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作者: 鳩麦白夜 (総ページ数: 101ページ)
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*68*
「負けんなよ!クリス!」
「頑張って!応援してるからね!」
「勝ったら祝勝パーティーだよ!!」
「……ありがとう、鬼柳、博、安蘭、みんな!!」
ザッとクリスは海馬の前に立ちはだかった。
迷いなど、捨てたように。
そんな彼女に海馬は不敵な笑みを浮かべていた。
「いい度胸だ。だが、貴様の正体はあてにはならないだろう」
(確かに海馬の言うとおり…。だけど、まだ私だって師匠に教えてもらったことを出し切っていないんだから!!)
じりっとクリスは木刀を構えた。
「いいぞクリス!本当の力を見せるんだ!」
観客席で空悟は満足そうに笑った。
「これは見ものだね」
「……頑張れよな」
あっけらかんと言う氷栗無とぼそぼそと恥ずかしそうに話す憲章。
「来い。先行は貴様からさせてやる」
「だったらお言葉通りにッ!」
次の瞬間、ぎゅんっとクリスは海馬の懐に入り込み一太刀を浴びせる。
「ほお…。常人にしてはなかなかだな…だが」
「うッ!」
いつの間にか正体をあらわにした海馬の青い腕がクリスを薙ぎ払う。
そして、壁に吹き飛ばされてしまった。
「まだ…まだッ!」
「フン・・・・・・」
ガガガっとえぐるようなクリスの木刀の太刀筋を数発受けながらも海馬はまだ微笑していた。
「貴様は正体を出し切れない時点で負けはもう決まっている。……いくら三神龍でもな」
「そんなの最後までやんないとわかんないよッ!……うっ!」
ふらつきながらも立ち上がろうとしたクリスだったが、吐血してしまっていた。
「オルティスはあらゆるものを破壊する力!貴様なような女などすぐに粉砕するわ!」
「………ッ!」
クリスは苦しそうに海馬を見上げた。
もはや、木刀を握っているのがやっとだった。
「クリス―ーーーーーーッ!しっかりするのだッ!」
「………パン・・・にゃ……?」
大きな声を上げるパンにゃのほうをクリスは見た。
ステージには必死で体中をじたばたさせるパンにゃがいた。
「負けちゃいやなのだ!!でも、怪我しちゃダメなのだ!!」
「無茶苦茶だよ…パンにゃ……」
「フン・・・。あの猫もどき。元に戻ったのか。だが、貴様はこれで最後だ!」
ぎゅん!と、鋭い水の槍がクリスに襲い掛かる。
「………ッ!」
その瞬間、カッとクリスの胸元にあるピラミッドの首飾りが輝いた。
その輝きによって、水の槍は消滅してしまった。
「……やはり…、その首飾りは…!千年秘宝の1つか……ッ!」
「え……!?」
海馬の苦々しい言葉にクリスは目を見開いた。
次の瞬間、2人の頭には何かが流れ込んでいた。
―――――王妃、お逃げください…。これが我が王の望みです…―――−
――――いけません!そんなことをしたらあなたとアイシスが……!―――−
――――……死ぬのは私だけです王妃…。アイシスは英雄として生き残れる……。これが、あの盗賊を討伐させられるいい方法です……――――