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*6*
第四話!残りは、六話!
憂鬱になる。それがこの本の存在価値なのだろうか?だとしたらこれは相当の直打ち物だろうなと彼は思う。
小説の四分の一をやっとのことで読み終えた彼はそこで魂尽き果てて、図書室の席の背もたれに寄りかかり大きく背伸びをする。
内容的には申し分ない出来だった。イジメを受ける生徒の葛藤及び群青劇と言えば聞こえは良いが、そんな甘ったるい菓子パンみたいな物語では決してな無く、言うなればドロドロの友情劇という風な感じだった。そこに仲睦まじい友達関係などある余地もなかった。
「心が萎えちまった、帰るか」
彼は自身にそう言い聞かせる様にして、席を立ち、本を元の位置に仕舞って、図書室のスライド式のドアノブ似た窪みに手を掛ける。
そこから彼が、その物語と同等の現実を目撃するまで、さほど時間はかからなかった。
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