完結小説図書館
作者: 鳩麦白夜 (総ページ数: 101ページ)
関連タグ:
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~
*43*
「いくら先輩でも今回は勝ちに行かせてもらいますッ!」
「そのつもりで来なきゃこっちも困るよッ!」
安蘭はジャキッと短剣をとりだし、一太刀、博に味わらせようとした。
そんな安蘭に動じることはなく博は大きな筆を構えた。
「私に正面切って挑んでくるなんていい度胸!」
すると、博はすさまじい勢いで空に何かを書く。
「何……?」
唾をのみながらクリスは身を乗り出して、2人の戦いを見ていた。
すると、空に書かれたものが大砲となって具現化した。
「大砲!いっけええええええええ!!」
「そんなのありーーーーーーーー!?」
ズダダダダ!と、博の大砲が四方から安蘭を襲う。
すると、すさまじい爆発音が響き、安蘭の位置からは大量の煙が立ち込めた。
「さっすが博!今年も豪華に戦うなぁ!」
「すっごー……」
ほかの生徒のつぶやきをクリスはポカーンと聞いていた。
そして、だんだん煙が消えていくと、大砲が直撃したかと思われる安蘭が立っていた。
「!へえ、安蘭ちゃん、あれをよけたんだ。さすが代表になるだけあるね」
「私は人魚ですから、再生能力が高いんです!…さっきの弾は全部直撃しちゃいましたしね〜!」
そう言って安蘭はけろりと笑った。
だが、体は薄く黒ずんでいたが、けがは1つもなかった。
安蘭の足には人魚姫特有の美しい尾ひれが出現していた。
「それが噂の人魚姫かあ〜!じゃあ、私も!!」
博がそう言うと、バク特有の尾と耳が出現した。
2人が姿を現した瞬間、会場は壊れるかと思うぐらい盛り上がった。
「ふ、二人ともすごい!」
「なんだか怖いのだ〜!」
パンにゃはじたばたしだしてしまった。
「…あと3分か。こっからはほんとに本気!…ガトリング!」
「させませんッ!」
「!!」
ビッと安蘭は博の大きな筆を足で薙ぎ払った。
「はああッ!」
「ううっ!」
その隙をついて、安蘭は博の鳩尾に思い切り拳を入れた。
だが、博はニイ、と不気味に笑った。
「……残念だったね!私の絵描き能力を甘く見ないほうがいいよ!!」
「………な……ッ!」
いつの間にか、安蘭の周り、360度に無数のガトリングが張り巡らされていた。
「私だって伊達に美術部代表じゃないからね!……これで…!最後だあああああああああああああ!!!」
博がそう言った瞬間、ガトリングの弾が安蘭に襲い掛かる。
そして、今度は大砲とは比べ物にならないぐらい、大量の煙があたりを立ち込めた。
「安蘭……!?」
クリスは思わず目を見開いていた。