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素直になれなくて
作者: 冠座士  (総ページ数: 15ページ)
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10~

*14*



「どうして、そんなに怒ってるの?」

リクは、ヒカルの言葉を待った。
何秒かの沈黙のあとヒカルが口を開き、リクの問いに答え始めた。

「リクが、俺の名前を言わなかったから」

「それは、シュンとヒロシがいたから…。だから」

「それでも、俺は嫉妬する」

ヒカルが嫉妬している。
それを知った瞬間、リクの目から涙が零れ落ちていた。

「リク、何で泣いてるの?」

「…えっ?」

ヒカルに言われて
自分が泣いていることにリクはやっと気づいた。
そんなリクを、ヒカルは優しく包み込んだ。

「ごめん、リク。だから、許して」

リクが泣いた理由がわからないヒカルは
自分の行動で泣いたのだと勘違いをして
ヒカルには珍しい弱弱しい声で謝った。

「最初から許してるよ、ヒカル」

リクは、自分を優しく包み込んでくれているヒカルの背中に手をまわし
自分からも優しくヒカルを包み込んだ。

「泣いたのは、嬉しかったからだよ」

「嬉しかった?」

「うん。ヒカルが嫉妬してくれたから」

「するに決まってるだろ。俺はリクが好きなんだから」

耳元でヒカルは力強く囁いた。

「本当に嫌われたと思ったから、すごい嬉しくて。
 そう思ったら、涙がでてた」

リクの言葉を聞いたヒカルは抱擁をほどいて
リクの顔がしっかりと見えるように立ちなおした。

「リクの好きな人は、誰?」

「そんなの、ヒカルしかいない」

言っている途中で恥ずかしくなったのか
リクの顔が徐々に赤くなっていった。

「ちゃんと、言って」

「…恥ずかしい」

「ダメ。言って、リク」

いくら目で訴えようと、ヒカルは許してくれない。それに、
リクの腕を掴んでいるヒカルの力は強く逃げれるはずもない。

「・・・俺の好きな人は…」

「誰?」

「・・・・・ヒカル」

小さな声でリクはつぶやいた。
そんなリクの顔は真っ赤に染まっている。

「俺も、リクが好きです。

         愛してるよ、リク」

ヒカルは満足したのか、リクを力強く抱きしめ
今までで、一番優しいキスをくれた。

「俺も、ヒカルが好き」

「…うん。知ってる」

2人の会話はそこで途切れ
甘い沈黙があたりを包みだしていた。




    【 完結 】

        ありがとうございました。

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