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君とあの時あの場所で〜3ヶ月の恋物語〜 
作者: 秋桜  (総ページ数: 23ページ)
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10~ 20~

*16*


――六週間後(日比奈の余命まで残り二週間)

『306号室』

「日比奈!やっほ〜!」

「あっ湊谷!」

 湊谷は学校帰りに日比奈の病室に毎日通っている。

「ねぇ日比奈!明日さ、俺のラーメン食いに来てよ!結構上手くなったんだぜ。父さんにはまだまだ追いつけないけどな」

湊谷は苦笑しながら言った。

「そう・・・なんだ!あっでも、明日は検査があるんだった。検査の後は何も食べれないから。ごめんね」

「そっか。検査は午前中?」

「うん・・・」

「・・・?日比奈?」

日比奈は、俯いていた。

「――検査・・・恐いな。また、悪い結果が出たらどうしようかな・・・」

「大丈夫だって!それに、結果が悪くても俺のラーメン食えば絶対大丈夫!」

湊谷は、満面の笑みで言った。

「ふっラーメン関係ないから!」

日比奈は笑いながら言った。

―笑った。

日比奈の笑顔は湊谷を勇気づけるただ唯一の方法だった。湊谷も、恐いのだ。日比奈がいつ死んでしまうのか・・・。

「じゃあな!また、明日な!」

「うん!バイバイ!ラーメン楽しみにしてるから!」

「おう!任せとけって!」

 と言いながら、湊谷は廊下あの奥へ消えて行った。

 ――カサッ

日比奈は枕の下から手紙を出した。

「湊谷・・・ラーメン食べられなくてごめんね。私、明日が疚だって言われてるんだ。ごめんね。――手紙は絶対読むんだぞ!」

日比奈は拳を窓に向かって出しながら言った。

「ごめん・・・ね」
 
日々奈の頬には涙が流れていた。

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