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*44*
一番前にいる人……あれは、坂本の坊ちゃんか。またまた、高級なスーツだなぁ。羨ましい。
「今日は、退院だそうですね」
どこか親し気に彼は俺に話しかけた。
「ええ、そうなんですよ。また、芸能界復帰ですよ」
ニコッと笑ってみせる。勿論、愛想笑いだ。あの日から、俺に笑顔なんてない。あるのは、愛想笑いだけだ。……多分。
「で、この前のお礼に、これを」
彼、ーーーー光は俺に花束を差し出した。
青い薔薇の花束だった。綺麗な、青。
「ありがとうございます」
俺は受け取ったが……これをどうしろと言うのだろう。正直いって、要らない。花束なんて、いらない。ま、俺が受け取らない訳ないが。
「では、後に会いましょうね」
光御一家は、俺の病室から出て行った。
後とは……あのパーティーのことか?
あれは、もう絶対行かなければならない。
行かなければ、バレる。ま、生きているのだから別に大丈夫なのだが、「葵」のことも気になる。
だから、いってやることにした。
この「墨塗りさん」は誰だろう?俺が殺った時にいた人物は、清水か、スタッフだ。だが、清水はどっかいったし、スタッフは食堂だ。見てたはずはない。なら、俺が知らない誰かか?そいつが、霞と葵を知っているのか?
まぁ、退院後も暫くは仕事もないしな。いっても大丈夫だ。
俺は、パーティー会場へ向かうことにした。
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