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episode2「パイラタウン」パート6
「よし、スナッチ完了だ」
ヤンヤンマの入ったスナッチボールを手に取った。
「やった。それにしても、今のポケモンは一体、何だったのかしら?」
メガヤンマに不意打ちされた時、自分達をその攻撃から守った不思議なポケモン。放った光はハイパー状態にされたヤンヤンマの負のエネルギーを瞬く間に浄化させてしまった。小さくあどけなさがありながらどこか神々しく神聖な趣があった。
「ヌーンさんは知ってるかな?」
「いや、あのポケモンは僕も初めて見るよ。でも、ヤンヤンマを浄化させたことからしてもただのポケモンではなさそうだね・・・」
「おお、あんた達!」
シャッターからギンザルと彼と交流のある子供達がやって来た。
「貴方は、ギンザルさん?」
「まさか、本当にダークポケモンを?」
「ああ、話してくれませんか?一体、この町で何があったのか?」
ギンザルはヌーンとムンをつぶさに見た。ムンと言う少女はいかにも純真で大らか。慈しみに満ちた優しい瞳をしている。一方のヌーンは鋭い眼光に不可思議なマシーンを腕に装着している。どこか不敵で油断ならないように見える。しかし、今は頼れる存在がいない。ダークポケモンを捕まえた二人に希望を託すしかないかもしれない。
「人質を、取られているのだ・・・?」
「人質?」
ムンが聞くとギンザルが事情を話した。
「この町にミラーボがやって来て、奴はコロシアムを裏で動かして優勝者にダークポケモンを渡して町の治安を乱しているのだ。私もどうにかしたいのだが、大切なポケモン、プラスルを人質にされてしまったのだ。少しでも余計な動きをすれば命はないと脅されて、動こうにも動けないのだ」
「そんな!人質を取るなんて卑怯すぎるわ。ヌーンさん、その子を早く助けてあげよう」
「ああ、このままにしておけばパイラタウンだけじゃなくて他の場所でも同じようなことが起こるかもしれない」
「じゃあ、決まりだね!」
「ありがとう、あんた達に頼るほかはないのだ。済まないが、プラスルを、どうか救ってくれ・・・」
ビルの最上階を目指して走っていく二人。そしてその屋上に到着した。ビルは岩場に接していて目の前に洞窟の入口があるのが解った。
「ヌーンさん、もしかしてあの中に・・・」
ムンが言うと、中から誰かの叫び声が聞こえて来た。
「ムン、行こう!」
「ええ!」
二人は急いで洞窟へと入った。
「ち、ちくしょう・・・」
ミラーボに立ち向かったシルバだったが、返り討ちにあってしまい、尻餅を付いていた。
「オーホッホッホッホ!雑魚の分際であたしに挑もうなんて、身の程知らずなおバカさん!貴方が余計なことをしてことでこの子の運命が決まったわよ」
チラリと向いてやると、その先に縄で吊るされたプラスルが映っていた。下ではプールが敷かれていて、中でキバニア達がキバをぎらつかせてプラスルを食べようとしていた。
「ちっぽけな正義感によってこのプラスルちゃんが死んでいくのを見ていなさい」
「た、頼む、俺はどうなってもいい。こいつだけは、プラスルだけは、助けてやってくれ!」
「ほほほ、ダーメよ、貴方達は約束を守らなかった。約束を破ればこの子がどうなるかは言っておいたはずよ。さあ、もういいでしょう。この子を餌にしちゃいなさい」
ミラーボのポケモンであるルンパッパが水のブーメランを飛ばして縄を切り裂いた。
「プラプーーーーーーーーっ!!!」
「やめろーーーーーーーーーっ!!!」
無情にも縄が切り落とされ、プラスルはキバニアが群がるプールに落とされる。その時、一筋の閃光が煌き、一直線に飛んで来てプラスルをキバニア達から放した。
「な、あれは・・・?!」
シルバが見たもの、それはプラスルを乗せて運ぶヤンヤンマだった。
「間に合ったか!」
プラスルを救ったヤンヤンマは声の主であるその人物と近くにいる少女の元へ戻って来た。そう、ヌーンとムンがやって来たのだ。
「ありがとう、ヤンヤンマ」
ヌーンがプラスルに付いている縄をほどいてやる。開放してムンがプラスルを抱えた。
「良かったわ、無事で。貴方の帰りを皆が待ってるわ。怖かったでしょう、もう大丈夫だからね」
優しく抱いてその小さな頭を撫でてあげる。
「あ、あんた達は?」
「安心して、あたし達は味方よ」
「ああ、ギンザルさんに頼まれてね」
「そうか、あのギンザルさんが・・・。ありがとう、本当にありがとう・・・!」
シルバが感激の涙を流した。
「あーらやだわ。まさかこんな所で貴方達と会っちゃうなんて」
「ミラーボ、あんたの思い通りにはさせないわよ!」
「コロシアムでダークポケモンを渡していたのはお前か?」
「ふふ、そうよ。この町の連中は戦いが好きな危ない匂いがプンプンしてる人達。そいつらにダークポケモンを渡して治安を乱していたの。そしてギンザル達が歯向かわないようプラスルを人質にしたのもあたしよ。けど、貴方達が来たお陰で計画が修正される必要になったわ。と、言う訳で・・・」
手を叩くと、フラッシュ音がして光が当てられている先に一際目立つステージがあった。
「ほほほほほ!そうそう、これよ!盛り上がって来たわ!」
ミラーボが好むようなポップな曲が流れてルンパッパ達が踊っていた。
「さあ、来なさい。このあたし、ミラーボがここを貴方達の処刑場にしてあ・げ・る・わ・よ。かかって来なさーい!」
ミラーボが構えると四匹のルンパッパが戦闘態勢に入った。
「ヌーンさん、頑張って、私もこの子も応援するから」
まだチアガールの姿をしていたムンがエネコとプラスルと一緒に応援した。ヌーンは静かに頷いてマクノシタとヤンヤンマを出してこれに挑んだ・・・。
続く・・・。