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すばらしきこのせかい アナザーエピソード 完結
作者: しろお  (総ページ数: 29ページ)
関連タグ: 南師 イナズマイレブン 
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10~ 20~

*17*




THE 3rd day








 ここは……どこ? 
 電車の音がする。また、ガード下にいるようだ。
 南師の姿はない。だって、そうだよね、私が、あいつを……








「や、やめろ……」
 南師から私は目をそむける。ごめんなさい、ごめんなさい。と何度も謝る。
 苦しみ、もがき、あえぐ南師。ごめんなさい……! これで生き返れるの! どうか、
 


 どうか恨まないで







「おい」
 低い、男の声がした。気づくと腕を掴まれている。男の歳は、おっさん、と呼ぶほうがふさわしいそれだ。私を抑えるのは手ではなく、目。サングラスごしに彼は不思議な雰囲気を放つ。ただのおっさんではない、イカしたおっさんだ。雰囲気に呑まれたわたしはいつのまにかサイキックをといていた。
 イカしたおっさんは、ぎろりと飴死神をにらんだ。
「おいおイ、いいところだったのに、邪魔しちゃ困るんだけどナー。どこの誰だか知らないけど、お前も参加者じゃないな? ルール違反は……」
「俺はゲームを監視するのが仕事の死神だ。『パートナー消滅』のミッションを出すのは禁止されてるうえに、一日一回、ゲームマスターしかだせないはずだ。お前も立派なルール違反だと思うがな」
「ちっ。詳しいナ……だが非正規参加者には何らかの措置をとってもいいはずだ、そうだロ? ちゃんとした参加者じゃない奴には、ルールなんて通用しない」
「措置をするかどうかはお前の決めることじゃない。ゲームマスターが決めることだ。これ以上俺に逆らえば……」
「へいへいわかったよ、さっさと帰ればいいんデショ」
 死神は背中から翼を出現させ、空を飛んで行った。
 あまりに訳のわからないできごとの連続で、いつのまにかタイマーが消えていたことなど気づくはずもなかった。
 ショウが立ち上がる。私は、謝ることもできず、ただどうなるか、黙って見るしかできない。私はたったさっきまで、ショウを殺そうとしていたのだ。パートナー失格だ。殴られてもしょうがない。
 ショウは私を一瞥し、イかしたおっさんに向けて「お前はなにもんだ」と訪ねた。
「……俺は羽狛っつーもんだ。カフェを営んでる。……カフェ営業って、なんかかっこいいだろ?」
 私たちは反応できる余裕がない。
「まじめな話をするとだな、俺はゲームの監視者だ。とにかくルールを破ろうとするやつを止めるのが仕事だ。今みたいにな。だから、もう破ったお前には、俺からの措置はなにもできない。むしろ、死神なのにこうして助けちまったってわけだ。がっはっは!」
「そうか……」
「あの死神、ファッションこそ現代風だが、ベテランでな。お前みたいな例外にたいしても平気で消しにかかってくる。気をつけろよ」
 私、騙されてたんだ。あの死神に。私の弱さにつけこまれた。でも、私も悪い。
「お前らいつまで仲違いしてる気なんだよ。さ、少年、さっさと謝れ。そしたら、黒帽子、ちゃんと許してやれよ」
「黒帽子じゃねえ……南師ショウだ」
「そうかそうか。ほれ、さっさと黒帽子に謝れよ」
 黒帽子のままなのか。でも、羽狛さんの言うとおり、まずは謝らないと。
「ごめん、ショウ……私が、私が馬鹿だから……」
「気にすんな。こういうアクシデントも計算内だ。それに、何も言わなかった俺も悪い」
「はい、仲直り成立! いいかお前ら、この渋谷で生き残るすべはただひとつ! 『パートナーを信頼しろ』。簡単だろ?」

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