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*8*
「なんでそうなる!? ミッションクリアしなきゃ消えるんだよ、わかってるだろ!?」
「ゼタるせえ! 他のやつがクリアすりゃ問題ねえんだよラジアンが」
「だからって、みんながみんな他のやつに任せたまんまじゃ、みんな消えるんだぞ!?」
「フン……」
「あっ、おい!」
南師は勝手にガード下を出ようとする。しかし、壁のようなものにぶち当たったようで、すぐに動きをとめた。赤いパーカーの男が通路の端で、南師をじっと見ている。
私は説明会を思い出す。たしか死神には二種類あって、どこかのエリアに壁を設置して参加者を足止めする仕事の壁死神と、参加者をノイズで消すのが仕事の戦闘死神があるんだっけ。壁死神の出題する壁解除条件をこなせば、壁は通れるようになる。
おそらく南師は知らないだろう。と思ったが、ずんずんと赤いパーカーの男に近寄って行く。
そして思い切りパーカー男の腹を殴った。男は吹き飛び、フェンスにめり込んだ。
「おいぃぃぃ! 何してんだ!」
「あん? でもこいつ、鍵落としたぞ」
南師の手には鍵のマークがついたキーバッジがあった。これを使えば壁は通れるんだろうけど、まったく正攻法とは違う。
「ほんとうはそういうやりかたじゃだめなんだよ! 正攻法があって、ちゃんと解除条件を……」
「ゼタおせえ! それに、正攻法なんざゴミだ! クラッシュ! 俺がまとめてゴミ箱に捨ててやる!」
私は大きなため息を吐く。こんなことを続けていたら、死神たちに目をつけられるに決まっている。もうつけられてるだろうけど。
とにかく壁は解除できたので、ガード下は抜けることにした。
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