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作者: 鳩麦白夜 (総ページ数: 101ページ)
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*22*
「なーんで海馬君はあんなこと言ったんだか……」
「つーか、人の物商品にするってどういうことだよ!?」
「どうしよう…。私人間なのに……」
博、鬼柳、クリスは口ぐちにため息をついた。
3人は、クリスのために部活見学を続行していた。
氷栗無は「用事があるから失礼するよ」と、足早に美術室から出て行った。
博は新入生の様子を見たいから、という理由で同行することになった。
「次はどこに行くのだ?」
「次はもう少し先にある科学部に行こうかと!」
「ずいぶんマニアックな部だなぁ……」
足取りを速めるクリスに鬼柳は苦笑した。
そして、何かを思い出したように博はポン、と手を打った。
「あー!そっか、科学部だもんね。だったら更科君か…」
「更科君?」
クリスが首をかしげながら博の言葉を復唱する。
「どんな人なの?……わわっ!」
少し、目を逸らした瞬間、クリスは誰かにぶつかってしまい、尻餅をついてしまった。
慌てて博と鬼柳は駆け寄った。
「おい、よそ見してるからだろ!」
「大丈夫?クリスちゃん」
「あ、うん…!」
「おい」
短く、淡々とした言葉がクリスの頭上に降り注ぐ。
3人が顔を見上げると、そこには黒縁眼鏡の顔立ちの整った、白衣を着た少年がこちらをにらみつけるように立っていた。
「んだテメーら。うちに興味あんのか?」
「ちょっとお!更科君睨まないで!怖がってる怖がってる!」
「わわわ私、族とか組とか興味ないです…」
「誰が組とか総長だ!?」
「どうどう!」
博が間に挟まって少年をなだめる。
クリスは恐ろしさのあまり、博の後ろに隠れていた。
「ああ。たしかこの人科学部代表更科憲章さんッスね」
「それがなんだよ?」
鬼柳の言葉にぶっきらぼうに憲章はまた睨み付ける。
だが、ボソッと憲章は何かを察したようにつぶやいた。
「……なるほど。道理で噂になってたはずだぜ。1年で吹奏楽の代表になってた奴と、海馬に強制出場させられる女1年」
「ちょ!?鬼柳君はともかく、クリスちゃんの強制出場のこと誰から聞いたの!?私たちですら5分前に聞いたのに!?」
博はつかみかかる勢いで憲章に駆け寄った。
後ずさりしながら憲章は博から遠ざかる。
「は?聞いてなかったのかよ。さっき放送で海馬が流してたぜ」
「む、無茶苦茶なのだ!!」
なぜかパンにゃが激昂していた。
クリスは成す術がなく、口をパクパクさせていた。
「お、おい…。クリス、大丈夫か?」
「だ、大丈夫じゃないよーーーーーーーーーーーーーッ!!」
「く、クリスちゃん!?」
クリスは走った。
後ろからみんなの声がしたが、クリスの足は止まることはなかった。
(神様助けてーーーーーーーーーーーーッ!)