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作者: 鳩麦白夜 (総ページ数: 101ページ)
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*45*
「ふう…っ」
博は地にあった大きな筆を再び取り直すと一息ついた。
だが、次の瞬間、博の体が吹き飛んだ。
「……なッ!?」
「油断しましたね!博先輩!」
「それは……」
無数のガトリングの攻撃を負ってダウンしたかと思われた安蘭の短剣による斬撃で博は吹き飛んでいたのだ。
だが、安蘭にはけがはなかった。
そのかわり、体中が濡れていた。
「そうですよ!博先輩の具現化能力の弱点は水!だから、私は人魚姫のもう1つの能力を使って体中を水で濡らしたんです!…まあ、この能力は1日に1回しか使えませんけど」
「……追い詰められちゃったって感じ?」
ふらりとしなながらも立ち上がる博。
そんな2人は苦笑した。
「なので博先輩の能力は私にはもう効きません!」
「それはどうかなあ!?“太陽”!」
博は安蘭の頭上に巨大な太陽を描いていた。
すると、真夏のような暑さが安蘭の体を乾かしていく。
「ぐ……。けど、乾ききる前に倒します!!」
「私だって負けないよ!!」
ギュウン!と、博と安蘭は直線的に走り出す。
「“槍”!!」
「はああああああああああッ!!」
博は描いた槍を。安蘭は短剣を突き出す。
そして、お互いの武器はお互いの体を打ち抜いた。
「あ・・・・・・」
「う………」
ドサッと2人は倒れこんだ。
どうやら気絶しているようだ。
「第一回戦!!お互いドロー!よって、この勝負2回戦の出場者はなし!!」
審判の声が高らかに体育館に響く。
「おおおおおおおおおお!!やっぱ今年もすげえ!」
「博もよく1秒間であんなガトリング描いたもんだ!!」
「安蘭ちゃんも初出場なのによく戦ったなあ!!」
「てゆーか、一回戦とは思えねーよ!!」
など、2人を賞賛する声が体育館に響いた。
そして、博と安蘭は各部員に休憩室に運ばれていった。
「すごい戦いだなぁ……!私、大丈夫かな?」
「自信なくなってきたのだ……」
パンにゃはげっそりしたようにクリスを見た。
すると、鬼柳がトントンとギャラリーの階段を下りていた。
「あ、鬼柳!次戦うんだよね!頑張って!」
「ああ!ちゃんと見てろよな」
グッと鬼柳は親指を突き出すと、そのまま階段を下りて行った。
入れ替わるように、まどかがクリスの前を横切ろうとした。
「まどかが鬼柳の対戦相手だよね!?がんばってね!2人とも応援してる!」
「ありがとう。でも……」
クリスの声援にまどかは最初笑顔だったが最後の言葉を言うと、顔つきは険しいものになった。
「……あいつは完膚なきまでに潰すわ」
「まどか……?」
「じゃあ、行くわね」
「あ、うん」
そのまままどかは振り返らずに階段を降りて行った。
+++
「右サイド、筧鬼柳!」
「はい!」
いつもより真剣な顔で一歩鬼柳は踏み出した。
「左サイド、鬼角まどか!!」
「はい」
まどかは鬼柳のものすごい形相で睨んでいた。
「それでは、バトル開始!!」