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しりとりシリーズ
作者: 彩都  (総ページ数: 51ページ)
関連タグ: しりとり 
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*38*

 『猶予』

 俺には時間が無い、それは何故か?それは俺にも分からない!ただ、とりあえず、俺は急いでいる事が分かる──少し欠伸をしながら、俺は空を見た……『あぁ、脱獄してぇ』と思った瞬間、空から少女──見た目幼女、年齢18歳の少女だった、ただ、胸が異様にでかかったのでロリ巨乳と勘違いしていたが、年齢を聞いて、成程、と理解する──少女の名前は『プリマヴェーラ』、俺達の国ではまず、使わない名前だったので、この国の人間では無いと知った、そして、彼女──プリマヴェーラは言う、『この箱庭から出ない?』と、俺は頷いた、周りの仲間も頷いて、俺達は外へ出ようとした。
 単純に書けば、俺達は監獄に居る囚人と見ても良い、服装も白黒の縞模様、本当に囚人かもしれない、俺達は元々は奴隷、悪名高い奴に買われて、此処に収監された、まぁ、何不自由なく暮らせたが、もっと自由になるなら、外に出た方が良いだろう──そう思って、俺は夜空が明るい時にプリマヴェーラから聞いた。
「単純に聞くけどさぁ──何でこんなちっこい監獄に来たんだ?」
「『大丈夫なセカイ』を作る為さ──監獄も、戦争も喧嘩も──何も無い、『ただ、平和なセカイ』を作る為さ、、まずは此処のボスを倒さないとね、君も協力してくれるかい?協力してくれたら、この体で何でも奉仕をしてあげよう」
 うぉっ!?それは本気かよ……?コイツは自分の体の事を良く分かっている……そう思いながら、俺は空を見た、プリマヴェーラも空を見る──こんな仮初めの夜空を綺麗と思ってしまうのは、俺ももう、終わりかもしれないな、そう思いながら、俺は就寝する事にした。

「……たく……何時だよ……?」
 ようやく俺は起きて、時間を確認した、時間は朝の八時──何時になったら作戦を決行するか?そう思いながら、俺は生温かい物を感じた、柔らかくて、安心する……ん?その温かい者は、プリマヴェーラのむ……ね……って何でだよ!?寝床はあったのに!そう思いながら、俺は自分の寝床の隣を見る、すると、プリマヴェーラの寝床だった、生憎この寝床は布団なので、寝相が悪いプリマヴェーラが俺の寝床に入ってきた──とかか?まぁ、それは分からないが、俺は、『プリマヴェーラちゃんのおっぱいを奪った』等と言われ、仲間からボコボコにされたのは言う迄もない……

「いないのか、ボスって?」
「ていうか、ボスはこんな所には来ないよ、来るのは、処刑の時だけだ」
 大丈夫かな、あの二人……ロリコンのシュガーとプリマヴェーラのコンビって……?そう思いながら、ボスの事を思い出す……俺の大事な、此処で出来た知り合い、リリックが殺された、それは数年前だった、普通に俺等が数人で遊んでいると、ボスが現れて、『リリックは居るか?ソイツはスパイだ』等と言ってリリックを捕まえて、俺等の目の前で殺した……俺は酷く悲しんだ、でも俺にはボスに抗う事なんて出来なかった──そう思い出していると、プリマヴェーラが現れた。
「大変難しそうな顔をしているが、大丈夫か?」
「……完全にそんな顔をしていたのか?」
 完全に気を張りめぐっていた……すると、厭な感じが俺の体に電流として流れてくる、何だ?誰か、新しい囚人でも来るのか?すると、その予感は的中した、ボスが可愛い女の子を首輪につけて現れたのだ……
「大丈夫、安心しな、今日は新入りだぁ、お前等男の欲望を晴らす女だ、おらよ」
 喜ぶ男なんて数人しかいないが、今は苛つきしか現れない……すると、プリマヴェーラが現れる。
「るんるんする女の子じゃない可愛いね、でも、私には、このボスを倒さなければならない……」
「いきなりなんだこの娘は?可愛いじゃないか?私の妻に成らないか?」
「完全に気持ち悪いんだよおっさん、私が愛しているのは、リマインただ一人だよ、浮気も乗り換えもするもんか」
「カッカッカ……調子に乗りやがって……私の魔法で屈服させてやる!」
「ルールに無いから、、無理だよおっさん、私を屈服させるのはリマインただ一人なんだよ!」
 ようやくプリマヴェーラが動き出す、だが、何故か焦っている、どうしてだ?
「だ……大丈夫かな、この戦い……武器を忘れてきた……何処に家があったっけ……?」
 け……結局助からないのか、俺達は!?
 ハハハ……と笑いながら、涙を流す……俺は……俺達は助からないのか……そう思った矢先だった、プリマヴェーラが言った。
「大変、忘れてなかった、胸の谷間に隠してあっただけだった、ゴメン……よしいくぞぉ〜!」
 おいおい!何で谷間に隠してんのこの子は!?完全に周りの皆がそう思った。
「大量の魔力を感知……このままでは負ける……私は逃げる!ワハハハハハ!私は負けない!だから一生その閉鎖空間で閉じ篭もっとれ!」
 劣等感を感じたかは知らないが、ボスは逃げて行った……俺は血は助かったのか……一人の少女を残して去っていった……そして少女は言った。
「た……助けてくれて有難う、私はブビュル、宜しくね」
 猫耳が生えた少女だった、フードを取ると猫耳だった……何の一族だよ?
「妖怪猫耳生えです、猫の幽霊が私の肉体に宿っているんですって」
「ていうか、ネコ耳ハァハァ……」
「あぁ……また、シュガーの性癖が明かされた……」
 単純に言える、シュガーは変態だと……そう思いながら、空を見上げた……今日の空は一段と明るかった……何れはプリマヴェーラとブビュルでこの監獄が抜け出せるのか、俺には時間が無い事を思い出す、早く抜けないとな……そう思いながら、俺は明日への一歩を踏み出した……

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