完結小説図書館

<< 小説一覧に戻る

空〜虹の輪〜
作者: 裕  (総ページ数: 21ページ)
関連タグ:
 >>「紹介文/目次」の表示ON/OFFはこちらをクリック

10~ 20~

*18*

空羽「…。」
火杏「…何だよ。」
空羽「いえ、気にしないで下さい。」
火杏「気にするし。」
空羽「…。」
火杏「…。何だよ!?」
空羽「ちょっとでも…、ちょっとでも佳長君のこと知っていこうと思って。」
火杏「俺の事?知ってんじゃん。」
空羽「え…。」
火杏「うちの事はクラスでいいんちょーしか知らないし、兄弟とのこともだし…。いいんちょーは俺のこともうほとんど知ってる。」
空羽「…。ほとんどということはまだ知らない所もあるってこと!?」
火杏「あーもー!つか、俺はいいんちょーの事何も知らない!」
空羽「あ…。そっか…。ごめん。」
火杏「それくらいで萎えるなよ…。」

私は佳長君にたくさんのことを話すようになっていた。佳長君はそれを全部聞いてくれる。

空羽「…あ、それで…っ!」
火杏「…いいんちょー?」

黒板に書かれていた文字。それは間違いなく胡ちゃんの字だった。
「花園空羽は猫かぶりの最低な奴」
私は胡ちゃんの方を見る。

胡「…。」
空羽「…胡ちゃ…」
火杏「…誰だよ。」
空羽「佳長君…?」
火杏「これ書いたの誰だ!?…答えろ!」
空羽「佳長君、落ち着いてっ…。」
火杏「…お前か?」
胡「は?私じゃないわよ。」
火杏「…ちょっと来い。」
胡「え…?ち、ちょっと離してよっ…。」
火杏「…。」
胡「聞いてんの!?離しなさいよ!」
火杏「いいんちょーが、…お前のことどう思ってたか知ってるか?」
胡「は?」
火杏「いいんちょーが、どれだけお前のこと信頼してたか知ってるのかって聞いてんだよ!」
胡「し、知らないわよ!」
火杏「知らないで済まされるか!」
空羽「佳長君!」
火杏「…。」
空羽「良いよ、そのままで。女の子相手にしちゃ佳長君が不利だもん。佳長君の気持ちはありがたいけど、離してあげて。」
火杏「いいんちょー…。」
胡「っ…。」

私はそのまま教室を出て行った。

学年廊下を走り、玄関に行き、靴を履いて、中庭へ向かった。


17 < 18 > 19