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*3*
それ以降、クラスに蔓延する無限に続く虐めという連鎖は断ち切られることなく、一人の少年は、あの黒板事件から5ヶ月もの月日が経ち、少年の安らぎの時間であった夏休みが終わった9月のとある日にようやく。
その果てしない連鎖を、いとも簡単に断ち切ったのであった。
「おーい!石川!今日カラオケ行って帰ろうぜ!どうせ暇だろ?」
「あぁ、悪い。今日俺、部活仲間とファミレス行く予定があるんだ。また、明日あたりでどうだい?その日は空いてるし、な?」
「なんだよー。つれねぇなぁ。ンじゃ、俺帰るわ。じゃあな、石川」
「あぁ、悪い。今度行くときは一緒に。そうだな、ボカロかなんかを歌おうぜ」
「おまえ。それ俺のカラオケのレパートリー知ってて言ってんのか?」
「当たり前だろ。SM○Pばっかり歌ってると、女子に『うわっ。カッコつけとかマジないんですけどぉ』とかなんとか言われるぞ」
「ボカロは『マジキモイ』って言われんじゃないか?」
「いや、女子は若干ボカロ推奨側に位置する生き物だからね。それに『青いイナズマ』を躍起になって熱唱してる北村には到底敵わないさ」
「フン、ほっとけ。今度こそ、じゃあな石川。部活頑張れよ」
「おうともさ」
教室の出口付近でそんな他愛も無い雑談のような会話を交わした後、石川 隆二は学校内の一階に存在する男子更衣室へ他の部員に声を掛けるために向かい、対して特にやるべきこともない北村 幸助は内心残念な思いを抱きつつ今彼がいる三階のフロアに同じく存在する図書室へと足を運んだ。
現在時刻は午後3時44分。
何を読もうか。まだ彼の中ではしっかりとした目的がまだ建てられることないままに、彼は行動を優先した。
西日というには若干高い位置にある太陽を眺めながら、彼の足は少しずつ図書館のある場所へと近づいていく。
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