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*14*
何度かサイキックの練習をしているうち、物体を触れずに動かしたり、力を加えたりすることが少しずつできるようになった。
南師はベンチの上で転がり、相変わらず寝ている。南師の使うサイキックは強いが、其の分使ったあとの疲労も大きいらしい。
彼が寝返りを打ったとき、ふと彼の手の平がこちらを向いた。そこには、あるべきものがなかった。
「タイマーが……」
私の左手にある、ミッションの制限時間、タイマーが南師には無い。なぜだ? 参加者は全員ついているはずだ。それによく考えれば、今日のミッション通達メールがきたとき、こいつは手を痛がるそぶりを見せなかった。まさか、こいつ。
「あれマ、不良クンはおねむですカ」
突然、いつぞやの金髪のチャラチャラした眼鏡男が、前と同じように棒付きの飴をくわえながらあらわれて言った。
「お前は、死神……!」
「そう構えなさんナ。お前さんにとっていい情報を持ってきてやったんダ」
「俺に……とって……?」
「ソ。お前さんのパートナー、死んでないゼ」
死んで……ない? なにを言っているんだこの死神は。このゲームは、死者が生き返るために参加するものだ。生きているものが参加する意味も、訳もないだろう。
「でたらめ言って、俺を混乱させる気か」
「違うヨ。むしろいい話だ。死神は直接手出しできないのは、お前さんも知ってるカ? ノイズじゃおそらくこの男を倒せなイ。そこで、お前さんに、あいつを殺してほしいんだ」
「残念だったな。あいにく、俺は知ってるぞ。パートナーが消えたら、俺も消える……そうやってハメようとしているんだろ」
「話は最後まで聞けヨ。もしお前さんがやつを今、ここで殺したら、死神の仕事を手伝ったってことで特別に生き返らせてやル」
「本当か!?」
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