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作者: 鳩麦白夜 (総ページ数: 101ページ)
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*69*
「クリス・・・!?それに、生徒会長も様子が変よ…!?」
まどかを筆頭に生徒たちは動きをロボットのように止めた2人を不審な目で見つめていた。
「!!」
ハッと我を取り戻したかのようにクリスと海馬は目を見開く。
(……今のは…!?それに、海馬も私と同じのを見てた…!?)
「………!」
海馬もしばらく呆然としていたが、素早く体制を持ち直し、クリスに襲い掛かる。
「来たッ!…ってえええええええええええ!?」
「貴様…!正体を出せるようになったのか…!?」
ドゴオン!と、海馬はクリスを殴ろうとしたが、空振りし地面に大穴を開けた。
クリスは自分に驚いていた。
なぜなら、自分の頭には立派な角が、腕は鎧のようなものがついた赤い腕に、そして赤い龍らしき尾がついていたからだ。
「なにこれえええええええええええええ!?」
「……三神龍の一角、天空龍-オアシス-か…ッ!ここからは本気で行かせてもらう!」
先程の余裕に満ち溢れた顔が嘘のように、海馬は馬鹿でかい津波を引き起こす。
「こんなの無理いいいいいいいいいい!!ひゃああああああああああああああああああ!!」
「……なんだと!?」
クリスの拒絶するようにかざした手から、ボッと蒸気のようなものが発生し、海馬の津波を蒸発させてしまった。
「…あれ…?私の思ったことが現実に…?」
「……とはいっても力の扱いまではまだわからんようだな…」
次の瞬間、海馬の目が鋭く、冷たい目となった。
「・・・・これで最後だ。この攻撃をよけきれたやつはいない」
「……私だって!負けない!!」
海馬は巨大で一目見ただけで分かる貫通力のすごそうな水の槍を。
クリスは巨大な炎をまとった剣を。
そして、お互い見据えると、すさまじいスピードで前に出た。
「はあああああああああああああああああああッ!!!」
「絶対に負けないッ!!!」
お互いの矛が触れ合った瞬間、今までの戦いとは尋常にならないぐらいの爆発音が体育館中をこだました。
「どっちが勝ったのかなー?」
速く状況を理解した菜々緒はあたりをきょろきょろと見渡した。
「……見ればわかるのじゃ」
諭すように元徳は体育館中央を指差した。
「……か…った……!!」
そこにはぼろぼろのクリスが何とか立っていた。
その前にはピクリとも動かない海馬の姿が。
「や…った…!やったあああああああああああああッ!!!」
「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
クリスの声とともにギャラリーの声はますます大きくなった。
そして、みんなはクリスのところへ走り出す。
「優勝は神宮クリス!!」
審判が声高らかに、そう叫んだ。
その頃クリスはみんなにもみくちゃにされていた。