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作者: 裕 (総ページ数: 21ページ)
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8、兄弟で団結…?
景十「ただいま…。」
空羽「…。」
景十「空羽?」
空羽「…。」
景十「はぁ…。空羽!」
空羽「ふぇ!?…あ、景兄ぃお帰り…。」
景十「そんなところで何やってんだ?黙って足冷やしてろって言っただろ?」
空羽「え?あ、うん。…何で私ここにいるの?」
景十「しらねぇよ!」
空羽「…あ、何か作ろうと思ったんだ。」
景十「いらねぇよ。良いから黙って座ってろ。ほら、俺の荷物持て。」
空羽「え…。」
景十「え、じゃねえよ。おぶってやるから早くしろ。」
空羽「あ、…ありがとう。」
景十「ぅし…っ。」
空羽「…昔もよくおんぶしてもらったね。懐かしい。」
景十「そうか?」
空羽「うん。変わんない。温かい。」
景十「…。下ろすぞ。」
空羽「うん。ありがとう。」
景十「さて、何か作るか。」
家で景兄ぃと二人きりになるのは凄、く久しぶりでもある。夕刀が中学に入るまではよく二人でいた。景兄ぃと二人の時間は、大抵家族の話をする。お母さんのこと、学校でのこと、最近のこと。
空羽「景兄ぃ、ピアノの発表会大丈夫そう?」
景十「ああ。まあな。学校でも昼に音楽室借りて練習してるし。」
空羽「そっか。…パリ、行くのか。」
景十「え?」
空羽「あ…ううん!何でもない。」
景十「…。心配すんな。声掛かんなかったらの話だ。俺は、出来る限りのことをする。それでムリだったら、俺の実力が足りないってコトだけの話。」
空羽「…うん。」
景十「お前は?大学とか行くのか?」
空羽「ううん。私は仕事探して働くよ。少しでも家のことどうにかしたいしね。」
景十「長男なのに、お前に迷惑とか苦労ばっか掛けてんな。」
空羽「そんなことないよ。景兄ぃと夕刀がいるから私も頑張れるし。景兄ぃは自分の夢ちゃんと叶えないとね。」
景十「ああ。悪い。」
空羽「あ、それより来週テストでしょ?教えて欲しい所があるんだけど…。」
景十「ああ、良いよ…。」
私の心の支えは、家族。その中でも今は景兄ぃが一番頼れる存在。感情的になりやすいけど、周りを一番よく見れる。自慢の兄。
夕刀「ただいまぁ…。」
景十「だから、ここはこうすんだって。」
空羽「…こういうこと?」
景十「そうじゃねえって!これがこっち!」
空羽「ああ…。こうか。」
景十「そ。脳みそ腐ってんじゃねえの?」
空羽「腐ってないよ!景兄ぃの教え方が悪いんじゃん!」
景十「教えろって言ったのお前だろ!!」
空羽「そうだけど〜…。」
夕刀「…。」
空羽「あ、夕刀。」
空・景「お帰り。」
夕刀「…。ただいま。兄ちゃん、俺にも教えて。」
景十「あ?ったく、何で俺が…。」
空羽「教えてあげなよ〜。」
景十「っ…。どこだ?」
夕刀「あ、うん。あのね…っと、ぅわあ!?」
空羽「ああ、もう何やってるの。大丈夫?」
夕刀「ごめん、ちょっと待って…。」
景十「あぁ、あぁ…。めちゃくちゃじゃん…。」
夕刀「えっと…。…あった。ここが分かんないんだけど…。」
景十「あぁ、これは…」
ここの家には、幸福の神様でもいるのかな?
貧乏でも、幸せになることは出来る。私たちは、多分幸せだ。
景十「で……何にやにやしてんだよ。空羽。」
空羽「…私、二人のこと幸せに出来るように頑張るね。」
夕刀「…。」
景十「…。何言ってんだよ。俺ら3人で幸せになるんだろ?」
空羽「…。そうだね。」
夕刀「お父さんに出て行ったこと後悔させてあげよう?」
空羽「うん。」
景十「とにかく今は夕刀の受験だな。」
夕刀「う…。頑張ります。」
この兄弟となら、頑張れる気がする。
思い違いかもしれないけど。
朝、これだけ嫌だと思ったことはあるだろうか…。
家を出てすぐ、火杏君との鉢合わせ…。そして沈黙状態。
空羽「…っ。」
火杏「…。お、おはよう…。」
空羽「…。」
火杏「(やっぱ根に持つよな…。)」
空羽「(そうじゃなくて、そうじゃなくて…!無視しちゃったら感じ悪いじゃん!何やってんだ、私ぃ〜!)」
火杏「…。いいんちょー。」
空羽「っ…。な、何?」
火杏「その、悪かったな。何か熱のせいで変なことして…。」
空羽「あ、…ううん!全然!全然気にしてないよ!大丈夫だよ!キスなんてそんな滅多にしないけど、事故だもんね!平気平気!気にしないで!」
火杏「(やっぱ焦ってる…。)…すいませんでした。」
空羽「そ、そんな!頭下げないでよ!ね!」
火杏「…。」
空羽「今回のは水に流して忘れよう?お互いにさ!」
火杏「…ああ。本当に悪かった。」
空羽「良いって!(私のファーストキス…。)」
火杏「(あとで何かしないとな…。)」
沈黙のまま学校に登校。互いを見ることは無かった。
学校に着くと、胡ちゃんがいた。
空羽「おはよう、胡ちゃん。」
胡「あ、おはよう。」
空羽「委員会?」
胡「ううん。先生に頼まれて旗揚げしないといけなくて。」
空羽「先生って麻鹿戸先生?」
胡「うん。」
空羽「手伝うよ。」
胡「ありがとう!」
胡「ん?これがこう、か…。」
「胡!部活の先輩が呼んでるよ!」
胡「あ、はーい!ごめん、空羽。やっといて貰っても良い?」
空羽「あ、うん。」
胡「頼んだよー!」
空羽「はーい。…。よし。」
誠「あれ?野樹はどうした?」
空羽「委員会です。」
誠「そうか。」
空羽「暇人ですね。」
誠「んー、まあな。」
空羽「呆れる…。」
本日の天気は快晴です。太陽の光が教室に気持ちよく差し込む。佳長君は、今日も静かに寝ています。
空羽「…。」
火杏「…何?」
空羽「あ、起きてた?」
火杏「寝てはいない。」
空羽「そう…。」
小太郎「いいんちょー!と、佳長!」
空羽「何?」
小太郎「今日ヒマ?」
火杏「…。」
空羽「まあ。」
突「今、コタと遊ぶ話してた。いいんちょーたちもどう?」
空羽「…何するの?」
小太郎「何って、決まってるだろ?」
突「カラオケ!」
火杏「行く。」
空羽「即答…!?」
小太郎「佳長意外と好きなのか?」
火杏「まあな。」
突「いいんちょーは?」
空羽「あー…じゃあ、行くよ。」
小太郎「決まり!」
火杏「足、大丈夫なのかよ…。」
空羽「まあ…。あ、でもお金…。」
火杏「それくらい俺が出す。ま、給料から引くけど。」
空羽「ありがとう!」
人生初、カラオケ!楽しそう…!!