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暴走族な彼。 ≪完結≫
作者: みるく  (総ページ数: 39ページ)
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*32*

〜24〜タイマン

花「翔君っ...ウチの前から消えないで...」

翔「花ちゃん...」

ごめんね。翔君。

迷惑なのは分かってるの。

でもね...もし..翔君達が..怪我でもしたらって..。

翔君の服をぎゅっと握った。

すごく心配で翔君から離れたくないんだ。

翔「花ちゃん。」

いきなり翔君に肩を持たれて翔君に見つめられる形になった。

花「翔君....」

翔君の瞳を見つめると”どこか幼いけどどこか力強い目”だった。

この人だから暴走族のリーダー...頭をやっていけるんだって今頃になっても思う。

翔「花ちゃん。どうしても行かないといけないんじゃ。大事な人こんなに傷つけられたけぇ。黙っちゃおられんのじゃ」

ウチの目をみて離さない翔君。

やっぱり、行かないといけないのか。

分かっていたけどね......。

翔君の声が耳に残る。

でも、その前に大事な人ってっ..?

花「大事な人...?」

翔「花ちゃんはわしの大事な人じゃ」

翔君にそんな事言ってもらえるなんて思ってもみなかった。

”わしの大事な人じゃ”なんて/////

花「ありがとう、翔君。翔君、お願い絶対無理したらだめだよ」

一言付け加えた。

翔君はきっと、勝つと思う。ううん、絶対..。

ウチは信じることにしたよ。

翔君はウチの言葉を聞くと一瞬びっくりした顔になったけどにこっと笑ってくれた。

翔「数。」

数「おおう。行くんか、翔」

数さんの返事も聞かずにただ頷いていた。

翔さんと数さんは玄関の方を見てゆっくり歩き出した。

カ「数、翔さん、絶対勝つんよ。」

カオリさんは二人の大きな背中をじっと見つめていた。

ウチも声を出そうとするけど、喉になにかひっかかって声が出ない。

黙って翔君の背中を見ていた。

特攻服には大きく龍覇王と書かれていた。


翔君、お願い。絶対勝ってね。

数さん、頑張ってください。

心の中でそう願った。

そんなに願ったのは久々で..でもただひたすら願った。


とん...とん..。

静かに翔君と数さんの足音が聞こえる。


リビングからいなくなる二つの背中はどこかたくましく見えたような気がした。
                       つづく...

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