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*22*
「あ、アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」
いきなり茨姫が、絶叫しだす。
驚いたナツは、すぐに身を引いた。
「だめっ、いかないでえええええええ!!」
ルーシィのことだろうか、手で顔を覆っている。
指の間から見えた顔は、もうボロボロだった。
どんどん老いてゆく。
「ナツ!逃げろ!」
「グレイ」
グレイ達がこっちに来ているのが見えた。
「この建物、その人と生態リンクで繋がっています!」
「先に行ってろ!!」
「ナツ、お前はどうするのだ?」
「ルーシィを助けてから行く!」
エルザは沈黙のまま頷き、行くぞと皆を連れて行った。
茨姫が、何かを呟いている。
「いま、まで…る、し、をさがす、ためにいろ、いろなことをした」
「……」
「こりゅ、おこした、ちょう、ね、どくうた、おこした」
「!あの蔦全部お前の…」
あの事件、すべてグレイが絡んでいた。
だが、真の狙いは―――ルーシィ。
「な、のに……なん、で?」
「見てないから」
「え」
ナツは茨姫の手に触れ、涙を流す。
「お前は、前が見えて無かっただけなんだ」
「ま、え」
「誰も、お前をおいていってしまうから、前には誰もいなかっただけなんだ」
「…う、ん」
「その場を動かないから、皆が行っちまうんだ!!」
最後、ナツは声を荒げた。
必死に手を握り、涙を流す。
茨姫から、涙が落ちる。
「動かねぇやつが、誰かに遭えるわけがねぇんだああああああ!!」
茨姫は、涙を流してナツを見つめる。
「 」
小さく何かを呟いた。
ナツには、聞き取れないほどの。
外で、グレイ達は待機していた。
建物はもう全壊している。
「ナツさん…」
「無事なのか…」
「ルーちゃん…」
(……レイガ…)
「おーい!」
「みんなぁ…!」
「!」
「ナツ、ルーシィ!」
全員がナツ達に、抱きつく。
「ぎゃーーーーーー!」
いつものルーシィの叫び声、涙混じりだが。
「無事だったんだね、ルーちゃん!」
「レビィちゃん、くるじ…!」
「ナツ、良くやった!」
「かたーっ!」
わいわい騒ぐなか、ルーシィがグレイに近づく。
「レイガさん、最後助けてくれたんだね」
「…なんでしって、」
「茨姫の中に、レイガさんがいたの。グレイをすごく心配してたよ」
グレイが笑顔になる。
そして、勢いあまってルーシィに抱きついた。
「ええーーー!?ちょ、グレイー!?」
「ちょっと恋敵ー!」
「ええ!?ジュビア、なんでここにっ」
おくから、ギルドメンバーがわらわらと来ている。
「「「「「お帰りっルーシィ!!!」」」」」
「…ただいま」
ママ、ママなんだよね。
魔法書をおいておいてくれたの。
いつも、星空からアタシのこと見守ってくれてたんだね。
だって、全員の魔法書の筆跡。
ママの字にそっくりだったもの。
ママ、妖精の尻尾はいいところだよ。
パパもそっちにいるのかな。
…私は幸せです。
私は、今ここに存在しているんだね。
嬉しくて、泣いちゃったんだ。
ギルドに、待っててくれる人がいる。
前が眩んでも、引っ張ってくれる人が。
…私は、幸せです。
本当に、ありがとう。
パパ、ママ、
茨姫。
END