完結小説図書館
作者: 鳩麦白夜 (総ページ数: 101ページ)
関連タグ:
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~
*11*
「いや〜。今年の一年生人数少なくて参ってたんだよねー!」
「え?そうなの?」
「…お前どこまで寝てたんだ。今年は1年20人だとよ」
「ええ!?」
そのころ、3人は美術室につながる廊下を歩いていた。
クリスの部活さがしということで、博に案内してもらっていた。
「あはは!クリスちゃん美少女だけど抜けてるね〜」
博はあっけらかんとした笑みを浮かべて肩に置いてある看板を担ぎなおした。
「そ、そんなび、美少女とかそんなんじゃないよ…」
かあああ、と顔を赤くするクリスの頬を面白いといわんばかりに博は彼女をつついた。
「そうっすよ。こいつ変に根暗かとおもえばポジティブだったり…。お、あの子可愛いな」
「……あの子河童だよ?」
「な!バババ馬鹿野郎!あのかわいい子がそんなわけ…」
「お!クリスちゃん正解!あの子の正体は河童だよ!」
通りすがりの少女に鬼柳が魅入っているところをクリスはしまった、と言わんばかりに口を閉じたがすでに遅し。
しかも、博の回答に彼は真っ白になっていた。
「あ、あ、あの……。ご、ごめんなさい!私…変なこと…!」
「へえー!海馬君以外にも人の正体見抜ける人いたんだね〜」
「え…?」
博の言葉に鬼柳とクリスは目を見開いた。
「海馬って…式辞してた生徒会長のことッスか…?」
「うん。そだよー。海馬君も幽霊とか、見えないもの見えるし、私たち生徒の正体わかるし」
「そういえば…!」
クリスはキョロキョロと辺りを見渡した。鳳凰学園に足を踏み入れてから、クリスは“人間”を見ていなかった。すべて、人外が人間に模したものだったから。
「じゃ、問題!私の正体は何でしょう!」
「バク!」
クリスは笑顔で即答で答えた。
そのことが予想外だったのか、博は頭を垂れた。
「そ、即答なんて…。でも、正解!私の正体は人の夢を食べるバクです!ま、ほとんど悪夢とか食べてるけどね!…鬼柳君とクリスちゃんは?」
「あ、俺は鬼ッスよ〜」
「うっわ!つよそー!」
なんだか話を盛り上げる2人にクリスはおいて行かれた。
なぜなら、クリスは人間だから。
「クリスちゃんは?」
クルリと博は振り向く。
「あ、博先輩。クリスは……」
「に、人間……だよ?」
「へー。人間なんだー…。へー……。って、えええええええええええええええええ!!!」
思わず博は大声を上げた。
そして、もう美術室についていた。
「ににに人間なの!?」
「う、うん……」
がくがくと博はクリスの肩を揺らす。
「おかしいな〜!この学園は人間は入れないんだよ!?」
「ええええええええええええ!?」
博の言葉にクリスは混乱するしかなかった。