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君といた時間。
作者: 副生徒会長  (総ページ数: 26ページ)
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10~ 20~

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午前。少しおばさんと話をしたが、そのあとには僕は「お風呂に入ります」と「おやすみなさい」しかしゃべらなかった。真希子おばさんの旦那さん、宗二郎さんとおじいちゃんもいたのに僕はしゃべらなかった。二人とも時々質問を投げかけてきてくれたけれど首を振ったりするだけで、会話はしなかった。僕はこのお父さんの実家のにおい、線香みたいなにおいのする布団の中で考えた。なぜ僕は話せないのだろうか。なぜいじめた人だけでなく、世界中の人々とどんな人とも話すことができなくなったのだろうか。答えは分からない。yesでもnoでもない。分からなかった。多分人間恐怖症というものなのだろう。こういうのを心を閉ざしたというんじゃないのか?僕は自分の世界に自分以外の人という存在を入れようとせず、世界の窓、ドアをすべて締め切ってしまったんだ。しかもすぐに開けられるようなものじゃない。何重にもロックがかかっていて地震でも起きない限り開けられないような・・・。そんな世界を作ってしまったんだ。と・・・。ほほに熱い何かが零れ落ちた。暑いのも忘れ、ただただ泣き続けた。声を押し殺して、本当に情けない。本当に自分が嫌だ。自分を消してしまいたい。自分を殺してしまいたい。自分が周りを不幸にしている。違うことを考えようとしても、今の僕は現実を見ていた。現実から逃げられなかった。そしていつの間にか現実は夢となり、僕は眠りに落ちた。

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