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作者: 秋桜 (総ページ数: 23ページ)
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*17*
――翌日
「あー早く、日比奈にラーメン食わせてぇなぁ。日比奈もう、準備で来てるかな。・・・ん?」
湊谷は日比奈の病室に向かうところだったが、日比奈の病室の前には人だかりができているの気がついた。そして、日比奈の病室から出てきた看護師が忙しそうに湊谷の横を通っていた。
「なんだろ。・・・まさ・・・か・・・!!」
湊谷は最悪な答えを見つけてしまった。
「そんなわけ・・・ないよな・・・日比奈・・・」
湊谷は行きたくなくて重たくなった足を少しずつ進めた。
日比奈の病室に着くと女の子が泣いていた。
「ひびな・・・おねーちゃん・・・!」
湊谷の隣にいた車いすに乗ったおばあちゃんも涙ぐんでいた。
「日比奈ちゃん・・・」
日比奈がいつも座っていたベッドの周りには白いカーテンがあった。
湊谷は両手を握り締めた。体は小刻みに震えていた。
――シャッ
カーテンが開いて、医師が出てきた。
「――残念ですが・・・」
ひどく冷たい声だった。医師の言葉を合図に、たくさんの人が泣きだした。日比奈の病室は涙に包まれた。
湊谷は体の力が抜け、膝から崩れおちた。
「ちょっと!?大丈夫かい!?」
湊谷の隣で泣いていたおばあちゃんが湊谷を見て言った。
――そんな・・・嘘・・・だよな?日比奈が・・・死んだ・・・?・・・嘘だよな!日比奈!!
湊谷は心の中で叫びつつけた。
――嘘、だろ?・・・もう、目ぇ覚まさねぇのか?
「あの、こちらに・・・えっと、宮間・・・湊谷さんはいらっしゃいますか?」
医師は何か手に持ちながら、湊谷の名前を呼んだ。
「――俺・・・です、けど・・・?」
湊谷は声を絞り出して答えた。
「音無さんから、預かっているものがあります」
と言って、医師は座り込んでいる湊谷に手に持っていたものを渡した。
「――手紙?」
渡された手紙の封筒には『湊谷へ』と書いてあった。
「・・・・・・」
湊谷はとてもここでは読む気になれなかった。