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作者: 鳩麦白夜 (総ページ数: 101ページ)
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*74*
「はあ…!はあ……!く、来るなぁああああああああッ!!」
「………」
ざああ…。と、雨が降り注ぐ。
放課後の真っ暗な鳳凰学園の廊下で生徒の1人は何かに追われていた。
「オレが何をしたっていうんだよおおおおおおおッ!!」
「オマエハ……トウトイギセイ二ナッテモラウ……」
「ぎゃああああああああああッ!!」
しわがれた声とともに、ズシャ、と生徒は包丁のようなもので切られてしまっていた。
そして、生徒を切った何かは何事もなかったかのように姿を消した。
+++
「……フン。これで13件目か」
「そうなの!そのせいで生徒たちみんなおびえちゃってて…!」
「不届きものはオレが成敗してくれるわ!オレの学園で不用意なことはさせん!そんなことより花!貴様はとっとと書類を片付けろ!」
「は、はいッ!」
海馬に喝を飛ばされてしまった花はあわただしく生徒会室から書類を持って出て行った。
「……謎の何かによって学園の生徒が襲われる…バカなことをしてくれたものだ」
「でもやってる犯人のほうは本気じゃないのかい?」
「……貴様か修羅。トーナメントに出ないかと思いきやこんな事件のときだけ出てくると見える」
「それを言うのは勘弁してくれ」
いつのまにか現れた癖毛の少女、御神楽修羅に見向きもせずに海馬は書類を整理し続ける。
そんな彼に修羅は苦笑した。
「まあ、私なりにも調べてみたんだが…。全部の部活を合わせて少なくとも20人は襲撃されていてね」
「……何が言いたい」
修羅は目つきを鋭くさせる海馬の肩に手を置くと、なだめるようにつぶやいた。
「…襲った犯人は被害者に“ギセイ”になってもらっているらしいんだ。そこを考えると襲われた生徒たちは何の、いや、だれの犠牲になっているんだろうな……」
「もういい」
ガタリ、と海馬は立ち上がった。
ツカツカと、修羅の横を通り過ぎた。
修羅は警告するようにわざと大きな声で言った。
「……私も君と…クリスに興味持っててね。いろいろと調べさせてもらったんだよ。だから、神話も秘宝についてもある程度は知っている」
「………」
海馬は足を止めて何も言わなかった。そして、ダメ出しをするように修羅は言葉を紡いだ。
「…クリスと同じように持っているんだろう?秘宝を。だからあの生霊が見える」
「何のことだかさっぱりだな。愚かしい見解だ」
フッと海馬は嘲笑するように笑うと、そのまま生徒会室を出て行った。
「……理事長と転校生には気をつけなよ」
修羅はそう言って、机に置いてあった書類の名前「レリク・ゴットアンダーソン」という名前をなぞりながら言った。