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*24*
「え?もう気づいたの?はっやいな〜」
すごい軽い口調で、挑発しているようだ。
「その嫌なにおい…はやく消えろ」
しずくはなぜかものすごく怒っている。
いつもの落ち着いた口調ではない、いらついた口調。
「…波香はどこにいる?」
いつの間にか、しずくはその悪魔の目の前に立っていた。
「相変わらず鼻がいいのね〜。まあ、そんな怒らないの。わたしが波香チャンをさらったからってさぁ」
『えっ…?』
みんなに緊張が走る。
しずくの妹をさらった悪魔が、目の前にいるのだ。
「あなたが…波香ちゃんを…!」
紗綾の顔にも怒りが現れる。
しずくが怒るのも、無理はない。
「まあまあ、さ〜ここからが楽しいのよ」
悪魔がにこやかに笑う。
そして、それが合図になったかのように、不思議な映像が現れる。
映像とは言っても、立体的なものだ。
「う…そ…レイヤ…く…」
それは、とても残酷な映像で。
黎夜が、悪魔に連れ去られる前の…血を流して倒れている映像。
「ふふ…どう?あなたが傷つけたのよ?あなたのせいよ。全部、あなたのせい…!」
「う…ああぁっ」
紗綾は、急に倒れる。
顔が青ざめ、涙がぼろぼろと流れてくる。
「サーヤっ別に、サーヤのせいなんかじゃない!」
「そうです!紗綾さん、しっかりしてください…!」
そんなはげましの声も、紗綾には、信じられなくて…。
「う…あぁああ…いやっ…あぁ」
(このままじゃ、闇に転じる…)
しずくは、直感した。
「水よっ!」
しずくが力を放った先は…
「きゃあっ」
紗綾。紗綾は気絶してしまった。もちろん、みんなが驚く。
「サーヤになにをするんだ!」
「ふふっ仲間割れ?」
みんなにわあわあ言われるが、しずくは動じない。
「…悲しみは」
「は?」
「悲しみは、いずれ闇に変わるっ!それに、悲しみは、人の心をも食らうわ!黎夜は、紗綾が闇に転じてもいいのっ?」
「え…」
しずくが急に声を張り上げたので、みんなが目を丸くする。
そのしずくの瞳は、まっすぐで、どこも揺らいでいなかった。