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*4*
今日は、春の遠足。私は、ふさ子さんと一緒に山に登ることになった。
「あー。カワイイ!」
他の一年生たちが目をキラキラさせながら見つめているのは捨て犬だった。
「ふさ子さん、ほら犬だよ。カワイイね。」
すると、ふさ子さんは犬の頭を撫でながら言った。
「可哀想に。お前はこうやって、決して拾わない人々に憐みの目を向けられて一生過ごすんだね。よしよし。」
その言葉を聞いた他の一年生たちは一瞬固まって泣き始めた。ふさ子さんは一年生が泣いていても。ずっとぶつぶつと独り言を言いながら犬の頭を撫でていた。
その時、春の遠足の思い出は、一年生の犬への憐みの言葉と他の一年生の泣き声に決定した。
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