完結小説図書館
<< 小説一覧に戻る
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
>>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック
*21*
第九章「私は今、存在している」
「アタシが、ルーシィ」
「な――」
「ナツ、アタシだよ…思ったんだ。幸せになるには、ここしかないって…」
仮面を外した茨姫―いや、ルーシィ。
ナツはただ、唖然としていた。
「るー、しぃ」
「ナツ…こんなアタシを、許して。ナツも、おいでよ」
「ナツ!違うのっ、それは違うの!!」
『騙されてるね』
「違う!違う!ナツっ、気づいて!」
鳥籠が、壊れる。
ナツは笑顔で、ただ近づいていく。
(一種の、魅了!?)
「ナツ」
「ルーシィ…
ばぁか」
鳩尾に、火竜の鉄拳がはいる。
「ぐあ!」
「へへ…、騙されっかよ!」
最初から騙されたふりをして、相手が鳥籠を壊したら突撃。
以下にもナツらしい。
「あ、ぅ…!」
「ルーシィ、今だ!」
「ナツ…アタシどうやったらここから…、」
『壊すの、鬼灯を』
「…貴方達を?」
『私達は誰かの記憶から出来ている』
『全部を破壊すれば、貴方は出られるわ』
鬼灯が自ら砕け散っていく。
「!!なにやってるの!?」
『貴方は、皆に必要とされるから』
『僕達は、もう消えても何も苦じゃないよ』
「でもっ、貴方達だって生きているのに」
『存在できないから』
『貴方みたいに、存在できない』
最後の鬼灯が、ルーシィの近くにくる。
『…貴方は、誰からも愛されているから』
「…みんな…」
『元の場所に、お帰り』
最後の鬼灯が、砕ける。
PR