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鳳凰学園協奏曲-カルテット-【完結!】
作者: 鳩麦白夜  (総ページ数: 101ページ)
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「いくら先輩でも今回は勝ちに行かせてもらいますッ!」
「そのつもりで来なきゃこっちも困るよッ!」


 安蘭はジャキッと短剣をとりだし、一太刀、博に味わらせようとした。
 そんな安蘭に動じることはなく博は大きな筆を構えた。


「私に正面切って挑んでくるなんていい度胸!」


 すると、博はすさまじい勢いで空に何かを書く。


「何……?」


 唾をのみながらクリスは身を乗り出して、2人の戦いを見ていた。
 すると、空に書かれたものが大砲となって具現化した。


「大砲!いっけええええええええ!!」
「そんなのありーーーーーーーー!?」


 ズダダダダ!と、博の大砲が四方から安蘭を襲う。
 すると、すさまじい爆発音が響き、安蘭の位置からは大量の煙が立ち込めた。


「さっすが博!今年も豪華に戦うなぁ!」
「すっごー……」


 ほかの生徒のつぶやきをクリスはポカーンと聞いていた。
 そして、だんだん煙が消えていくと、大砲が直撃したかと思われる安蘭が立っていた。


「!へえ、安蘭ちゃん、あれをよけたんだ。さすが代表になるだけあるね」
「私は人魚ですから、再生能力が高いんです!…さっきの弾は全部直撃しちゃいましたしね〜!」


 そう言って安蘭はけろりと笑った。
 だが、体は薄く黒ずんでいたが、けがは1つもなかった。
 安蘭の足には人魚姫特有の美しい尾ひれが出現していた。


「それが噂の人魚姫かあ〜!じゃあ、私も!!」


 博がそう言うと、バク特有の尾と耳が出現した。
 2人が姿を現した瞬間、会場は壊れるかと思うぐらい盛り上がった。


「ふ、二人ともすごい!」
「なんだか怖いのだ〜!」


 パンにゃはじたばたしだしてしまった。


「…あと3分か。こっからはほんとに本気!…ガトリング!」
「させませんッ!」
「!!」


 ビッと安蘭は博の大きな筆を足で薙ぎ払った。


「はああッ!」
「ううっ!」


 その隙をついて、安蘭は博の鳩尾に思い切り拳を入れた。
 だが、博はニイ、と不気味に笑った。


「……残念だったね!私の絵描き能力を甘く見ないほうがいいよ!!」
「………な……ッ!」


 いつの間にか、安蘭の周り、360度に無数のガトリングが張り巡らされていた。


「私だって伊達に美術部代表じゃないからね!……これで…!最後だあああああああああああああ!!!」


 博がそう言った瞬間、ガトリングの弾が安蘭に襲い掛かる。
 そして、今度は大砲とは比べ物にならないぐらい、大量の煙があたりを立ち込めた。


「安蘭……!?」


 クリスは思わず目を見開いていた。

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