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作者: 鳩麦白夜 (総ページ数: 101ページ)
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*66*
「……うっ!」
「クリス!?」
「しっかりして!」
急に頭を抱え込み始めるクリスに鬼柳と安蘭が駆け寄る。
博は何か感じ取ったようにテレビに映る海馬を見た。
「クリスちゃんと海馬君が共鳴してる……!?」
そして誰もクリスのピラミッドの首飾りの輝きに気付かなかった。
―――――……死ぬな!!リリア!!―――――
―――――……ごめんなさい…。カイザーお兄様…。民を…あの人を…どうか……―――――
―――――リリア………ッ!―――――――
クリスの頭に入り込んできたのは、自分に似た前に見た美女と今度は違う男。
それは……。
「……海馬……?」
その男に思わずクリスの目を見開かれる。
力なく息絶える美女を抱える男は海馬にそっくりだったのだから。
+++
「……ついにあらわしたようだね。その力を」
「この姿の俺に慄かないとは大したやつだ…と、褒めておいてやろう。だがそれも時間の問題だがな」
ゴォッ!と、水気を含んだ突風が消えた瞬間海馬の腕は青い龍のような鋼鉄の腕、轟々しい角が生えた頭があった。
それはまさしく「三神龍」を示すものであった。
「それはこちらのセリフだよ、海馬君。僕の攻撃は止まってはいない」
氷栗無の言うとおり、雪崩は海馬に襲い掛かる寸前だった。
だが、海馬は動じなかった。
「余裕だね。だけど水を凍らせる私にとって君は負けるしかない!」
「誰が水だけと言った!愚か者!!」
海馬はすかさずそういうと、津波のようなもので雪崩を相殺する。
「バカな!?ただの水で私の雪崩が…!」
「よく見ろ。これは熱湯だ」
「……な!!」
氷栗無は海馬の言うとおりに雪崩の残骸を見る。
確かに残骸にはかすかな湯気があった。
「俺はあらゆる水の支配者!三神龍オルティスそのものだ!その力はこんなちんけな能力ではない!!」
「!?消えた!?」
その瞬間、海馬は一瞬にして姿を消した。
氷栗無はあたりを見渡すが、海馬の姿は見当たらない。
すると、またもや一瞬のうちに、氷栗無の首をつかむように壁に追いやられるようにして、壁に激突した。
「う…が…ッ!」
「オルティスの力はこの圧倒的な力だ!!ほかの三神龍には負けはしない!!」
「………ここ、までのようだね……」
氷栗無は悔しそうに笑うと、そのまま意識を失った。
「だ、第一回戦終戦!勝者は八神海馬!次の試合は一時半から行われます!」
「おおおお!!さすが生徒会長だ!」
「けど、氷栗無も強かったなあ!あの会長にあそこまで戦えるだなんて!!」
これまで以上に会場は盛り上がっていた。
「オルティス……。お前は主人を見つけたようだな…」
ステージにいたパンにゃはうつろな目でそうつぶやいた。