完結小説図書館
作者: 秋桜 (総ページ数: 23ページ)
関連タグ:
*7*
かなり時間が開いてしまいました
「おっはよう!源!!」
「えっ…お…はよ…?どーした、そのテンション」
湊谷は昨日、海から帰って来てから妙にテンションがおかしかった。
「いや〜…俺にも、とうとう春がやってきたぞぉぉぉぉぉ!!!!!」
「えっ……今、夏だし」
湊谷の雄たけびに、源は冷静なセリフで返す。
「そうか、そうか。羨ましいか、源」
「いや…何が…?」
源の言葉は湊谷には届いていないようだ。湊谷はスキップじみたものをしながら、学校へ1人、向かって行った。
「何だ?あいつ…」
源は何も分からないまま、置き去りにされてしまった。
―放課後―
「あー…音無さん来てくれるかな…」
湊谷は今日、こんな事ばかり考えて、授業に集中なんてしていない。ずっと上の空だったのだ。
「緊張するぅ…」
一人でブツブツつぶやきながら、あの場所へ向かっている。
とうとう、あの場所についてしまった。湊谷は深呼吸をして、入って行った。
「あっ!…湊谷君、だよね?」
音無日比奈は、昨日と同じ場所に立っていた。
「音無さん!…早いですね」
「まぁ、暇人だからー」
「ははっ、そんなんですかー」
「…ねぇ、何で敬語?同い年だよね?」
「いや、何か申し訳ないって言うか…」
湊谷の声はだんだん小さくなっていく。
「なにそれー(笑)」
日比奈は、初めて笑顔を見せた。湊谷は日比奈の笑顔を見て、何かを思い出しそうだったが、何かは分からなかった。
「呼びすて&タメでいいよー。私も、『湊谷』って呼ぶから!」
いきなり呼ばれて、湊谷はドキッとした。
「えっと、じゃあ…『日比奈』で」
湊谷は名前を呼ぶだけなのにとてもドキドキしていた。
「うん!やっぱそっちの方が良い!」
「そうです…そっか。」
湊谷は、慣れないタメ語に悪戦苦闘していた。
「日比奈は、どこに住んでたの?」
「えっと…あっそういえば、湊谷は将来何になるの?大学とかに行くの?」
日比奈はさりげなく、湊谷の質問をスルーした。
「んー…父さんが、ラーメン屋をやってるんだけど…あんまり俺はラーメン好きじゃないしな…」
「…本当に?」
「え?」
「本当に、ラーメンが嫌い?本当は、ラーメンが嫌いなんじゃなくて、お父さんのお店を受け継ぐのが怖いんじゃない?」
日比奈は、湊谷の目を真っ直ぐ見つめて言った。