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魔天使マテリアル 「涙のしずく」 【完結】
作者: マヤ  (総ページ数: 49ページ)
関連タグ: 魔天使マテリアル ファンタジー 
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「え?もう気づいたの?はっやいな〜」

すごい軽い口調で、挑発しているようだ。

「その嫌なにおい…はやく消えろ」

しずくはなぜかものすごく怒っている。
いつもの落ち着いた口調ではない、いらついた口調。

「…波香はどこにいる?」

いつの間にか、しずくはその悪魔の目の前に立っていた。

「相変わらず鼻がいいのね〜。まあ、そんな怒らないの。わたしが波香チャンをさらったからってさぁ」

『えっ…?』

みんなに緊張が走る。
しずくの妹をさらった悪魔が、目の前にいるのだ。

「あなたが…波香ちゃんを…!」

紗綾の顔にも怒りが現れる。
しずくが怒るのも、無理はない。

「まあまあ、さ〜ここからが楽しいのよ」

悪魔がにこやかに笑う。
そして、それが合図になったかのように、不思議な映像が現れる。
映像とは言っても、立体的なものだ。

「う…そ…レイヤ…く…」

それは、とても残酷な映像で。
黎夜が、悪魔に連れ去られる前の…血を流して倒れている映像。

「ふふ…どう?あなたが傷つけたのよ?あなたのせいよ。全部、あなたのせい…!」

「う…ああぁっ」

紗綾は、急に倒れる。
顔が青ざめ、涙がぼろぼろと流れてくる。

「サーヤっ別に、サーヤのせいなんかじゃない!」
「そうです!紗綾さん、しっかりしてください…!」

そんなはげましの声も、紗綾には、信じられなくて…。

「う…あぁああ…いやっ…あぁ」

(このままじゃ、闇に転じる…)

しずくは、直感した。

「水よっ!」

しずくが力を放った先は…

「きゃあっ」

紗綾。紗綾は気絶してしまった。もちろん、みんなが驚く。

「サーヤになにをするんだ!」

「ふふっ仲間割れ?」

みんなにわあわあ言われるが、しずくは動じない。

「…悲しみは」

「は?」

「悲しみは、いずれ闇に変わるっ!それに、悲しみは、人の心をも食らうわ!黎夜は、紗綾が闇に転じてもいいのっ?」

「え…」

しずくが急に声を張り上げたので、みんなが目を丸くする。
そのしずくの瞳は、まっすぐで、どこも揺らいでいなかった。

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