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作者: 水沢麻莉衣 (総ページ数: 9ページ)
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*7*
「・・・ルーフェス・・・」
窓から見る外は賑やかな町並みが見えた。
ああ・・・。
いつかわたしもあそこに・・・行ける日が・・・。
来るのよ・・・なんてーーー嘘だわ
わたしはこの屋敷から出ることは出来ない。
ただお兄様が幸せであれとーーー。
それだけを望むーー。
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ルーフェスside
「・・・クララにはいつ会いに行くつもりかしら?
ルーフェス?」
金髪の髪をハーフアップにするルーフェスより10違う歳上の女性ーーー。
シャーロット・ミリヤ・リティーシア
ボクの・・・お母さん的存在で、彼女にはとても助けられている。
「会う予定は・・・今のところなさそうね?」
「会う気はないよ。まだ。クララよりも大切な人ができたんだーーー」
そうだろう?
・・・君は美しい。
どんな誰よりも美しい。
この王国の王女よりも歌姫よりも。
そして次の歌姫である、君。
君の声をボクは聞きたくてーーー。
君は美しい。
ボクはみいってしまった。
彼女の君の美しさを見て。
ほんとうに美しい。
誰よりも美しい。
ボクの演奏で君を喜ばせたい。
喜んでくれるなら何でもする。
だから。
笑っていてくれ。
君には笑顔が、似合う。
ずっと、一緒だ。
君と愛を誓うだろう。
ボクは君に全てを捧げるだろう。
君もボクに全てを捧げるだろう。
そうだろう?
シーカリスーーーーー。
君は優しい声をボクにかけた。
『どちら様?』
一目見た時から思っていたんだ。
君の隣で。
演奏をーーーヴァイオリンを弾けたらとーーー。
どんなに嬉しいだろうと。
どんなに誇らしいことだろうと。
「貴方にしては随分とお熱だこと。
まさか貴方が、ここまで人を愛するなんて。
驚きに満ちているわ。
又まだ知らないこともあるんだわ。ふふ」
「からかわないでよ・・・ミリヤ・・・!」
ミリヤはボクにハーブティーをいれてくれた。
とてもいい香りがするハーブティーだ。
庭のハーブだろうか?
母さんが園芸が好きでいろいろ庭は綺麗にしてるからな。
その中でもミントとハーブはとてもいい香りをする。
ミリヤは恐らくそれを摘んできたのだろう。
「母さんには、内緒だよ?ミリヤ父さんにもね。
まだ内緒だ。彼女に想いを伝える。それからだ。
彼女にボクが入るすきがあるかもわからないんだ。
ボクは彼女が、とても美しくて、素敵だと、思ってるのに。」
「ほんと、お願いだことね、ルーフェス」
「はは。
恥ずかしいね。そう言われると。ははっ。
でもミリヤには内緒には、したくなかったんだ」
「それは嬉しいけどね。ふふふ。そうなのね。貴方も、そーゆーお年頃なのね。
私は嬉しいわ。貴方には縁が無いと思っていたから」
ミリヤは嬉しそうに微笑む。
それをみたボクまでもが微笑ましくなった。
窓ガラスを見れば3羽のカナリアが、さえずっていた。
美しい声で鳴いていた。