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*6*
ある日、先生に呼び出された。それも、なぜか一年生の先生。
「あの、なんでしょうか。」
「それがね、竹永さんがね。最近、どうもおかしいのよ。」
「というのは?」
「昨日、国語の時間に物語を読んだんだけど、お花の話だったの。で、一人の子が『このお花、戦争へ行くお父さんにあげたんだったらこの主人公は優しい子だね。』って言ったのよ。そしたら、竹永さんがね『いえ、違うと思います。たぶん、戦争でお父さんが死んだときに直接お花を渡すことが出来ないからだと思います。』って言ったの。」
ああ、想像が安易にできるわ。
「私、絶句しちゃって。」
「そうなんですか。でも、もともとふさ子さんはそういう子じゃないですか。」
「それは、分かっているけどもっとなんていうかパワーアップしたというか・・・。」
「そうですか。」
「だから、あなたにその理由を聞いてほしいの。」
「分かりました。聞いてみます。」
こうして、私にとって初めて先生に頼まれたことがふさ子さんのパワーアップの理由になった。
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