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*38*
「紗綾、どうやっ…うゎ!?」
黎夜の集中が途切れた瞬間に攻撃が飛んでくる。
いきなりのことで、盾も出せない。
「―――っ」
目を閉じ、痛みを覚悟する。
―――しかし
「―――?」
その攻撃は、頬をかすめるように黎夜の顔のすぐ横を通り過ぎた。
―――確かに、ただ、攻撃が外れただけなのかもしれない。
しかし、今のしずくの姿は人魚。
いつもより攻撃力も高く、命中率も高くなっているはずだ。
なのに、攻撃が外れた。
―――ということは―――?
(黎夜、もしかして…)
(ああ、きっとそうだろう)
紗綾と黎夜は、どうやっているのか不思議だが、目と目で会話する。
(だったら…)
2人は、クスっと笑う。
口の端を上げ、嬉しそうに。
そう、しずくは、完全に闇に転じたわけではない。
まだ、自分の意志がある。
その自分の意志で、攻撃を「わざと」外したのだ。
―――つまり、しずくが光にもう一度転じる可能性が高いということで―――
((まだ、望みはある!!))
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