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鳳凰学園協奏曲-カルテット-【完結!】
作者: 鳩麦白夜  (総ページ数: 101ページ)
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*70*

「……海馬君、お疲れ様」
「花か。同情しに来たのか?」
「まさか!だったら私もクリスちゃんにまけちゃったし」


 ここは、体育館の通路。
 会場を後にした海馬の後ろを花が爛漫に駆け寄った。


「強かったでしょ?クリスちゃん」
「……少しぐらいは認めてやってもいい」
「もうっ!素直じゃないんだからッ!」


 ツカツカと歩き出す海馬の後ろを花が追いかける。海馬はどこか微笑んでいたが、それを知る者は彼しか知らない。







+++
「やったなクリス!」
「すごかったよ〜!あの炎!!」
「そしてぜひ被写体に!!」
「博。やめるんだ。彼女が困っているだろう?」


 興奮する鬼柳と安蘭。だが、もっとすごかったのが博だ。そんな彼女を呆れたように氷栗無は抑える。


「ま、お前にしてはやったほうじゃねーのか?ってこれはあくまでお世辞だからな!勘違いすんなよ!!」
「憲章君。それはマドモアゼルに失礼じゃないかな?…こういう風にやさしくしないと…ね?」
「!!!!」


 流れるような動作で茨はクリスの手の甲に唇を落とした。そんな彼にクリスは顔を真っ赤にして気絶した。


「あっちゃー。クリスが気絶したー」
「クリスちゃん、純粋そうだもんねー!」


 けらけらと鬼柳と博は冗談まじりに笑った。


「マドモアゼルには刺激が強かったかな?」
「おめーが変なことするからだろーが!バカ!!」


 なぜか憲章まで顔を真っ赤にして茨に指差す。


「みんなでクリスを運ぼう!」
「そうだね。それが一番賢明だ」


 安蘭と氷栗無はクリスを担架に乗せ始める。


「……お疲れさん」


 眠っているクリスの顔を見て鬼柳がそう言ったのは誰も知らない。














***
「……千年ペンダント。ずっと持っててくれたんだね……」


 ギャラリーの最上階で薄い金髪に褐色の肌の美青年が担架に乗せられたクリスを見つめていた。
 そんな彼の右手には金色の杖が握ってあった。


「9年ぶりだね…。迎えに来たよ」


 そう言うと美青年はその場を後にするようにその場から消えた。

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