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素直になれなくて
作者: 冠座士  (総ページ数: 15ページ)
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10~

*2*



つれて来られたのは、図書室だった。

「何で、図書室?」

「俺、今日当番だから」

「そっか…。それで何?」

「あぁ。ここだとあれだからこっち来て」

ヒカルについて行くと
2階の一番奥、学校の歴史のコーナーだった。
この場所は、人がめったに来ない場所で
ろくに掃除もされていない。
ヒカルは、近くの窓を開けて空気を入れ替えた。

何の話だろう?俺、何かしたかな?!

「リク。お前さぁ」

ヒカルは顔を近づけてきた。

「俺の教科書、返してくんない」

「…えっ?……あぁ。教科書ね…」

バッグの中からヒカルの教科書を見つけて渡した。

「そんなことなら、わざわざここで言うことなくない?」

「あぁ〜。告白されると思ったんだ」

ヒカルは顔に笑みをうかべている。
反対に、リクは顔を赤くしていた。

「可愛い反応。でもさ、俺ら男同士って知ってた?」

「…っ。し、知ってる…けど……」

「勘違いしちゃったんだ」

「……そうだよ。俺、ヒカルのこと…」

「俺のこと?」

「……。……き…だから」

「何?聞こえない」

「……き、だから」

「もう一回」

「す、好きだよ!」

やけくそになって、大声で言ってしまった。
視線をそらして、下を向く。

「そっか…。それじゃ、何かしないとな」

ヒカルの手があごに触れて、視線が重なり
気がつくと、唇と唇がくっついていた。

「俺も大好き」

言葉だけを残して、ヒカルは仕事に戻っていった。

リクは、その場に座りこみ
顔を赤くして、固まっていた。


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