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君とあの時あの場所で〜3ヶ月の恋物語〜 
作者: 秋桜  (総ページ数: 23ページ)
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10~ 20~

*6*


「あっ!えっと…祖父の余命が、3ヶ月なの…」

「そうだったんだ…。お見舞いとか、行った方が良いかな?」

「え!いいよ!祖父は人に会うの好きじゃないし…」

「そうなんだ」

「本当は、余命なんて知りたくなかったんだ。だって、1日1日が怖くなっちゃうもん」

「確かにそうかもしれないけど、その分嬉しいこともあるよ!よく「あの時あんなこと言わなきゃよかった…」とか言う人がいるじゃん。でもそれは突然死んじゃうからであって、余命とかが分かっていれば、そんなこと絶対にないじゃん。むしろ、得したと思った方がいいですよ!」

 湊谷は、親指を立てて言った。

「そう…だよね。その分、楽しめばいいんだよね!」

 日比奈の顔が明るくなった。

「高校、転校してこないんですか?」

「えっ…あー…3ヶ月しかここにいないし、もういいかなぁって…」

「そうなんですか…」

 湊谷は、ドキドキスクールライフを送りたかったのだろう。

「あ!俺もう、帰んなきゃ!」

 湊谷は、腕に付けている時計を見て言った。

「そっか。私はもう少しここにいる。…明日も、会えるよね?」

「はい!じゃあ、また明日ぁ!」

 そう言うと、湊谷は走って帰って行った。

「――また、明日…」

 一人になった日比奈は、寂しそうな目を海に向けていた。


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