完結小説図書館
作者: 鳩麦白夜 (総ページ数: 101ページ)
関連タグ:
10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~ 100~
*64*
「……お疲れ様ー。憲章くん」
「桐生先生……」
まだ痛む体をゆっくりと起こす憲章。
そこには、科学部顧問でもある妙齢の美女、桐生菜々緒が微笑を浮かべて立っていた。
「かなり苦戦してたみたいだけど勝ってよかったね〜」
「そりゃどうも。アンタが興味あんのはあの傲慢生徒会長じゃねーんですか?」
憲章はため息をつきながら菜々緒に言う。
そんな彼に何も思っていないように彼女は手を振った。
「まあね♪海馬君はもちろん、今はクリスちゃんも追加かなー?あの赤い右手には興味が注がれるしね!」
「ほどほどにしてくださいね」
見据えるように、忠告するように言った憲章の言葉に反応することなく、菜々緒は微笑むだけだった。
「……さあ、それはあの子たちの結果しだいよ!」
+++
「君とこうして戦うのは1年ぶりだね」
「フン。弱者の貴様などいちいち覚えてないな」
「言ってくれるじゃないか!」
パン!と、邂逅一発、氷栗無はおもちゃの銃を海馬に向けて発砲した。
彼は特に感情を表すことなく、鋭い霙が入ったおもちゃの銃を打ち抜く。
だが、海馬はそれをうごくことなく首をひねるだけでよけた。
「おい!さっそく氷栗無の正体が出たぜ!」
ギャラリーの興奮の声の通り、氷栗無の体は氷神特有の氷の鎧や冷気が出現していた。
「貴様はせっかちになったようだな」
「この戦いは5分しかないからね」
ビュビュッと、氷栗無は鋭い氷の千本を海馬に向けて襲わせる。
「この程度オレがよけられないとでも…」
「これならよけきれないだろう?」
「……」
海馬がよけようとしたとき、彼の足にはへばりつく様に氷がまとっていた。
それだけではない。あたり一面、地面一面氷や冷気で埋め尽くされていた。
「ここは私の戦場だ。もはや君は私に勝つことはできない」
「フン・・・・・・」
ザクザクッと氷栗無の氷の千本が海馬を貫く。
だが、海馬は動じることもなく攻撃を受けていた。
「それに君の正体を現したときに仕える能力は水の操作。水を凍らせる私は君にとっては最悪の相手と言わざるを得ないだろう」
「……ずいぶんと多弁になったものだな。馬鹿馬鹿しい奴だ」
「何……!?」
卑下するような海馬の言葉に氷栗無の眉はピクリ…。と動く。
「そういうのなら私に攻撃をしてみるがいいさ!」
バキキ…。と氷栗無は背中に氷の翼を装着し、飛翔した。
そして、その後ろには雪崩が迫っていた。
「これで君は終わりだ!」
「やべーーーーー!!氷栗無の奴、本気出しやがった!」
「どうするんだよ会長!」
わーわーとギャラリーは雪崩の出現に騒ぎ出す。
「フン。この程度で騒ぎ出すとは情けない奴らだ。……まあ、ちょうどいい。貴様に神の恐ろしさを味わらせてやる」
海馬がそう言った瞬間、ゴオっと威圧のような水気を含んだ突風が吹き荒れた。