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空〜虹の輪〜
作者: 裕  (総ページ数: 21ページ)
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10~ 20~

*12*

小太郎「え…。歌わないの?」
空羽「うん。音痴だから。私聞く専門なの。」
突「佳長は?」
火杏「もちろん歌う。けど、まずはいいんちょーからだな。」
空羽「だ、だから私は音痴だから…!」
火杏「歌わないのに来たのか?」
空羽「…だって、滅多に来れないし…。」
火杏「…歌え。」
空羽「…。何歌えば良いの?」
突「これ!俺好きな歌。いいんちょー知ってる?」
空羽「あ、うん。じゃあ、…。」


火杏「…ぷッ…はははははッ。超外れてる!」
空羽「だから音痴だって言ったじゃない!」
小太郎「大丈夫!突も音痴だから。」
空羽「え、そうなの?」
突「そう。だから、コタと来た時もいつも歌わない。いいんちょー、俺と一緒。大丈夫。」
空羽「慰められてるの?」
火杏「みたいだな。」
空羽「…。」

3時間歌って、はしゃいで、帰る。外はすっかり陽が落ちている。
またねって言って小太郎君たちと別れた。

空羽「楽しかったね!また来れれば良いなぁ。」
火杏「そうだなッ…ぷ…くくッ。」
空羽「もう!いつまでも笑わないで!」
火杏「まさかあそこまでとはな…。」
空羽「もう行かない…。」
火杏「そう言うなよ。網浜たちだってまた行こうって言ってただろ?付き合えよ。」
空羽「佳長君が馬鹿にしないなら行く…。」
火杏「それは無理だな。」
空羽「なッ…」
火杏「だって…いいんちょーみてるといじめたくなる。」
空羽「っ…。…佳長君って、分かりにくい。」
火杏「ん?」
空羽「…私の事好きなの?」
火杏「…は?」

えー!?何聞いてるんだ、私!

空羽「な、何でもない!忘れて!今の忘れて!」
火杏「…好きなんじゃない?」
空羽「…。え。」
火杏「じゃなきゃ、声もかけないし話もしない。」
空羽「…じょ、冗談でしょ?」
火杏「冗談かどうかはいいんちょーもよく知ってんじゃないのか?」
空羽「え?」
火杏「…。ちょっと…。」

佳長君が手で私を招き寄せる。
動くなよ。と言って、佳長君は私の頭に手をまわした。その瞬間、あの日の出来事がリピートされた。私と佳長君の唇が、静かに重なる…。

空羽「…。…ッ。」
火杏「…冗談だって思うなら、俺のこの行為は何?」
空羽「…。ばいばい。」
火杏「あ、いいんちょー?」
空羽「触んないで!」
火杏「っ…。」
空羽「…時間ください。」

そのまま、その場を走り去った。

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