ダーク・ファンタジー小説

逆十字の聖魔戦争
日時: 2017/04/30 01:07
名前: そーれんか

吸血鬼、人間の血を飲む怪物と呼ばれる生き物。耳が尖っており、吸血鬼かどうかはすぐ見分けられるが人間はごくまれに耳が尖っているものを産む。その人間は迫害され、捨てられ、最終的に魔術師になるケースが多い。

魔術師、元人間や吸血鬼など、様々な種族が魔力をもち不死身になった生き物をまとめてそう呼ぶ。元人間、と言うのは魔力をもった際に人間の記憶を忘れる為。吸血鬼はそうならない。他に精霊族や人狼族など色々な種族がいる。

聖戦士、神と人間によってつくられた通常の人間より遥かに強力な術を手に入れた吸血鬼と魔術師を消す為だけに存在する部隊。


ーーーーーーーーーー
初めまして!そーれんかです。去年から妄想してたやつを小説書く練習がてら書こうかなと思ってます。語彙力のない中学生なので至らぬ点が多いだろうとは思いますがアドバイス等宜しくお願いします_(:3」∠)_
追記
宗教に対する批判的なセリフがありますが、決して実在する宗教を批判する意図で作った訳ではありません。そこはご理解頂けると幸いです。グロテスクな所も少なからず登場します。苦手な方はお控え下さいm(*_ _)m
登場人物を移動させました。そして題名もはっきり決まったので変更しましたヾ(:3ヾ∠)_

登場人物
>>66 異端側
>>67 聖戦士側

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Re: 逆十字の聖魔戦争 ( No.116 )
日時: 2017/07/01 19:44
名前: そーれんか ◆2VcP.GZKgI

おお!見に来て下さってどうもありがとうございますヾ(:3ヾ∠)_頑張ります!

Re: 逆十字の聖魔戦争 ( No.117 )
日時: 2017/07/03 02:54
名前: そーれんか ◆2VcP.GZKgI

ごめんなさい、我が娘。

ごめんなさい、ごめんなさい。

私は馬鹿な母親でした。


「良かったね、君の愛娘が私達に目をつけられなくて。つくづく君の愛娘は運がいいよ。戦闘能力の高い者達に守られて、ね?」
ルナテは人身の部隊に向かって微笑む。さっきまで笑っていた人身の部隊の笑顔はルナテの姿を見るやいなやゴミを見るような目で見つめている。

「アハハ、最悪だ。探し人がこんな風に見つかるなんて。しかも吸血鬼に出会うなんてさぁ?アハハ...笑えね」
四頁は珍しく真面目な表情になり、リーベをおぶったまま少し後ろに下がる。リーベも異様な雰囲気を察したのか、今すぐに抱きつきたいであろう母親を前にしても不安な表情をしたままであった。
「どうする?流石にリーベちゃんをおぶったまま戦闘はきついなぁ。かと言って一人にさせても後ろ取られたら終わりだよ?」
一頁は数秒考えた後、二人をピシッと指さす。
「...四頁、七頁。お前達がリーベを護ってやれ。もう大丈夫だろうが一応な?」
「りょーかいりょーかい。僕と七頁の宿敵は別だからね、任せたよ」
「了解.....あれの事は早く忘れたいんだ!注射本当に痛かったんだからな!!」
そう言って三人はルナテから思い切り間をとる。三頁はそんなに太い針は使ってないが、と苦笑していた。

「...おやおや。私はどっかのピンク頭と違って子供は狙わないのだけど...この女は返すよ、一旦ね」
ルナテはドンとアイルを突き放す。
一旦、という単語が気になったがとにかく吸血鬼の手から離れた事に皆一瞬安堵する。
「さ、それだけ武器を私の目に映してるんだ。戦わぬ手なんてないだろ?」

勿論、と答えるように五頁が手に持った杖を地面にトントンとつく。
それを合図にして、全員が攻撃を開始する。

「!」
武器がルナテの腕を抉る。
「...腕を上げたんじゃないか?ようやく傷がついた。でもね、まだだ。まだ弱い」
チラリと骨が見えても異端達にとっては浅すぎる傷。傷に手をかざせばもう元通り。何も無かったことになる。

「...銀の槍を胸元に突き刺せば死んでくれたり...なんかしないよな」
三頁は自身の右手に持つ槍を見て、ハァとため息をつく。
「あはは、面白い事を言うね。力は大きい程弱点も大きくなる...かもしれないね?」
思わせぶりにそう話し、流れるように魔術を詠唱する。

"弩級術・中指之戒"

ルナテが左手の中指を突き出すとそこから弓と矢が現れる。腕を真下に降ろすと、矢は一頁達を貫かんと飛び出される。

「アハッ、やっぱり僕目立ちたがり屋だからさ。下がってじっとしておくのは苦手だな!」

"人形亡き虚無の館"

壁が現れ、矢を受け止める。矢を受けた箇所は次々と崩れ、そしてまた元に戻る。
「...四頁さん、馬鹿ですか?いえ、馬鹿でしたね」
四頁はくるりと振り向き、けたけたと笑う。
「アハハ、酷い。怒られるのも嫌だし、大人しく戻りますよーだ」
六頁に向かってべーっと舌を出す。

六頁は四頁とのすれ違いざまに、背中に思い切り蹴りを入れる。そして、少しスッキリした表情を見せた。

「...君達仲が良いね。私にはわからない事だ、誰かと違って嫉妬だとかしたりしないから安心しな」
「どこをどう安心していいのか分からないですの...」
五頁の返答に、ルナテは一瞬目を丸くし苦笑する。
「フ...確かにね。でも、そんなに無駄な話をしていいのかい?時間は人間の力じゃ止める事なんて不可能なんだよ」

後ろにいたアイルは娘のリーベを強く抱き締め、額にキスをする。そして四頁と七頁に向かって優しい笑顔を見せた。

「どうか、娘をよろしくお願いします。そして、いつか私を娘の手で

言い終える前にアイルは地に伏せる。それと同時にルナテは甲高い笑い声を大きくあげた。それはもう喉が裂けてもおかしくないくらいに。

「アハハハハハハハハ!!戻した時に気がつくべきだったね、私が完全な形で返すわけがないとさぁ!!」
一頁達をすり抜け、呆然としているリーベの頬を撫でる。

そして

幼い少女の頭を割った。

「これ以上連敗記録更新する気なのかい?」
頬についた返り血をペロりと舐め、皮肉を口にする。

「......言い方は悪いけど、僕達これを狙ってたんだよ」
だが返ってきた言葉は怒りを含む言葉でもでもなんでもなく″狙っていた″という意味の言葉だった。ルナテは多少困惑しつつもニヤリと笑う。
「おや?珍しく驚かせる事を言うね」
皆武器を仕舞い、瞳の光を失くす。その異様な雰囲気は異端でも聖戦士達でも発する事の出来ない独特なものだった。


「俺達だって学ばないわけじゃない...ただそれを記憶する奴がいないだけで」
七頁が死体から目線を逸らさずに言う。
「...貴方達に対する復讐心があればいいというわけでもないですし」
六頁は眼鏡を指で上げる。
「結局は忘れてしまうですの。重要な事ですらいつか記憶の片隅に」
五頁がため息をつく。
「アハハ。君が僕のお願いを叶えるのを手助けしてくれたんだね」
四頁は目が笑っていない口元だけの笑顔を見せる。
「お前が頭を狙ってくれて感謝しているよ、少しだけな」
三頁が口元を微かに歪める。
「でないと俺達が手を汚すことになっていたかもしれないからな」
二頁はいつもは噛むことのない飴をガリッと噛む。
「お前達が全種族の屑であるのなら、俺達は人間として屑、だな」
一頁がフードを外す。そして

″聖脳八頁″

リーベに向かってこう叫んだ。

Re: 逆十字の聖魔戦争 ( No.118 )
日時: 2017/07/05 01:40
名前: そーれんか ◆2VcP.GZKgI

1000閲覧感謝です!!!やばい(やばい)ありがとうございます(語彙力)
これからもよろしくお願いします(*´∀`*)

ーーーーーーーーーーーーーー


良い人?そんなわけない。

悪い人?そう。悪い人。

良い人に間違われる悪い人の集まり。




「おやおや。予想外だな、この場で駒を増やすのか」
ルナテは呆れつつ流し目で修復していく身体を見る。その身体だけ時間が巻き戻っているかのように飛び出たものが元に戻っていく。
「親は生き返らせないのかい、残酷だねぇ。ま、コレの所有者は私なんだけれど」
そう言ってアイルの身体を持つ。
「いくら死体でもモノ扱いはどうかと思いま...いえ、モノ扱いになるのでしたね」
「ですの。身体は魂という受け皿に添えられる物。皿から落ちた食べ物はどうなる?捨てますの。一部はそのまま食べるんでしょう、貴女みたいに」
五頁と六頁は光のない目で冷たい視線を送る。ルナテは余裕そうな表情で煙草を口に咥えて火をつけ、ふぅ、と一息つく。

「嫌だな、私は床に落ちたやつを食べる程物を大切になんかしないからね。知らず知らずのうちに靴で踏んでるさ」
「そうですのね、貴女らしいですの。...二頁、落ち着いてくれますの?さっきからガリガリと...」
二頁はまだ大きな棒付き飴を噛み砕いている。そして目が疲れるのではないかというくらいに強く睨みつけていた。
「アハハ、しょうがないんじゃない?僕も彼奴と出会ったら理性保てなくなるかもしれないしー...って、今回遅いね?」
四頁はもう飽きたと言わんばかりに軽い口調で話し出す。
「脳だからな。心臓が止まっても脳が生きてりゃまだ生き返る可能性はあるが...既に死んだ物を生き返らせるって普通は無理だし、そんなものだ」
まぁね、と返す。

直った。

リーベが何事も無かったかのように立ち上がる。
「...人の生命を弄んで楽しいですか?」
第一声。
かなり大人びた口調になり、その場にいた全員が一瞬目を丸くする。幼い外見に大人びた口調、五頁と似ているが五頁はその大人びた口調が変な方向にいってしまっているのは言うまでもない。

「楽しくないとやってないよ。その殺す権利を手に入れた瞬間に殺される権利を私は得てしまったけれどね」
そう言いながら笑う。半分ほど吸った煙草を地面に投げ捨て、靴で火を消す。ギリッとリーベは歯ぎしりをし、睨みつけた。
「わぁ、意外と普通な答えなんだね?意外だなぁ本当に」
「なんだい?普通な答えでもないと思うけれどね...さて、君達はこれが狙いだったんだろう?じゃあ今日はおしまいだ、駒を増やしてまた来るよ」
ルナテは口元を歪ませて魔扉の中に消えてゆく。


「ね、一頁」
息をつく暇もなく四頁が一頁の背中をドンドンと叩く。痛いという声は無視されそのまま話し出した。
「どっちで呼ぼうか?リーベちゃんのままか八頁か」
「痛.....俺は正直な話どっちでもいいが。統一しろってわけでもない」
雑だなぁ、と苦笑し別の仲間に話を聞きに行く。
「いーちゃん」
リーベが一頁の袖を引っ張りいーちゃんと呼ぶ。
「いーちゃん!?」
「うん。いーちゃん。にーちゃんにさんちゃん、しーちゃんにごーちゃんろーちゃんなっちゃん。よし覚えた!」
さっきの大人びた口調とは一変、見た目相応の口調に戻る。
気が抜ける呼ばれ方だ、と呆れつつも五頁のように変な口調にならないよりまだマシか、と笑う。
「...何私見て笑ってるんですの!?」
「いいや...ふっ...」
「一頁が笑うって事はよっぽど変な事ですのね!?さぁ言うですの!!」
五頁は口元を押さえて笑いを堪えている一頁を見てムキになる。

「どう考えても五頁の口調だろ?違うのか?」

二頁の針より鋭く槍より太い言葉が突き刺さる。
五頁以外の全員が吹き出した。
「二頁狙って言...ブフッ...ったんじゃ...フフッ...ない...よね?」
四頁は腹を抱えて息苦しそうに笑う。大ダメージを負った五頁は数十秒固まった後、ボロボロと泣き出した。
「ぅ...に...二頁の...馬鹿ぁぁぁぁぁ!そんなのわかってるんですの!!」
あ、自覚ありなんだ、と皆軽く驚く。
「大丈夫だよごーちゃん!ですの、って変だけど、そのままでも個性があっていいと思う!」
リーベはフォローしたつもりなのだろう。更に突き刺していることに気がついていない。先程の言葉で槍が突き刺さった状態なら今の言葉はその槍をぐりぐりと動かした上でゆっくりと引き抜く位に辛い。いや辛いじゃ済まされない。
「俺が笑い出しておいてなんだが...もうやめてやれ...」
困った笑顔で一頁はリーベの頭を撫でる。
「えー?」
子供の純粋さは大罪。もう罪どころじゃない。
「うぅぅ...もういい!先に帰る!!」
泣きながら五頁は走っていく。
「あーあ...やっちゃった。こりゃしばらくいじけるなぁ...」
四頁は頬をかき、やれやれとため息をついた。
「私も先に帰ります。ソファを涙で濡らされるとシミになって最悪取れなくなりますので」
「...年上に対しても結構辛辣だよな、人より物の心配をするのか...」
「信頼関係によるものと言わせてください。辛辣なのは昔からです、多分。では」
多分?と聞き返す間もなく六頁もその場を離れる。
「んー、ろーちゃんって毒舌だし怖いけど、真面目だよね!尊敬するなぁ!」
リーベの悪意無き一言。全員の顔が引きつり青ざめる。
「.....絶対六頁の前で言わないでね、それ。凄く痛い目にあうから...せめて最初の方の言葉抜いてね…」
二頁より精神的にくることを言う人物だな、と四人は頭を抱える。
「あ、にーちゃんにーちゃん!近くに美味しいお菓子が売ってるお店私知ってるよ!買いに行こ!」
流れを思い切り変えてリーベは二頁の袖を引っ張る。二頁も顔をキラキラさせて着いて行った。
「...なんというか...もう少し精神年齢高くできなかったのか?でもさっきは凄く大人っぽかった気がするけどな」
「悪い...身体は二十歳まで成長できるようにしたんだが...中身はどうも年齢がわからん」
三頁は作り直した本人がそれか、と内心突っ込む。
「まぁ...いいんじゃない?類は友を呼ぶ...的な?」
「何か違うと思うが?」
「だよね、僕も思った」
「じゃあ言うな」
淡々とした会話は長続きせずに、すぐにシンとする。沈黙が重たい。
「棒立ちしてるのもなんだしさぁ、僕そのお菓子屋知ってるから行きたいんだけど...ね?ね?」
沈黙を破るのはやはり四頁。高身長の見た目に似合わず中身は子供なのはリーベ達と似たようなものかもしれない。
「五頁と六頁にも買ってやろうよ、ね?ね?」
「六頁甘いもの嫌いだぞ」
七頁が何度も言っていただろ、と話す。四頁はまるで初めて聞いたかのようにえ、嘘?といった反応をしていた。
「甘くないお菓子だってあるじゃんか!この前の味噌飴とかさぁ!」
「...俺は帰るからな...行くなら三人で行ってこい...」
一頁は口元を押さえて気分が悪そうに走っていく。そう言えば一頁も甘いものが苦手なんだっけ、いや苦手を通り越していたかと納得し、三人は再び棒立ち状態になる。
「あー...一頁帰るならいいか。少しくらいはめ外しても怒られないだろ」
「だよねー!お金は僕払うからさ、行こ?ね?」
言ったな?と三頁と七頁は怪しく笑い、四頁は顔をひきつらせる。
「...アハハ...まぁ...たまにはいっか...」
多少困りつつも致し方なし、と自分に言い聞かせた。

Re: 逆十字の聖魔戦争 ( No.119 )
日時: 2017/07/07 02:15
名前: そーれんか ◆2VcP.GZKgI

僕は元々人間でした。今は異端です。

僕は人を食べます。異端だからです。

僕は人を殺します。異端だからです。

僕は人間と対立します。異端だからです。

僕は異端です。この世界がとっても楽しいと思う考えがおかしい魔術師です。

僕は同類ですらも手にかける。

だって異端だからね。

さぁ同類の待つ場へ戻ろうか

教会の鐘声が聴こえぬうちに。



「たっだいまー!待って...あれ?」
行く前まで明るかった暗い部屋。チキちゃんが残っていたはずなんだが、とキョロキョロ辺りを見回す。
「チキちゃーん?あっれ、おっかしいなぁ...」
ブスっとした表情で天井を見る。

「いつものチキちゃんは睨まないと思ってたんだけどな?」

チキの表情は影で見えないが、瞳だけはしっかりと光っていた。
「気のせいだと思います。何度も睨んだ覚えはありますよ」
ひょいと飛び降り、床に足をつける。笑ってはいたが目は睨みつけたままだった。
「あー、言い方悪かったかな?いつものチキちゃんは僕を刺そうと槍を構えて殺気を放ってた事なんてあったっけ?って聞きたかったんだけど」
「それ言い方が悪かった所じゃじゃないですよね。省略するのも程々にしてください、二度聞き返したくはないんです」
赤い槍。最初は熱くて熱くて痛かった槍。最初は暴れて思い通りに使えなかった槍。今ではこの熱さですら当たり前、痛みなんて感じない。今では自由自在に動かせる。

「うへぇ...大分口が達者になったね、僕前の方が好きだったかも。身体は成長しないんだしさぁ、中身も成長しなくていいんじゃない?」
「死鬼さんはそれでいいんでしょうけど。身体と中身は別物ですよ」

うーん、やっぱり昔がよかった。そう時は流れていないけど、こんなに変わったのは初めてかも。やっぱり箱入り娘ってのは外に感化されやすいのかな。といっても関わったのがこんなのばっかりじゃ嫌でも変わりそうだけど。
死鬼はニヤリと笑う。
「死鬼さんにはこう見えて感謝しているんです。成長しなくていいって今さっき言ったけど、私が成長する手助けをしてくれたんですから」
チキも笑う。
「あー...やったねそんな事。いやぁ僕達って平気で嘘を吐いたり前言撤回しちゃうからさあ」
「嘘を吐かない種族なんていませんよ。都合が悪くなった時の一時凌ぎですもんね」
「そうそう、そして最後全部自分に戻ってくる。でも誰一人嘘を吐く事をやめる事がないのは何でだと思う?」
沈黙。
思考状態に入ったチキは顎あたりに手を当て悶々としている。そこまで悩まなくていいんだけど、と死鬼は苦笑した。

「まぁ色々あるけどさぁ。やっぱり僕はその一時凌ぎが大きいからだと思うな、でないといつバレるかもわからないあやふやなものを使う気になれないよ」
「ですね。嘘にも色々ありますし、話していたらキリがありません」
だね、と死鬼は頷きソファに寝転がる。
「...ちょっと」
「ん?」
「いや、ん?じゃないですよね!?なんでそんなに呑気なんですか!」
ゴロゴロと猫のように寝転がり欠伸をする様はいくら殺す気で待ち構えていた者でも唖然とし脱力する程だった。
「え、チキちゃんになら刺されてもいっかな〜って」
思い切り死鬼と距離を取りたくなる。話が逸れまくった上にこれか、とチキは呆れ返りその場にぺたんと座り込む。
「まぁまぁ。僕を狙う時なんていくらでもあるからさぁ、先に懲りない虫たちどうにかしない?」
死鬼が指さす先は三人の聖戦士。武器を持たず窓を割って中に入ってくる。

「うわわ、窓割んないでよ。怒られるの僕なんだからさぁ...今日は少ないね。言伝か何かかな?」
寝転んだ姿勢のままで話し出す。聖戦士の中では珍しい男が一歩前へと歩み出てきた。
「正解。停戦だ」
「はえ?停戦?」
凛とした声に続く間抜けな声。まあ唐突に言われれば無理もない。
「冗談...ではないのかぁ。びっくりした!了解、他の人にも言っておくよ。それで停戦中は何をしてればいいんだい?そして期間は?」
「そんなにいくつも質問をしないでくれ。まずは期間、5年だ。お前達にしてみればあっという間だろう」
そうだね、と二人は頷く。
「続いて停戦中は多少の行動制限を設ける。襲っていいのはスラム街の無信仰者のみだ」
死鬼は再び間抜けな声を出す。
「いや僕としては襲えるのがいるだけで有難いんだけど...守んないの?そいつらだって一応人間だよ?」
「何も与えぬ人間に何かを与える道理はない」
スッパリと冷たく言い放つ。さも当然であるかのように。
「うわー、本当に聖の立場なのか怪しくなってくる発言じゃあないかそれ?神様が言ったの?」
男は頷く。
「神が言わなきゃ私達は動かん。言う事は終わりだ」
「そっかぁ。わざわざご苦労様」
死鬼は立ち上がり、ニコリと笑う。
「あ、ちょっと待ってよ」
背を向けて外に出ようとする聖戦士達を引き止め、肩に手をかける。

「チキちゃーん、喋ってなかった二人あげる」
「どうも」
一人の首が飛ぶ。続いて一人の身体が二つに分かれる。
今度間抜けな声を出したのは君達だったね、と含みのない笑顔で男に話しかける。
「僕達との対話の対価は君達自身。何かを与えぬ人間に何も与える道理はない...だっけ?その言葉そっくりそのまま返すよ!」
瞬きをする間もなく男の身体が消える。
指先に少しついた血を舐め、不満な表情を見せる。
「うーん...やっぱりイマイチだなぁ。チキちゃんも殺すのに抵抗無くなってきてるよね。あーあ、しばらく暇になりそうだぁ」
死鬼はドサッとソファに寝転がり、ブツブツと何か言っている。
「そろそろミサとスオが心配になってきたのでジンリンさんの所へ行ってきますね、待ってるだけじゃ帰ってきそうにないんです」
パンパンと服の汚れを叩き、ズレた帽子を元に戻す。
行ってらっしゃい、と手を振る。チキは軽くお辞儀をしてから割れた窓から外に出ていった。

残ったのは二人の死体と自分のみ。あんまり美味しくないから好きじゃないけどなぁ、と思いつつも手を伸ばす。

僕はあまりゆっくり食べないタイプでね。
死体が消える。
やっぱり美味しくない。
早く帰ってこないかな、他人に留守番頼むなんてなんて家主だ。
うん、暇。
屋敷探検でもするかなぁ。行ったことのない場所に入ってみようか。研究室、書庫、その他諸々。

全部暇潰し。割れたガラス?床についた血?僕知ーらない。

Re: 逆十字の聖魔戦争 ( No.120 )
日時: 2017/07/11 01:36
名前: そーれんか ◆2VcP.GZKgI

バカ娘のやべーやつ

何度も何度も壊されて

平和な生活は許されぬ

死ぬまで武器を手に取ること無く暮らしていたかった

そんな叶わない私の夢

生まれ変わったら平和に暮らすことができるのかな?

でも私は今平和に暮らしたいから武器を取らなくちゃ。

そもそも平和ってなんですか?



夢幻白昼屋敷の敷地内。赤色に染まったこの景色にチキはギョッとする。
「〜〜、チキちゃん!どうしたの?」
「きゃっ!?び...びっくりした...」
唐突に現れたジンリンに目が飛び出るのではないかと言うくらいに驚いてしまう。
「〜〜〜。いやぁねぇ、そんなに驚かなくてもいいじゃない?」
いつもと変わりなく笑うジンリンにチキは少しの違和感を覚える。こんなにおかしい景色なのにどうしてさも当然に話しているのか?と。
「〜〜。どうしたの?顔色悪いわよ」
「い、いえ...あ、ミサとスオは?」
その質問で笑顔から一変し、真顔で崖の方を指さす。
そして
「行ってらっしゃい」
と笑わないままチキにそう囁いた。

まともなのが居ないんですね、魔術師ってのは。
とでも言うような表情でチキは崖の方に走っていく。
ええ、異端ですから。
走っていく様を見ながらジンリンはポツリと呟いた。


断崖絶壁。ここに今から落ちると思うとゾッとする。
「うわぁ...」
恐ろしそうに崖下をのぞき込む。
数十秒考えた後にチキは目を瞑って崖の下に飛び降りる。
目を瞑っていた方が余計に怖いと感じる事が分かったのは底に足をつける寸前になってからの事だった。

「あぁぁぁぁ...怖かったぁぁぁ...」
暗くて足場も悪く水の音のみが聴こえるこの場より絶対飛び降りていた時の方が数百倍怖かった、とため息をつく。
少しだけ地上の方から差す光でなんとか歩けるくらいには足元が見えていたが、それでも転けそうになったりしてしまう程足場がゴツゴツしていて歩きにくい。そのゴツゴツしているのが木なのか何なのかはこの光だけではわからないがたまにぐにっとした感触のものもあり、気持ち悪かった。
「あれ...?」
少し先に赤い光。こちらに向かってくる。

「この気狂いが!!」
ミサだった。チキだと言うことに気がついていないのか、思い切り剣を振り下ろしてくる。というかなんなんだその言葉遣いは。
「うわああああ!?」
「あ...お嬢様?ひぇ、すみません!実はさっきから変な奴等がバンバン出てきてまして...」
目を回しているスオをおぶってよく戦えてたな、と驚く。ミサがいい加減重たいのかぐらぐらとスオの身体を揺らす。
「ぅ...あ、チキだー!」
目覚め早々キラキラとした表情で主の姿を見る。
「二人共お疲れ様。頑張ったね」
チキは二人の頭を撫でる。ミサは顔を真っ赤にし、スオは純粋に喜ぶ。と、同時に背後からの引きずるような足音。
「お嬢様、結構タフなのでお気をつけて」「チキなら大丈夫だもんね!」
姉の凛とした声と妹の元気な声が響く。
「二人もね」
笑って槍を手に取りふぅ、と息を整える。
そして相手が攻撃しようと腕を振り上げる前に肉塊にする。勿論相手がなんなのかはよくわからない。ただ襲ってくるから殺られる前に殺るだけ。
数は見る限りそう多くない、隙を見つけて登ろうか。

淡々と斬って刺して貫いていく。返り血のようなものを浴びても何とも思わなくなってきた。

むしろいいのかもしれない。

なんて。

「〜、〜、〜。頑張ってるわねー?」
鼻で歌いながらジンリンが降りてくる。
「どうも。綺麗な声ですね」
素っ気なく返事をする。
「ありがとう、精霊でよかったわぁ!」
と嬉しそうに手を合わせた後チキに抱きつく。前からお嬢様に抱きつくな!とミサの怒号が飛んできたがお構い無しに。
「あの...一応戦闘中なんですが」
鬱陶しそうに手を離そうとするが地味に強い力で抱きつかれている為中々振りほどけない。
「いいのいいの〜。二人共随分強くなったわよ?」
「見てわかります。ジンリンさん、ありがとうございました」
お礼を言われジンリンは抱きしめる力をさらに強くする。ぐぇっ、とチキが苦しそうな声を出してもお構い無し。
「ここにいる襲ってくる奴等は頭潰した方がいいわよー、頭が動いてれば身体千切れても生きてるから」
結構重要な事をあっさりと言う。だからタフなのか、と二人は納得し重点的に頭を狙っていく。

「...ここは?」
無理に離そうとすることを諦め、ジンリンに質問をする。
「〜、知りたい?ゴミ捨て場兼牢獄。定期的にこうしないと溢れかえっちゃうから大変なのよー?」
さっきまで散々離そうとしても離れなかった癖に諦めた途端にパッと手を離した。軽く苛立ちながらも話に耳を傾ける。
「どこからか迷い込んできた人間が一時期沢山いたのよ。最初の数人は暇潰しに育ててたんだけど、後からどんどん増えてきちゃって。場所っていうものは必ず限界があるものなのよ?」
長い髪とスカートをなびかせて、ジンリンは足元を微かに照らす。
照らされた箇所に見えるのは骨と腐った肉。

「だから椅子取りゲームをしようと言ったの。ここにいるのは座れなかった人達ね」
またこんなのか。もう飽きるほどに人を殺した、という単語を聞いた。最初は怖くても今は何ともない、何も感じない。
「...まぁ、席は一つも残さなかったけど」
「それって椅子取りゲームなんですか?」
違うわね、と口に手を当てて笑う。
「ルール改変は異端の癖よ?」
「そうでしたね」

あら、もうこんなに数が減った。さっすが姉妹、やる事がはやいわね。それとも主がいるからかしら?
この姉妹は本当に素敵。主の為になんでもこなす。何もかも主、主、主。忠誠心の塊ね。
その塊が壊れたらどうなるのかしら?主から離れる?主を守らなくなる?主を見捨てる?主を殺す?
どれでもいいわ、いつか壊れてくれるその時までゆっくり待ちましょう。自然に壊れなかったら壊すのみ。あわよくば姉妹という名の絆も壊れてくれれば嬉しいのだけどね、既に色々すれ違いがあるようだし。

「〜〜。ごめんなさいね、崖崩れ起きたみたいでこんな場所に来させちゃって。大方減ったから上がろうと思うのだけど、みんな怪我はない?」
皆ない、と重なるように答えジンリンは安堵したような表情を見せる。
「飛ぶのもきついでしょう?とりあえず登れるようにはしておいたから、先に上で待っているわねー」
ジンリンが半透明な階段を指さした後、透き通った羽根でひょいと飛び、くるくると回りながら上へと登っていった。
その飛び方に三人は数秒の間固まっていたが。

「...とりあえず戻りましょう、お嬢様」「変な飛び方だったね…」
「スオ...ジンリンさんの目の前でそれ言っちゃダメだよ?」
三人はその場で笑って話をしている。

談笑している暇があるのかしら?

ジンリンは崖上から覗く。

飛び方はまぁ...わからなくもないと思うわね...うん...

でも私、奴等が大方減ったとは言ったけど何も襲ってこないとは言ってないし安全だとも言ってないわよねぇ?

まぁ選択肢なんて知らずうちに出てきて知らず知らずのうちに選択しているものね。

私の思い通りに動く事はないようにして頂戴。ゲームは予想外な事が起こってこそ面白いのよ。

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