完結小説図書館
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*11*
煙の無いところに、火はたたないという言葉がある。
それはそうだ。火種の無いところに火は生まれないし、逆に火の無いところには煙は立たない。なんたって、現象には必ず理由があるのだから。
ならば、これを虐めにたとえてみるのはどうだろうか?
いじめられる側にまったく非がなければ、いじめも起きない、ということになるだろう。
ではこれを踏まえた上で、虐めの原因というのは一体なんであるのだろうか。
簡単に言ってしまえば、餓鬼たちの正義感、思いやり、家庭内教育の欠如である。虐めている加害者は、環境によって劣等感や孤独感を感じ、それの解消法、満足感を得るだけに、ただ何か一つの失敗をした者を標的、ターゲットにし、自分の下に人を作るのだ。どこかの1万円とはえらい違いなコトに。
これ以外に他にあげるとするならば、それはなんというか場の雰囲気のようなものといえるだろう。
前者で述べたオピニオンは、早々覆せない。これは長年の積み重ねというべきか、悪しき結果に出た賜物だからである。これはどう虐められてる本人ががんばったって崩すことの出来ない理由である。
では、後者はどうだろうか。
場の雰囲気というのは、いわば“ノリ”的なやつである。これは加害者と被害者のどちらかが粉々にぶち壊してしまえば、この場の雰囲気というのはスッとなくなる。悪い結果にでれば虐めからシェイプチェンジした無視という結果になるかもしれないが、うまい具合にぶち壊してしまえば被害者に対するいじめというものは、刹那にして。
加害者と傍観者に対する、鋭利な刃となる。
「でさー、駐輪所んとこなんかびしょびしょだったし、まじやだったわぁ。なんなのあれ?.....えーっ、なにそれぇ、やばっキっタねぇー・・・・・・・・・・」
中では、早めに来たのだろうか、何人かの女子がくっちゃべっている。
「・・・・前は俺も。この中に入るのに、度胸が要ったのにな」
昔のことを思い出しながら、俺は自分のクラスのドアに手を掛ける。
そのドアはいつもより毒々しい音を立てながらガラッと開き、俺の目の前に以前の光景を呼び起こさせた。
もう後戻りはならないと、重々しい幕が開く。