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ポケモンストーリー コロシアム編
作者: たくと七星  (総ページ数: 36ページ)
関連タグ: ポケモン ポケモンコロシアム バトル アクション 恋愛 
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finlepisode「ラルガタワー」パート2



「ヌーンさん・・・!ヌーンさん!!!」
 焼け焦げたタワーの中をムンが歩いていた。コロシアムは破壊されて、破片が飛び散っており土煙が飛び交っていた。廃墟と化して人影もないラルガタワーの中を彼女が歩いている。そして、
「ヌーンさん!」
 彼女が目にしたのは、血まみれで倒れた・・・。
「いやあああああああ!!!」
 悲鳴と共に目が覚めた。目覚めたムンは痙攣するように息を吐いて落ち着きがなかった。
「ムン?!」
 ヌーンが呼ぶと、ムンは目に涙を濡らして振り向いた。
「ヌーンさん、私、私・・・!」
 何かの救いを求めてムンはヌーンに抱きついた。明らかに怯えている彼女にヌーンは安心させるように優しく抱いてやる。
「何があったの?」
「私、夢を見たの・・・」
「夢?」
「コロシアムの中でヌーンさんが死んでいるのを、私・・・」
「僕が・・・」
「ヌーンさん!私、怖い!大好きなヌーンさんが死んじゃうかもしれないと思うと、私怖いよ!」
 ムンを見ると、大切な者をこれから失ってしまうと言う怖さに震える少女の姿があった。あの夢が現実に鳴ったら自分はどうなってしまうのか。その不安もあった。
「私、ヌーンさんを失いたくない!だって貴方は私の王子様だから・・・」
「ありがとう、ムン」
 ムンを優しく撫でてその瞳を見て言う。
「僕のことを思ってくれて。心配はいらない、君のためにも必ず明日の勝負に勝つ。君の見た夢も僕が変えてみせる。孤独だった僕に生きがいを与えてくれたのは君だった。君を絶対に一人にはしない。だから安心して」
「ヌーンさん、貴方は本当に強い人なんだね」
「君が僕を強くしてくれたんだ」
「そうなの?ヌーンさん、嬉しい・・・」
 不安だった気持ちが洗い流され、ムンの顔が笑顔になる。
「君にはその笑顔が一番似合う。僕の側でずっと笑ってほしい」
「ヌーンさん、私の王子様・・・」
 互いに口付けをかわして、抱き締めていく。口の中で舌を絡め、放した時につながれた糸を口に含んでいく。
「必ず勝つよ・・・」
 堅い約束をかわすヌーンに迷いは無かった。決戦の時は近い。


 オーレ地方の中央にあるラルガタワー。その目の前にヌーンとムンがいた。
「いよいよだね・・・」
「ああ・・・」
 タワーへと入り、エレベーターで頂上に到着すると、そこはバトルステージが置かれたコロシアムだった。大勢の観客が観戦を見守る中、一人の男がヌーンとムンの前に現れた。
「貴方は・・・!」
「ふっふっふ、私を覚えていたとはな・・・」
 男の姿を見てムンは震えた。その男、フェナスシティの市長の家の前に現れた逆立った髪に紫の衣装。瞳の無い赤い目をした禍々しさのある者。
「私はジャキラ。このシャドーの幹部を務める者だ。ヌーンよ」
「何だ?」
「一目見た時、貴様は只者ではないと思っていたがまさかここまで我々の邪魔をするとはな・・・。だが我々シャドーのオーレ地方制服の野望は誰にも止めさせん!ここで貴様を完膚なくまで叩きのめしてやる!」
 ジャキラがボールを手に取った。
「さあ、貴様も取れ。始めるぞ・・・!」
「僕がお前達を止める!」
 ボールを取ると、互いに投げてポケモンを出現させた。ジャキラはバシャーモとサーナイト、ヌーンはカポエラーとブラッキーを出した。
「ヌーンさん・・・」
 エネコとプラスルを抱きかかえていたムンが静かにヌーンを応援する。
「行け!」 
 ジャキラが指示を出すとバシャーモとサーナイトが前進した。
「行くぞ!」
 カポエラーとブラッキーも走り出す。バシャーモがとびひざげりに出ると、カポエラーはバック転してかわし、グロウパンチに出たが、バシャーモは素早く動いてかわし、カポエラーをはがいじめにすると、サーナイトがムーンフォースを飛ばして来た。
「ブラッキー、みがわりだ!」
 ブラッキーが前に出てみがわりを出して、ムーンフォースからカポエラーを守った。それに気付いたカポエラーがバシャーモを持ち上げて投げ飛ばす。
「バシャーモ!」
 吹っ飛ばされたバシャーモだが体勢を整えて、体を十字にして炎の衝撃波を飛ばして来た。サーナイトがねんりきでそれを二つに生み出してカポエラーとブラッキーに同時に攻撃させようとした。
「カポエラー、ブラッキー!」
「カポ!」
「ブラ!」 
 二匹は頷くとカポエラーは体を回転させて竜巻を飛ばし、ブラッキーは口から黒雲を吐いて竜巻に向けて飛ばした。黒い竜巻は二つの衝撃波を飲み込んで消滅させて、バシャーモとサーナイトに向けて飛ばした。
「サーナイト!」
「サーナイト・・・」
 サーナイトが前に出てマジカルシャインを飛ばして竜巻を消してしまった。
「ブラッキー!」
 ヌーンの指示でブラッキーは黒雲を吐いてサーナイトを攻撃に出た。しかしサーナイトは華麗に回ってこれを消してしまい、マジカルリーフを放った。バシャーモもかえんほうしゃを吐いてマジカルリーフに火を付けた。サーナイトがねんりきを使うと、炎のマジカルリーフは高速で動いてブラッキーとカポエラーを攻撃した。
「どうした?手も足も出ないか?さて、そろそろ本気を出すぞ!」
 ジャキラが腕に付いている謎のリングを起動させた。すると、バシャーモとサーナイトが強烈な光に包まれてその姿を変貌させた・・・。


続く・・・。

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