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*20*
しばらくすると、エルザとレビィがきた。
「お前達、大丈夫か?」
「ああ、エルザのほうが大丈夫かって話だが」
エルザの腹は、かろうじて止血している状態だ。
「ああ、…魔法書の技が役に立った」
「俺も、まさかの古龍だったとはなぁ…」
「天照って、東洋の神様ですよね」
まだ明るい会話をしていると、ナツが先に進む。
「おいっ、ナツ!先に行くんじゃ―」
「ここは、俺だけで行かせてくれ」
ナツとは思えないほど冷静な声。
それに反論できるものは、誰も居なかった。
(俺のせいで、ルーシィは連れ去られた―なら、落とし前をつけるのも俺だ!)
「レイガさん…」
何も音がしない。
レイガは幸せだったろうか。
大切な、親友を護れて。
ルーシィは、沈黙に浸る。
『…嬉しかっただってさ』
「…だ、れ」
見たことも無い少年が、そっぽを向いて言う。
『鬼灯の皆も、喜んでるよ』
少年はそう言うと、消えていった。
「ぐ!!」
「…ルーシィはあげない…!お友達は、あげない!」
「っくそ……」
さっきから茨姫を包んでいる蔦でできた鳥籠が、ナツの攻撃をはじいてしまう。
しかもその蔦は茨、太く強靭な針がナツの手に刺さってしまった。
それでも、ナツは諦めず鳥籠を握り締める。
血まみれになろうとも、何になろうとも。
「ルーシィ!!待ってろ、今行くからなぁああああ!!!」
「ナツー!」
ボロボロのナツが見えて、思わず叫ぶ。
だが、近くの鬼灯が揺れた。
『間に合わないよ、侵食されちゃうよ』
「…!!」
鬼灯からみえる皮膚は、腐っていた。
思わず吐き気がこみ上げる。
「ナツはっ、ナツはいつも助けてくれるの!!」
『今回は助けてくれるの?』
「それは――――!」
響く爆発音、ナツが鳥籠を壊そうと必死だ。
「…ルーシィ、いるんだろ!?開けてくれよ!」
「アタシがルーシィだよ」
「何言って―――」
茨姫が仮面を外す。
そこには――、 ルーシィがいた。