れたわけではない。
次の試練はこの広大で豪華な庭園を行き交う人に怪しまれずに突破し、王宮内に侵入する事だ。

「ゆっくり歩いて。何一つ不自然さを滲ませないで。」
「うん。」

貴族たちが高級そうな服を着飾ってワインを片手に庭園を散策しているのを横目で見ながら、その真ん中に通る大きな道を二人は歩いていく。
いつもレンガか、土を踏んで歩いていたのに、今はツルツルの大理石の道の上をカツカツ歩いている、そんな初めての感覚にミアは少し高揚し始めていた。

「はぁ。良かった。ちゃんとあの上官は撒けたんだ?」
改めてミアがアクトの安否を確認する。侵入者だと怪しまれないようにする為、目線は真っ直ぐのままだ。
「多分、ね。今頃僕がいないのに気がついて近くの市場の人達に子供を見なかったか聞いてると思う。」
「そっか。それで帰ってくるのに大体五分だから…十分は稼げたよ!ありがとう。
でも、まさか上官が警備に加わってたなんて予想もつかなかった。
一度も正面門の警備員が二人以上だった時なんて無かったから…。」
「流石に今日みたいな大事な日は警戒されるみたいだね。」

アクトがふと周りを見る。


「なんか…別世界みたい。」


王宮の庭園は賑わっていた。
市場のようなガヤガヤとした賑わいではなく、上品な賑わいだ。
4、5人の貴族達の塊が所々に10個近くあり、皆白いお洒落なテーブルで話し合いながら昼食をとっている。
そしてその周りには美しい花々と木々が綺麗に咲き誇っている。
木の数が多いので日陰も多く、辺りは不思議な涼しさに包まれていた。

最早街の様子とは程遠い、恐ろしいほど整頓された庭園であった。

二人はそんな庭園から王宮に続く大理石の道を歩いていた。
王宮に直接入る門は庭園の中に一つ。
しかし、そこも兵士によって警備されているのが奥の方に見えていた。

「どうやってあそこに侵入するつもりなの?」
アクトが聞く。
アクトは正面門突破時の作戦の事しか伝えられていなかった。
どんどん王宮門が近づいてくるので流石に聞かなければと話しかける。

「こういう時はね。こういう状況を利用するの。」
ミアはそう言うと、パッと駆け出した。

「はぃ?!ちょ、姉ちゃん!ちょっと待ってよ!!意味が分からないんだけど!!」
慌ててその後ろをアクトも追いかける。

「いい?あんたはモジモジしてて。」
「は?!」







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「……!…の!あのっ!!」
「…え?」

ふと自分の世界から抜け出すと、目の前にいたのは女の子だった。
もう6時間も何もせず、一人で一歩も動かず立ち続けだった兵士は疲労していた。
精神的にも身体的にも限界…。
そんな兵士に女の子が必死に叫びかけていたのだ。

「どうしたんだ?そんなに慌てて。」
息を切らしながら必死に自分に訴えかける女の子は何か様子がおかしかった。
なにか大変なことでも起きたようだ…。
…いや、バーベキュー用の肉切れかな?
あれ、でもこの子達随分身なりが…。

「正面門がっ!大変な事になってます!!早く行ってください!!兵士が一人倒されましたっ!!」
「?!?!」

しょ、正面門が?!

テロが起きたのか!!

「早く援護に行ってあげてください!!」
「確か正面門には二人兵士がいたはずだが…。もう一人が戦っている最中ということか?」
「そうです!!私たちは二人の兵士が戦っていて、犯人の内の一人が兵士を気絶させるところを見て、通報しに来ました。」
「爆弾などが使われたテロではなく、複数人による襲撃ということか…。」
「はいっ!早く行ってください!」
「じゃ、じゃあ本部に連絡を…。」

「早く行かんカィッッ!!!!」

バシッとミアが無線機を取り上げる。

「な、何を…。」
「もう残っている一人も倒されて、正面門が突破されているかもしれないんですよ?!私達にそれを阻止することはできません!!でも無線で救助を要請することくらいは出来ます!!私達が本部に連絡しておいてあげますから早く行ってください!!番号は?!」

「0730だ。」
思わず兵士が答える。

すかさずミアはぽちぽちと無線機の番号を押し始めた。


「き、君たちは一体…。」
「「早く行けっ!!」」
「わ、分かった…。任せたよ!!」
「あ、後。無線機で連絡してあげる代わりにトイレ貸してもらってもいいですか?この子我慢できないみたいで。」
ミアがちらっとアクトを見た。
…アクトがモジモジする。

「あぁ。入ってすぐ奥のところだ。」
もう走りかけていた兵士は子供のトイレなんかより、テロの方が一大事なので、ぶっきら棒に答えた。
そして猛スピードで、正面門の方へと駆けて行った。



「こんなう、上手くいくことって…。僕モジモジしかしてないんだけど。」
アクトは逆に恐怖を感じながら、ガッツポーズをするミアと王宮門に手をかける。


「む、無線機は?」
「電池抜いた!!」

ミアはひゅっと電池を草むらに投げる。

「多分、あの兵士も新米だったのね。ラッキーラッキー!でも、だからこそこういう日に警戒しなくてはならないことをどの上官たちよりも聞かされてただろうし。
ほら。塾とかに入学するときも、一年生が一番塾についてのルールを耳にタコができるほどきかされるでしょ。
ここまで来たら、一直線に王室に行くよ!」




王宮内は残酷なまでに美しく、二人が思わず息を呑むほどだった。




「……。ラストスパート。準備はいい?」
「勿論。」

二人は目を合わせて頷いた。

Re: リベンジ インフェクション ( No.27 )
日時: 2019/08/05 21:04
名前: 柞原 幸

「おい!!ファイネン!!しっかりしろ!何があった?」
ルセルは正面門の近くの木の下に横たわるカールの肩を揺さぶる。
正面門に駆けつけ、カールの姿が目に入った後すぐさま脈を確認したが、正常だった。
変な汗が出ている訳でもないし、熱中症ではない。過呼吸でもない。ただ眠っているだけの様だ。
しかしそれにしてもこんなに強く揺さぶっているのになぜピクリともうごかないのかが不思議だ。

『あの子供がやったのだ。』
そう自分の心が自分自身に訴えかける。
しかしこいつは新米だが、たった2分程度でそうやすやすと子供になんかやられるはずもない。
一応兵士になれるだけの力があるのだから。

ルセルは自分自身の叫びを無視して考える。



…だとしたら、あの2分間の間にファイネンは倒されていないのでは…?
その前にもう何かしらの手を使われていたのでは…?

ルセルは落ち着いて記憶を辿る。
何かあいつに接触していなかったか。
話しかけた言葉の中に何か不可解な点はあったか…。
子供が現れた場面から、自分が子供と共に市場に行く場面まで、全てを思い出す。
やってきて、カールに話しかけて、自分が話しかけて、迷子になったと彼は言って、市場に行く流れになって…。そして…。



あぁ。あった。
そういうことか。



ルセルはスッと立ち上がると、腰につけていた無線機を手に取った。
「0730」
慣れた手つきでボタンを押す。



「こちら正面門警備中、第二兵団団長ルセル=ローベ。
子供が王宮敷地内に侵入した模様。
また、正面門警備中の第四兵団団員のカール=ファイネンが相手の薬により意識が無い状態。
相手はこちらに敵意を抱いている。
直ちに軍の要請を願います。
…そうですね。もう、王宮内に入った頃かと。」





ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「はやくはやく!」
ミアとアクトはこっそり王室へと向かっていた
王宮内は沢山の召使いが行き来しているので、隠れながら進まなければならない。

「王室はどこだろう…。」
「決まってるでしょ。一番扉が大きくて、豪華な外見の部屋。」
「もう全部が豪華すぎてわかんないよー。」
「あっ!アクト隠れてっ!!」

ぐいっとミアがアクトの服の襟を引っ張って柱の陰に引き戻す。
少しして柱の前を召使いが何かを乗せた銀色の台をカラカラ押しながら通り過ぎていった。

「うわぁ…。あっぶなかったー…。ありがとう…。」
アクトはへたり込みながら呆然とミアを見上げる。

「ちゃんと周りを見て!見つかったら何もかもおしまいなんだからね。」
ミアがビシッと言うとアクトはコクコクと黙って頷いた。

「…さて。ともかくこのまま本当に王室が見つけられなかったら大変よね。ちゃんと作戦を練らないと。」
「もういっそ堂々と歩いちゃえば?」
「だめ。私たちの身なりを考えてよ。ここの人達とは差がありすぎる。庭園の貴族たちの中にはこういう格好の人も一人や二人はいたから良かったけど、ここの人達はみんな黒いスーツかメイド服。たまに軍服の人がいるだけ。絶対怪しまれるから隠れながらじゃないと。」
「そっか。じゃあメイドさん達についていけばいいんじゃないかな?一人くらいは王室に出入りしてると思う。」
「うーん…。手間かかりそうだけど、それしかないね…。よし、それでいこう!」





ジリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリリ!!!!!!!




突如王宮内にベルのけたたましい音が鳴り響く。
「なに?!」
「え?!」
耳を塞ぎながら、ミアとアクトはさーーっとお互いの血の気が引くのが分かった。

『全軍兵に告ぐ。侵入者が王宮内に居る模様。直ちに訓練時の配置につけ。侵入者は子供。黒髪で色白の男だ。捕獲次第本部に連絡せよ。』
男の人の声でアナウンスが響き渡る。

「バレた!!!!!!!どうしよう!!!どうするの姉ちゃん!!」
アクトは泣きそうな顔で慌てる。
「落ち着いて!!はやく、お、王室へ!!」

二人は誰もいない通路を見つけると柱の陰から飛び込むように真っ直ぐそこを走っていった。

「あー、でもまずはどこか隠れられる場所を見つけよう!!誰もいなさそうな部屋に入って!」
「わ、分かった!」

後ろの方が騒がしくなってきたような気がする。
いや、王宮全体がガヤガヤと騒がしい。
追いつかれるのも時間の問題だろう。
ひとまず何処かに隠れなければ。

「あ、あそこ電気がついていない。多分人はいないと思う。あそこの部屋めがけて走って!!」
ミアがアクトに叫びかける。
奥の方の部屋の一つだけ電気がついていないところがあった。
そう遠くない。
そこに入って鍵をかけて仕舞えば時間は稼げる。反撃もできるかもしれない。

「うん!分かっ…」

ドンっ、

「うわぁっ!!」
曲がり角から出てきた黒いスーツ姿の男の人にアクトがぶつかる。
そのまま尻餅をついてあわあわと腰を抜かしている。

「失礼。少し目眩がして前が見えなくて…。…ん?子供?」

ミアがハッとする。
「この声、今のアナウンスのっ!!アクト!早く立って逃げ…」

「そうか。君たちか。」
ずいっと表情を変えた男が二人の顔を覗き込む。

「勇敢な子供達だね。見当はついているよ。大方ルーベン君の子供達なんだろうね。一般の子供が理由もなくこんな事を計画し行うことなどないのだから。」
「!!」
ミアとアクトの頰を汗がつたう。
急に目の前の男の目がどす黒くなる。
(この人の前では何も…通用しない気がする…。なんなんだこの人は…。)
アクトはこのまま逃げ出す事を想像してみるが、全て防がれてしまうようなパターンしか頭をよぎらない。
ものすごい圧で押しつぶされてしまいそうだ。

「一つ聞いてもいいかい?……勝てる自信はあったのかな?君達二人がこのルヒカラ王国に。」

…あぁ、ここまでなんだな。
ミアもアクトも心の中で確信する。
目の前にいる、自分達を見下ろしながら答えを待っている男。
どう考えてもこの人には勝てない。絶対に逃げられない。本能が言っている。
二人はほぼ同時にうなだれたまま両手をあげた。

そんな二人の様子を見ながら男は口元に笑みを浮かべた。

「私はルヒカラ王国軍隊最高指導官、ロト。覚えておくんだ。いつでも復讐に来い。君達とは嫌でもまた会うことになるだろう。また会った時に最高のチャンスをあげよう。…次に会うときにこうも君達の決意がみなぎっているとは限らないがね。」





頭上の声をただ唇を噛み締めながら黙って聞くミアの後ろからバタバタと侵入者を見つけた軍兵達が駆けつける音が聞こえてきた。





ミアの計画は無残にも失敗に終わってしまったのだった。

Re: リベンジ インフェクション ( No.28 )
日時: 2019/08/15 22:01
名前: 柞原 幸




——————————————————
ルヒカラ王国は気候に異常がある。
それは昔から多くの国の間で知られてきた。
北の都は年中寒く、南の都は年中暑い。
この気候のせいで、昔からルヒカラ王国は作物の栽培に苦労してきた。
しかし、くっきりと別れたその二つの都の境界線上だけは暑くも寒くもない、不思議な空気が広がっていた。


そこに、ルヒカラ王国たった一つの外交門、つまり王国から外に出られる唯一の通路が設置されていた。
それをゲスト門と呼ぶ。






2126年7月。3日ぶりにその門はゆっくりと開く。
周りには国民ほぼ全員が集まり、渦のような人集りが出来ていた。
皆ゆっくりと開いた門を見上げると、パチパチと手を叩き始める。
音は風となりルヒカラ王国全土を揺らしていった。

少しして、審査所付近に置かれていた高台に人が上がった。
観衆の熱気はさらに高まり、それがフロッド=ルーベンである事を確信する。
「英雄だ!!」「ヒーローだ!!」「頼むぞー!!」
声があちらこちらから上がる。
フロッド=ルーベンは歓声に包まれながら観衆を見回す。
一点の迷いもないその瞳には最期になるかも知れない恐怖は滲んでおらず、ただいつもの通り、優しい眼差しで一点を見つめていた。
彼は茶色のローブをまとい、腰に短剣、無線機、背中に槍が入った鞘をかけている。
腰に短剣、背中に槍というのは昔からのルヒカラ王国の武装であり、どの兵士もその武装を強いられていた。
フロッド=ルーベンは側近に何かを囁かれると、一つ、拳を天に突き刺すようにあげた。そしてローブのフードを被り、そのまま地上に降りていき、門の外に立つ。

そこで初めてフロッド=ルーベンも一人の人間である事を感じたのか、観衆の人間が涙ぐみ始めた。
門が全開になり、いよいよ偵察者が生み出される。










歩み始めたフロッド=ルーベンはふと足を止め、フード越しに半分しか見えないルヒカラ王国を振り返る。
(見つけられなかったか。)
自然と苦笑する。
捨てたはずなのに、やはり込み上げてくる寂しさと悔いを感じる。
最期まで自分の情けなさは捨てられないのだ。
だが、これは自分で受けた最期の任務なのだ。
死ぬことになっても…そうだ、悔いはない。悔いは…。


ルヒカラ王国の偵察者はまた進行方向に向き直り、歩みを進めて行った。
後ろで、静かに門が閉まる音が聞こえた。














「行っちゃった。」
アクトがポツリと言う。
周りの観衆は皆互いに話し合いながら次々に解散して行く。
「お父さんの事、こんな形で初めて見たくなかった。」
アクトが今度ははっきりと聞こえる声で言う。
「…ごめんなさい。母さん。私達にはどうしても止められなかった。」
ミアの横でアマリアはただ黙りこくっていた。
「私が家でお昼の休憩を呑気にとっていた時、まさかあなた達がルヒカラ軍によって連行されているなんて考えても見なかったわ。」
「…ごめんなさい。」
「だけど、軍も何考えてるか分からないわね。牢屋じゃなく、何事もなかったかのように侵入者を家に返すなんて。……反省しなさい。子供だからって、今回みたいな事が許される筈が無いんですからね。」
「お父さんは帰って来るよね?」
アマリアは目を見開く。
不意をつかれたのと、出来事の直後なのが重なって、今まで作らないようにしてきた間を作ってしまう。


「帰ってくる。大丈夫。絶対に帰ってくるわ。あの人なら…。」
アマリアはミアとアクトの肩を持ち、誤魔化すように帰路の方向に向ける。
日が落ちてきて、雲の絶え間から日差しが見え隠れし始め、どこかで寂しげに虫が鳴き始めた。
ミアはどんどん寒くなってくるのを隠すようにコートに身を縮めた。











[ルヒカラ王国新聞 vol.794 9月14日]

◯7月上旬マストレードへ向かった偵察者フロッド=ルーベンは未だ帰ってこず。無線機の反応も無し。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ルヒカラ王国からマストレードへは馬車で約1日半かけての道のりである。
それを一般的な軍人が歩くと約6日〜8日がかかる。
つまり往復12日〜16日。
それに偵察を含めても一ヶ月で帰って来られるであろう。
だが二ヶ月以上経った現在でも消息が耐えている現在、フロッド=ルーベンの生死は危うくなっていると言ってもいい。

ルヒカラ王国軍最高指導官ロト氏は、マストレード王国からの奇襲に備えて、軍兵に指揮をとっている最中だと言う。
一方で、偵察者の安否確認を行うとの噂も立っている。つまり偵察者の偵察者を裏で放とうとしていると言う事なのだろうか?
今後の展開一つ一つがルヒカラ王国の命運を分けることになりそうだ……。


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