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君とあの時あの場所で〜3ヶ月の恋物語〜 
作者: 秋桜  (総ページ数: 23ページ)
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10~ 20~

*7*

かなり時間が開いてしまいました



「おっはよう!源!!」

「えっ…お…はよ…?どーした、そのテンション」

 湊谷は昨日、海から帰って来てから妙にテンションがおかしかった。

「いや〜…俺にも、とうとう春がやってきたぞぉぉぉぉぉ!!!!!」

「えっ……今、夏だし」

 湊谷の雄たけびに、源は冷静なセリフで返す。

「そうか、そうか。羨ましいか、源」

「いや…何が…?」

 源の言葉は湊谷には届いていないようだ。湊谷はスキップじみたものをしながら、学校へ1人、向かって行った。

「何だ?あいつ…」

 源は何も分からないまま、置き去りにされてしまった。


―放課後―

「あー…音無さん来てくれるかな…」

 湊谷は今日、こんな事ばかり考えて、授業に集中なんてしていない。ずっと上の空だったのだ。

「緊張するぅ…」

 一人でブツブツつぶやきながら、あの場所へ向かっている。

 とうとう、あの場所についてしまった。湊谷は深呼吸をして、入って行った。

「あっ!…湊谷君、だよね?」

 音無日比奈は、昨日と同じ場所に立っていた。

「音無さん!…早いですね」

「まぁ、暇人だからー」

「ははっ、そんなんですかー」

「…ねぇ、何で敬語?同い年だよね?」

「いや、何か申し訳ないって言うか…」

 湊谷の声はだんだん小さくなっていく。

「なにそれー(笑)」

 日比奈は、初めて笑顔を見せた。湊谷は日比奈の笑顔を見て、何かを思い出しそうだったが、何かは分からなかった。

「呼びすて&タメでいいよー。私も、『湊谷』って呼ぶから!」

 いきなり呼ばれて、湊谷はドキッとした。

「えっと、じゃあ…『日比奈』で」

 湊谷は名前を呼ぶだけなのにとてもドキドキしていた。

「うん!やっぱそっちの方が良い!」

「そうです…そっか。」

 湊谷は、慣れないタメ語に悪戦苦闘していた。

「日比奈は、どこに住んでたの?」

「えっと…あっそういえば、湊谷は将来何になるの?大学とかに行くの?」

日比奈はさりげなく、湊谷の質問をスルーした。

「んー…父さんが、ラーメン屋をやってるんだけど…あんまり俺はラーメン好きじゃないしな…」

「…本当に?」

「え?」

「本当に、ラーメンが嫌い?本当は、ラーメンが嫌いなんじゃなくて、お父さんのお店を受け継ぐのが怖いんじゃない?」

 日比奈は、湊谷の目を真っ直ぐ見つめて言った。

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